メリークリスマス(地獄で会おうぜ!)
神という存在を、人は信じるだろうか。誰も見たことも、声を聞いたこともない存在を。いや、ただ1人、天児和也という少年だけは、神を見た唯一の人物だ。そして、神は少年とその仲間に真実を教えるために、少年の前以外で初めて姿を現そうとしていた。
「みなさん。はじめに言っておきますが、これから起こることはすべて真実です。それを心得てください。」
ここは、ヘリオスの格納庫。ここには現在、艦長とブリッジクルー及びセレネ小隊、ならびに各小隊の隊長クラスが全員いる。さすがに全員は無理なので、それ以外のメンバーは、艦内中継で見ている。
「バルキリー、出てきてくれ。」
「いいだろう。」
いきなり現れたせいか、周囲では「なんだ!?」「うわっ!」といった声が聞こえてきた。
「我が名はバルキリー。この少年願いで今私が知る限りのことを話させてもらう。」
「うそっ!バルキリーって、あの伝説の戦女神の・・・・・・・・。」
そう口を出してきたのは陽子だった。驚くのも無理はないだろう。俺だってはじめは信じられなかったのだから。
「しずかにしろ。」
こうゆう時に明の性格は助かるものだった。
「では、私の知っていることを話すとしよう。まず、お前たちがDevilと呼んでいる存在だが、正しい名前はディアボロス帝国という。そして、その国を統べるものの名は、カイザーだ。」
初めて聞く名前、のはずだった。だが、この違和感は何だ?
「やつらの地球は、今の地球よりも数段進んだ科学力を有していた。しかし、その影響で、人口が急増してしまったのだ。土星圏まで居住範囲を広げたが、それでもまだ足りぬほどに人口は増加していた。だが、やつらはあるとき次元を越えるという技術を開発した。行き先は選べないがな。そして、その技術を使って多元世界の地球を侵略するという計画が行われた。」
「それでたどり着いたのが、我々の地球。ということですね。ええと・・・・。」
「そのとおりだ。それと、呼び方はバルキリーでかまわない。ミス・メイリス。」
「どうして私の名前を?」
「和也から聞いている。結論を言わせてもらうと、カイザーがこちらへの攻撃をやめるか、あちら側の世界へ行ってカイザーを討たない限り、この戦いは終わらないだろう。」
「要するに、親玉を倒せば戦いは終わる。けど、今はまだその方法がない、ってことね。」
「そのとおりだ。」
つまり今はどうしようもならない、ということらしい。
「現在、軍は敵の撤退して行った次元の航路を追跡するシステムを開発中よ。まだ完成には程遠いけどね。」
「ちなみにその開発には私もかかわっているのよ。」
そういったのはカイだった。彼は軍の中でもかなりの腕前を見込まれて開発チームに加わったらしい。
「天児少尉。」
「は、はい。」
「あなたのおかげで、これからのことを考えるのに重要な情報が入ったわ。」
「は、はあ・・・・。」
「何しれっとしてるのよっ!」
そんなようこの声が聞こえたかとおもうと背中に鋭い痛みがはしった。
「いってぇ!」
「お前のおかげでここまで有益な情報が入手できたんだ。素直に喜べ。」
「そおだよぉ~。」
「先のことで考えてるのなら、考え込むのはそのときにしときなさい。それに、仲間がいるんだから。」
「陽子・・・・。」
どうやらお得意の超能力で考えを読み取ったらしい。
「それに、まだクリスマスのパーティーも終わってないからな。」
「いやそれは今関係ないだろ!」
「さて、みんなー。パーティーの準備、再開するわよー!」
おぉぉぉぉぉぉぉぉ!という声が艦内中から聞こえてきたところで解散となった。
「いい仲間を持ったな。」
「そうだな。」
そのときにはもういつもの和也に戻っていた。
ここは、どこにでもある普通の住宅のどこにでもある普通の高校生の部屋。この部屋の主こと東屋将太は、今日の出来事を脳内で繰り返していた。
(ああ、携帯の番号聞けなかったけど、どこに住んでるんだろう・・・・。そういえば和也の知り合いだって言ってたっけ。休み明けたら聞いてみよう・・・・。)
そんなこんなで彼の夜は過ぎていくのであった。
翌日。和也はとあるビルの前に立っていた。(当然姿は女のままだが)
「ええと・・・・〇×プロダクションってここでいいんだよな・・・・・。」
それはさかのぼること数時間前・・・・・・って何しに来たんだお前!キャラが勝手に出てくるな!うわぁぁぁぁぁぁぁ!
