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母の遺品

母の葬儀を終えたチエミは遺品の整理をしていた。


チエミの母は正月のTV番組で大笑いをして

餅を喉に詰まらせ、あっけなく逝ってしまった。


押し入れの奥から大事そうな桐の箱が出て来た。

ひょっとしてお宝?と期待して出て来たものは・・・

『ピンクのステッキ』

よくおもちゃ売り場に売っていそうな品。

「え?、何これ?」

チエミはそれを手に取り目を白黒させる。

中には手紙が添えてある。

『チエミちゃんへ 母より』

どうも、母が書いたものらしい。

『チエミちゃんがこの手紙を読んでると言う事は、たぶんお母さんはこの世に居ないのね。

 原因は病気?事故?まさか餅を喉に詰まらせたなんて事はないわよね?』

(母上様、そのまさかです)

『お母さんは、チエミちゃんに伝えておかなければいけない、大事な大事な話があります』

『うちの家系は代々魔法少女の家系なの』

(魔女ではなく、何故魔法少女?)

『その力で悪をやっつけなければならないの』

『でも、その力を使うには、一緒に入っていたピンクのステッキが必要よ』

『そのステッキを持って『マジカルスター、ビューティフルチェンジ!』って

 言うの、次の瞬間あなたは魔法少女に変身よ』

『一緒に首輪が入っているはずよ』

『詳しい事は、その首輪を付けた動物が教えてくれます』

『じゃあ、チエミちゃん、お母さんの分まで頑張ってね』

(お母さん、あなたは娘に何をさせる気ですか?)

チエミはステッキを箱に戻し押し入れの奥に戻した。


「あたし今年で28よ。魔法少女なんて絶対無理」


チエミは首輪を箱に戻してない事に気が付いた。

(これをタマに付けたら、ひょっとしてタマとお話出来るのかな?)

タマはチエミの家の飼い猫だ。

ニャー

丁度タマが部屋に入って来た。

嫌がるタマに首輪を付けてみる。

「ねえ、タマ、私の言葉が解る?」

タマはじっとこっちを見ている。

(あたし、何やってるんだろう。猫がしゃべる訳ないじゃない)

「タマって猫みたいな名前で気安く呼ぶんじゃない。俺はアレキサンダーだ」

タマがしゃべった。

そのままタマは向こうの部屋に行ってしまった。

(あたし、夢を見てるのだろうか?)

チエミは頭が混乱していた。

隣の部屋では父が部屋の整理をしていた。

(お父さんなら何か知ってるかもしれない)

「チエミ、押入れの整理は済んだのか?」

「お父さん、あのね。お父さんは魔法とか信じちゃったりする?」

「はあ?」

「そうか、お前、お母さんが死んだのが余程ショックだったんだな」

父は可哀想な子を見るような目でチエミを見た。

(お父さん、本当に知らないらしい)

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