第1話 友達
高校の、めんどくさい入学式とかが終わって、もうすでに1ヶ月が経った。
校舎の造りにこそまだ少し戸惑いを感じるものの、クラスの雰囲気はまあまあ明るくなった感じだ。
緊張しながらクラスのドアを開けたのがなんだかすでに懐かしい。
そんな今日は、よく晴れた水曜日。
慣れない勉強に相変わらず疲れきって、ようやく放課後という感じだ。
クラスの奴等も、やっと開放されたというように、ガヤガヤと帰る支度を始めた。
「健太ぁ〜、お前今日部活行くよなぁ?」
そう俺に話しかけて来たのは、同じクラスで同じ部活の高橋 豪。
豪は身長が高く、ずばぬけてかっこいいと言うわけではないが、整った顔立ちをしている。
身長が165cmしかなく、自分で言うのはどうかと思うが、顔もいたって普通の俺からすればとても羨ましい。
「あぁ、うん。もちろん行くよ」
そう考えながらした返事は、なんだかとても気の抜けた感じになってしまった。
「なんだよ、やる気ねぇなぁ。今日からやっと練習に入れるじゃん?」
豪はとても嬉しそうに言った。
俺もそんな豪をみて思わず笑顔になった。
「ちょっと考え事。ってか俺だって嬉しいんだって!」
ここ北高はバスケが強いことで有名で、入部してから1ヶ月は主に筋トレや走り込み。
やっと今日からボールが触れるのだ。
バスケが大好きな俺らにとって嬉しくないはずがない。
「おっし!じゃあ先輩が来る前に早く準備しにいこっか!」
俺は立ち上がって豪にそう言うと、机に無造作に押し込んだプリントやら教科書やらをスポーツバッグに詰め込む。
「おい、早くしろよ〜」
豪はそんな俺を見て笑いながらそう言った。