「ふふふ!本編に入る前にアニメのカリスマこと水鳥陽子が、〇×プロダクションについて教えてあげましょう!〇×プロダクションは、2020年に結成されてから数多の有名な声優やアイドルを送り出しているところなのよ!邪魔しちゃったから次は本編で会おうね!じゃあね!」
今のはなんだったんだ・・・・・・・・・とりあえず本編に戻ろう。
「天児少尉。今日はあなたにアイドルの護衛に行ってもらうわ。」
「は・・・・・・・・・?」
すべては、この言葉からはじまった。
「いや、ちょっと待ってください!なんで俺なんですか?いや、そもそもアイドルの護衛はボディーガードつければいいんじゃないんですか?」
「それがねぇ、スポンサーのジェネラリー社直々の依頼なのよ。だから、断れなくてねぇ・・・・。」
艦長の顔がやたらと困っているように見えた。が、その前に・・・・。
「ジェネラリー社・・・?」
「それは私と!」
「私がお話しするであります!」
そう言ったのは明とアリサであった。
「ジェネラリー社とは、2024年に発足した会社だ。最初は小規模の会社だったが、2039年の経済超成長期を期に世界有数の大企業に成長したのだ。」
「そして現在、小さいところでは携帯端末、大きなところでは軍の戦艦やエクスカリバーの製造を行っているのであります!」
「へぇ。で、その大企業がなんでアイドルの護衛なんかを?」
結局はそこに行き着くのであった。まぁここまで来たなら大体予想はつくが。
「護衛するアイドルの名前は、リサ・フィード・ジェネラリー。年は17。ジェネラリー社のご令嬢よ。」
やはりか。
「またどうしてそんなお嬢様がアイドルなんてやってるのかしらねぇ。しかもあたしらと年齢ほとんど変わらないのに。」
「私は、今の2代目社長がそのあたりを自由にやらせているというのを聞いたことがあるぞ。」
「今の社長の趣味といううわさもあるでありますが。」
「まぁいまどきどこの会社にもそんな噂話はないほうが珍しいしな。」
現代社会はそんなもんである。
「ちなみに、この以来を完遂するとボーナスが出るわ。日本円にすると約50万円よ。」
「まぁそこまでボーナス弾むんなら行ってきますか。」
「なら和也、これ着ていきなさい。それっぽい職業に見えるから。」
そう陽子から差し出されたのは女性用の黒いスーツだった。ちなみにグラサンつき。
そして現在に至る。
「本日はどうぞよろしくお願いいたします。」
「いえ、こちらこそよろしくお願いします。」
場所は変わって事務所の応接間。つい先ほどまで本日の護衛対象のリサのスケジュールとその他の確認をしており、ついさっき終わったところだ。話していた相手は事務所の所長らしく、やややせた体型にめがねとスーツが割りと似合っている人物だった。
「では、リサのいるところにご案内いたします。」
そう言って応接間を出た。どうやらここの楽屋にリサはいるらしい。
「あのぉ、ひとつ確認してもよろしいでしょうか?」
あくまで今は女である。それを肝に銘じなければならない。
「何でしょうか?」
「リサさんってマネージャーは、おられるんですよね?」
「いえいえ、実はリサは、マネージャーは要らないといってるんですよ。そのため、ライブのときのセッティングの指示などもすべて1人でやっているんです。本人曰く、歌い手と会場セッティングが同じ人ならばより良い演出ができる、だそうです。」
