苦悩
チエミが自分の部屋に戻ると、猫のたまが待っていた。
「あの親父は何も知らないから、何を聞いても無駄だ」
「どういう事?お母さんも魔法少女だったんでしょ?」
「・・・・」
「お前は、魔法少女になって世界を救わなきゃならない。
これは使命だ」
「そんな、あたしには無理よ」
「子供達が泣いていてもお前は何もしないというんだな?」
「世の中には、お前にしか出来ない事もある。時間はある。よく考える事だ」
タマはそう言うと部屋を出て行った。
(そういえば、お母さんはいつも言ってた。弱い人を救える強い人になりなさいって)
(今の自分は人の役にたってるのだろうか?)
「タマー、タマー」
チエミはタマを呼ぶ。
タマがめんどくさそうな顔して現れる。
「俺はアレキサン・」
「アレキサンダー、一応あなたの話を聞いてあげるわ」
「やっとヤル気になったのか?いいだろう、押し入れの箱を持って来な」
チエミは押入れから箱を取ってきた。
ピンクのステッキを取り出す。
「じゃあ、変身してみな」
アレキサンダーが、催促する。
「えーと、何かポーズとか付けた方がいいのかな?」
「好きにするんだな」
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