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596日目の告白  作者: ゆか
新年、いよいよ
21/30

ロリッ娘萌え。ません。


「かわいいねえ」

「そうですねえ」

 まったくもって分からない。それ以前に理解しようとする気すら起こらないけど。

「あれ? 皐、どこに……いた。え? あー、そういうこと? ふーん。寒そうだね、その脚はさすがに」

「睦、何言ってんの。それが健全な男の子の言うこと? ロリータを着た女の子だよ?」

「ちょっと、洸、兄妹に、しかも二卵性のくせに顔がそっくりな妹に萌える兄って、どうなんだろうね。……あー、まずい。吐き気が」

「でも、とってもお似合いだと思いませんか?」

「日向君も! 健全じゃありません!」

 どういうことなの。健全とか健全じゃないとか。

「ちょっと変態なくらいが健全な男子です」

「洸、こっちは確実に変態野郎だから。これ以上変態にしないでいいから。そして、そろそろ脱いでいいかな。せっかく暖房をきかせてくれているのに、こんなに寒い格好していたら意味ないじゃん」

「脱いだらそれも意味ないじゃん! あの、すみません! この子が着ているの、一式買いたいんですけど、このあと着たまま出かけたいんです。着替えるのが面倒とかいうのですが、お会計、できませんか?」

「あ、大丈夫ですよ。では、こちらへ」

 ……もはや絶句。

 合格発表を見に来たはずなのに。そしてそろそろ行かないと、見えないよーって洸が騒ぐのは目に見えているんだけど。あんた視力0.7でしょ。遠くからじゃ見えないんでしょ。……自分のことは自分で面倒見なさいよ、いい加減。

「ねえ、睦」「ねえ、皐」

『…………』

 まさかここでハモるとは思わなかったよ。嬉しくない。

「じゃあとりあえず、明日に日向君がするであろう告白を再現してあげるよ」

「やめてよ。今、会計中。ピッてやってもらっている最中だから。めちゃくちゃ途中だから。店員さん、ようやく値札を見つけてピッてしたから」

「そんなことはどうだっていい。僕と、結婚……してくれないか?」

「あーそう。それ、されたことあるなあ。そして顔が近い。あのときほどじゃないけど、十センチしか離れていません。気持ち悪い」

「……なんだ、すでにやっていたか。あーあ、残念。そして、そうだね。気持ち悪い」

「あのう、皐さんに睦さん? 店員さんが……」

『あー、すみません、邪魔でしたよね』

「そうじゃなくて」

『ん?』

「おっ、お似合い、ですね。あのっ、サービスしますね。一割でいいです」

「え? あ、ありがとうございます。買うの、私じゃないけど」

「大丈夫ですか? そんなに安くしてしまって。買うの、僕でもないけど」

「大丈夫です。足りない分は私が見物料と思って払いますから、安いものです」

『あー、はい。よく分からないけど、ありがとうございます。……さ、行くよ。洸』

「坂下さん?」

「……店員さん。分かってくれましたか、あの二人の、似合いよう! あたしもかねてから押しているんですけど……えうっ?」


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