これは驚いた。またなんとも忙しそうなアイドルである。近年の会社はどんな零細企業でも社長秘書を雇っているというのになぁ。でもマネーシャーいないと仕事の交渉とか困るよな。もしかして、それすら必要ないぐらい売れていたりするんだろうか。最近は仕事やら何やらで忙しいからな。今度将太に聞いてみよう。
そんなことを考えているうちにリサ・フィード・ジェネラリーのもとについたようだ。
「リサ、軍の方をお連れしてきたよ。」
「は~い。」
聞こえた声は年相応のわりと可愛げのある声だった。
「所長、いつもありがとうございます。」
「いやいや、これくらいのことは所長の私がするのが当然のことだよ。あ、こちらが話しておいた人だよ。」
「よろしくお願いします。」
「では、私はこれで。」
そういって所長さんとやらはどっかへ行ってしまった。さて、どうやって話を進めようか・・・・・・。
「あなた、なかなか美人じゃない。名前は?」
なりたくてこうなったわけではないのだがな。
「天児美由と申します。」
「オッケー!美由さんね。あたしのことはリサでいいわ。あと、敬語も要らない。今日はよろしく。」
「よろしくリサ。」
よろしくって今日何回言っただろうか。
「早速だけど、今日これから明日のライブのリハーサルがあるから。美由さんも来てね。」
「わかった。それと、お・・・じゃなくて私のことも美由でいいわよ。こんなスーツにグラサンだけど、私はあなたと同い年ですから。」
これは紛れもない真実である。
「うん。わかったわ。美由。じゃあ現場へレディーゴー!」
「お・・おぉ~。」
なんだかバラエティ番組っぽくなってしまったが、これでいいのだろうか。かくして2人はだびだつのであった・・・・・どこにじゃ!
「へぇ、明日のライブってここでやるんだ。」
「そうよ。ここならたくさんの私のファンが見にこれるもの。」
ライブをやるという場所は、数十年ほど前に立てられ、10年前建て直しされてドームとしても使えるようになった和也たちの地元の陸上競技場であった。ちなみにここはサッカーもできる。
「ここ来るの何年ぶりだろう。久しぶりだなぁ。」
「美由ってここ地元なの?」
「ええ、そうよ。」
さっきから女性が演じ切れている自分が怖くなってきた。だがここは平常心平常心。
「そういえば、ライブのわりには音響がいないのね。どうしてなのかしら?」
地元についてはあまり触れられたくないので話題を変えることにした。
「音響は必要ないわ。こう見えて私は超能力者なのよ。能力は、自分の言葉を広げる。」
「なるほど。それでかぁ。」
自分の能力があれば音響はいらないし、その分経費も削減できる。わりと便利だな。
「じゃあ、あたしは向こうでライブのセッティングの指示をやっているから。美由はその辺適当に回っててもいいわよ。」
「じゃあお言葉に甘えさせてもらいますか。めったにない機会だし。」
(このまま何事もありませんように。)
そんなことを考えているときほど、何事かは起きるものであることを、和也は後に知ることになる。
「お疲れ様でした~。」
ライブのリハーサルだというから、もっと時間がかかるのかとおもっていたら、おもったよりも時間はかからなかった。
「さてと、美由~。かえろ~。」
「はーい。」
「あ~疲れた。」
表情を見る限り相当がんばったのであろう。そんなものが感じ取れた。
「今日護衛に来てもらったけど、特に何もなかったわね。」
「本当。あとはリサを送るまで何事も・・・・・・」
何事もなければいいわね、と言おうとしたまさにそのとき、地面が巨大地震かと言わせるぐらいに揺れ、その数秒後に正面の道が吹っ飛んだのであった。
「!?」
はっとして振り返ると、そこにはこちらの世界の兵器がこちらに照準を合わせていた。敵はおそらく資金がそこをつき始めたテロリストだろう。ミサイルなどの兵器が一定数積まれていない。
(直立型戦車か。メサイアなら一蹴できるが、あまり町に被害を出したくないしなぁ・・・・。)
直立型戦車は、エクスカリバーができる以前の陸軍の主力であった。形はその名のとおり下半身はキャタピラで、上半身は人型といった形をしている。エクスカリバーが量産され始めてからは、一般に売りに出されている。
すぐさま頭の中で、敵の殲滅パターンを模索し、実行に移す。
「悪いけど、ちょっと我慢してろ。連中はどうやらお前が標的らしいからな。」
「え・・・あ、うん。」
いきなり語調が変わって驚いたが、リサにはうなずくことしかできなかった。
「しっかりつかまってろよ!」
そういうと、和也はリサを抱きかかえる。まずは加速して、市街地からできる限り離れる。リサのことを気遣ってそこまで速い速度は出せないが、直立型戦車をひきつけるには十分な速度であった。途中、敵がたびたび発砲してきて、そのたびにリサの悲鳴が聞こえるが、銃弾を振り切り、あるいは避け、もしくは結界でガードしながらひたすら人のいない森のほうへと走っていた。当然この間にも、和也はヘリオスへ連絡を入れている。
「よし、このあたりでいいか。メサイア!」
掛け声とともにメサイアを呼び出し、そのコックピットに座る。当然といえば当然だが、リサもコックピットにいる。
「こんなのあるんならなんで最初から使わなかったのよ。」
「ヒーローってのは、割と出し惜しみをするもんだぜ。」
ドンッと、敵が大型バズーカを発射するも、メサイアの特殊装甲でダメージは0であった。が、当然コックピットはゆれる。
「きゃあ!」
「おっと。さっきのは冗談。あんまし町に被害を出したくなかったからな。」
「コックピットでイチャつくのは関心せんぞ。」
「えっ!?どこから?」
「そんなんじゃねえよ。敵は・・・・・・7機か。バルキリー、敵機の生体反応を確認してくれ。」
「わかった。」
そういうと、バルキリーは敵生体反応の確認作業に入った。無人であれば、和也には被害を一切出さない方法があった。
「どうだ?」
「だめだ。敵機にはすべて、ジャミングフィールドがはられている。何か非物理的なものでなければ人の有無は確認できない。」
「それなら、あたしに任せて。」
そういったのは、リサであった。
「あたしの歌をあれのパイロットに響かせればいいわ。」
「どうだ、いけそうか?」
「やってみる価値はある。」
「よし、頼む!」
リサの歌が、メサイアを通して周囲に広がっていく。それはやがて、森全体を包んでいった。
(いい歌だな。)
和也は心からそう思った。たとえ、戦闘中であっても。
「よし、確認完了だ。」
「結果は?」
「メサイアから一番遠い敵のみ有人だ。他相手なら遠慮なくやれるぞ。」
「まかせとけ!」
今まで散々練習を積み重ねてきた。やってできないはずがねぇ!
「バリアプレス!クラッシャー!」
敵7機のうち、無人の6機を結界で閉じ込める。そして、右手を握ると同時に、結界の圧力で敵機は影も形もなく爆散した。
「周囲への被害は?」
「0だ。成功だな。」
「んじゃ、最後はっと!」
そういうと和也は機体から降りた。
「ちょっと、危ないんじゃないの?」
「心配すんなって。それよりもバルキリー、リサの保護頼んだぞ。」
「ああ、了解した。」
そういうと生身の状態で和也は敵機のところへ走ってしまった。メサイアに乗っているおかげで敵機は簡単にリサには視認できた。
「そんじゃ、解体作業と行きますか。」
まずはキャタピラを加速させたパンチと結界の硬さでぶっ壊す。次に、助走をつけて肩の部分に同じようにしてキックを入れる。最後にコックピットからパイロットを引きずり出して拘束して終了。
「うそ・・・・・・。」
この光景は、敵パイロットを恐怖のどん底に叩き落したのであった。
「ご協力ありがとうございます!」
威勢のよい青年警察官が手錠をかけたテロリストをパトカーに乗せて連れて行った。
「ふぅ、結構骨が折れたなぁ。」
「ねぇ。」
「ん?何だ?」
「美由さっきからそんな口調だけどぜんぜん似合ってないわよ。どうしたの?」
しまった!。戦闘モードでついつい忘れてしまった。
「ええと・・・・・これは・・・・。」
どうしよう。どうやってこの場を乗り切ろう・・・・。
「まぁ、これは本当の俺じゃないからな。」
やはりおとなしく本当のことを話そう。
「どうゆうこと?」
「まぁ・・・・いろいろあって・・・・・いろいろあって・・・・今に至るんだ。」
「それじゃわかんないわよ。」
「そうだなぁ・・・・・・早ければ明日になればわかるよ。」
「本当?じゃあこれ。」
そういって差し出されたのは、明日のライブのチケットであった。
「あした、絶対に来なさい。それで、終わったらこの裏に書いてあるところに来なさい。絶対だからね。もしこなかったら承知しないわよ。」
そのときなぜ怒りながら頬を紅くしているのかわからない和也であったが、とりあえず了解した。
「わかったよ。じゃ、家まで送ってくよ。そこまでが、今日の仕事だからな。」
「よろしくね、ボディーガードさん。」
「はぁ・・・。」
今日は大変な1日だった。本当に大変なのはこれからだろうが。
「あっははははははははは!飲め飲め!」
「和也ぁ。和也ぁ。」
「らんららんらら~ん。あぁ、和くんだ~。うふふ、あははははぁ。」
「どうしてこうなった・・・・・・。」
帰ってきた俺を待っていたのは予想以上の惨状だった。
陽子は暴れるし明は泣きながら寄り付いてくるし(ちょっと可愛かったが)香奈枝さんはなんか変だし!
「あの・・・・・・艦長。これはどうゆう経緯でこうなったんですか?」
「あら~?天児少尉じゃないのぉ。こんなことはぁ、毎年恒例よぉ。」
うおっ!スッゲー酒臭え。それでいてなにか色っぽさを感じさせるのは歳と人柄がなせる業なんだろうか・・・・・。って、じゃなくて
「毎年恒例って、いつもこんな感じなんですか!?つか、何飲んだらこんなんになるんですか!?」
陽子たち以外の面々(たとえば明の部下)も、いろいろいつもと違って狂ってるし。
「ヘリオスのぉ、特製ジュースよぉ。さ、あなたもいらっしゃぁい。」
ヤバい、いやな予感しかしない。
「いや、俺は、その・・・・・・・・。」
そういえばアリサがいないな。どこいたんだろうか。よく俺こんなこと考えられるな。
「これはぁ!艦長命令よぉ!」
そういって、俺の腕を組んで連れて行った。イヤッ!助けてっ!ぎゃああああああああああああああああああ!
「おえっ・・・・死にそう・・・・・・。」
何とか艦長という名の地獄の檻から抜け出すことはできたが、すでにHPが10%をきっていた。異能生存態ならここからが本番なんだけどなぁ・・・・・・。
そんなこんなで俺は目的の場所、アリサの部屋につくことに成功した。
「アリサ、いるか~?」
やばい、マジつらい・・・・・。
「は!は~い!」
よかったいてくれた。これで救われる。
「ど、どうしたでありますか和也殿!?すごい顔色が悪いでありますよ!?」
「こっちは気にしないでぐれ。それよりも、例のやつできてるか?」
うっ・・・・きもちわりぃ・・・・・・。
「は、はい!たった今できたところであります。」
よっしゃ・・・・・。これで元に戻れる。
「ありがとな。ところでお前、パーティー参加しなかったのか?」
もうパーティーというよりは宴会だがな。
「いえ、私には和也殿を元に戻すという大事な任務がありましたので。」
「そうか。悪かったな。じゃあ、今度なんかお礼するよ。」
「ほ、本当でありますか!」
「え、お・・おう。」
どうしたんだ急に元気出して?
「じゃ、じゃあ・・・・・・・今度買い物に付き合ってほしいであります!」
「おう、わかった。ありがとなー。」
(さて、ようやく元に戻れる。今日は早く寝よう。)
時計は午後9時を指していた。
翌日。和也の体はすっかり元通りになって朝を迎えた。
「あ~あぁ。和君そのままでもよかったのになぁ~。」
「香奈枝さん。冗談にならない冗談はやめてください。」
「でも、あのときの和也、すっごくいいからだしてたわよ。」
「やめてくれ、もう俺は二度と思い出したくない。」
あんな目にあうのはもう二度とごめんだしな。
「それよりも、お前はここでのんびりしていていいのか?今日も用事があるのだろう?」
あぁ、今日のライブのことか。
「いいなぁ~和也は。あのリサじきじきのごしょうたいだもんな~。」
「うふぅ。和君またやらかしちゃったのぉ~?」
「へ?」
やらかしたとは一体何のことだろうか。さっぱり身に覚えがない。
「あんたはまたぁ。」
「まったく。けしからんやつだ。」
はて?何のことだろうか?空気が悪くなってしまったからとりあえず話題を変えよう。
「そ、そういえば、アリサはどこにいったんだ?今朝から見当たらないけど?」
「アリサなら、まだ寝てるわよ。話に聞いたんだけど、あの子、寝ていられるときは1日中寝ているらしいわよ。」
「マジか。そりゃまたすごいな。」
「この艦の電子機器の制御を一手に引き受けているからな。それも仕方がないだろう。」
「ちなみに、操舵士は、マスターがやっているのよ。あの人は艦長不在時の艦長代理も兼任しているから。」
「どこぞの変形戦闘空母みたいだな。」
俺がまだ知らないことがあるんだな~。
「そういえば、俺この艦がまともに戦闘しているところ見たことないんだが、どんな感じなんだ?」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・。」
あれ?どうしたんだ?急に黙って?
「一言で表せば・・・・・。」
「豪快・・・・・・だな。」
「機会があったら見てみるといいかもねぇ~。」
「は、はぁ・・・・。」
そんなこんなの雑談で、時間は過ぎていった。
「うわー!すげーなー。人がいっぱい!」
時間になってきたライブ会場は、すでにりさのファンとおぼしき人々で埋め尽くされていた。
「あれ?和也じゃん。おーい!」
話しかけてきた声の主は、将太だった。そういえばずいぶん前だけどリサのファンだって言ってたような言ってなかったような・・・・?
「よぉ!どうしたんだこんなところで?」
「決まってるだろう!今日のリサのライブに来たに決まってるじゃん!この日のために小遣いとバイト代を貯めて昨日の夜から並んでやっとチケットを取ったんだ!」
それって深夜徘徊じゃねえの?とつっこもうとしたがやめておいた。
「ところで、お前はなんでここにいるの?」
「目的はお前と一緒だよ。」
「へぇってうわっ!和也のチケットS席じゃねえか!俺B席取るのがやっとだったのに・・・・。」
どうやらリサはそこまで融通を利かせてくれたらしい。
「ま、お互い今日のライブを楽しもうぜ。もうすぐ会場時間だしな。」
「おう!じゃ~な~。」
そういえばチケットの裏にライブ終わったあと来いって場所があったな。どれどれ。
ライブが終わったら、会場近くの池の真ん中にある浮島に来なさい!絶対よ!
「へいへい。」
ま、ライブを楽しませてもらいますか。
「みんな~!今日はとっても楽しかったよ!また次のライブで会おうねー!」
リサのライブは、これといったアクシデントもなく終了した。ライブの間ずっと和也はリサの歌に聞きほれていた。人々を熱くさせる傍ら、どこかやさしさを感じるあの歌は、和也の心にずっと響いていた。
ライブ終了後、指定された場所へと和也は行った。
「お、いたいた。お~い!」
「遅い!こうゆうのは男性が先に待ってるのがお約束でしょう!」
いやしらんがな。
「で、はなしってなんだ?」
「そ、その・・・夕べはありがとね。」
「いいさ。あれは俺の任務だったからな。でも何でいまさら?」
「そそそその・・・・あのときは、いろいろドタバタしていて言えなかったでしょ。」
「なんか夕べとテンションおかしくないか?どこか悪いのか?」
そういってリサの額に手を当てる。だが熱はない。
「べべベベつに・・・・・そんなことないわよ。」
「ま、いいや。それはどういたしまして。」
「その・・・・今度また依頼をするときも、あなたが来なさい。」
「う~ん。こういう任務はランダムだからなるかどうかはわからないけど、そん時のライブはいってやる。」
「ほ、本当!ぜ、絶対よ!約束ね!」
「わかったわかった。約束する。」
少年少女はいろんなことを通して大人になってゆく。こんな出来事も、また青春といえるだろう。少年と少女の1日遅れのクリスマスはそうして過ぎていった。
これで終わりだとおもった?実はまだ続きがあるよ!
翌日。起床した和也には驚くべきことが待っていた。
「ふわぁ・・・。」
「おはよっ!和也!」
「おう、おはよう。リサ。」
そこにはリサが居た。ん?まてよ?ここは艦内だ。てことはまさか・・・・・・・!
「なんでリサがここにいるんだ!」
「あら?知らなかったのかしら?天児少尉?」
そういってきたのは艦長だった。
「あ、艦長。おはようございます。それより、どうしてリサがここにいるんです?まさかまた例のスポンサーの以下略じゃないですよね?」
「今回はそうじゃないわ。これをを見てちょうだい。」
そこには何かしら書いてあった。
「えーと、なになに。日本時間12月27日をもって、以下の人物を軍曹として戦艦ヘリオスに配属とする。配属者命 リサ・フィード・ジェネラリー 所持資格 1級通信士免許。」
なにぃぃぃぃぃぃ!
「ま、そうゆうこと。これからよろしくね!」
「あ,なんでこんなところにリサがいるの!?」
「どうゆうことだ!」
「なぜでありますか。和也殿!」
ああ、めんどくさいところで3人組が来てしまった。
「へぇ、私以外にもライバルっていたんだ。」
「なるほど。」
「それはまた一理ある。」
「納得であります。」
何を納得したんだ。
「正々堂々、勝負よ!」
何の勝負だというのだリサ。
「ええ!」
「こっちこそ!」
「望むところであります!」
謎の戦いの火蓋が、今きって落とされた!そして、朝から和也の気苦労は耐えないのであった!
どうも、お久しぶりです。木内マサヤです。
本当はこの話、5月中には投稿する予定だったんですけど、何せ私は中3です。修学旅行などがあってずるずると引き延ばしてこの日になってしまいました。さて、今回はいかがでしたでしょうか?なにぶん国語の成績が悪いド素人が書いているものですので、細かいところには目をつぶっていただければ幸いです。今回新たに登場した新キャラは、どんな作品にもいそうなアイドルです。一応作中でもいわれていたとおり、通信士の資格を持っている(という設定)ので、ヘリオスの通信士になる予定です。スパロボ風にいうなら途中追加のサブパイロットですね。(2次Zで言うあたりのロ〇といったところでしょうか)
今後は、和也の私生活や、学校でのこと、また、戦闘シーンにも力を入れていきたいとおもいます。今後とも、この作品をよろしくお願いします。