『上』 素敵なあなたへ
とある人から私は不思議な人だと言われた。
誰かが困っていてどうにもならない気持ちの時に、
突然その人の前に現れてはその人がもうある程度自ら
元気で歩める様になった時、頑張れそうになった時、
突然又その人の前からどんどん離れていなくなっちゃう。
そして次に元気を求めている人の元へ私自身が誘われてく。
それは勿論男女に限らず。
そんな私自身に本当は何処かで気付いてたのかも知れない。
ずっと以前から・・・・・、
もう何年も前の話、
自殺未遂を何度も繰り返していた女性に出会った。
それは友達の友達。
第一印象はとても明るくて朗らかな人。
私はその時はまだそんな彼女の本当の姿を全く知らずにいた。
友達と遊園地へ行った。その時友達が彼女を連れて来た。
そう・・・友達の短大の友。
私は明朗な彼女とすっかり意気投合した。そしてこんな会話、
「私海外とか行った事なくってさぁ、
やっぱり初めて行く時は慣れた人と行ければいいなぁと思ってさぁ」
そんな彼女の言葉に私は答えた。
「じゃとりあえずグァム行ってみますか~!
私も実はグァム行くのは初めてなんだよねぇ」
「いいねぇ!きゆちゃんと一緒なら何だか安心、
こう言う機会でもないと思い切って出掛けられないもんねぇ」
「じゃ計画しようよ!」
「うんうん!計画しよう!」
そんな二人の会話、そして楽しかった初めてのグァム旅行。
だけど彼女を知るようになってから、彼女の苦しみや
苦悩にも触れて行く事になった。
彼女が長い期間恋愛に苦しんでた事、そしてその恋は
不実なものだって事。今はこんなにも軟派志向な私だが、
実は物凄く真面目で堅物過ぎたあの頃の私、
彼女の相談に乗っては彼女の不実な恋にもそして
不実な恋の相手をも許せなくて、諦めた方がいいと
訴え続けていた。だけどそれは彼女を責めている
だけに他ならなかった。
ある日突然彼女から言われた。
「恋は盲目なんだよ、解っていても高鳴る気持ち
はどうにもなんない。もう引き返せない。
恋も後先考えて頭の中で計算して生きてるきゆちゃん
には、私の気持ちなんて解んないんだよ・・・」
その頃の私には見えていなかった。
私自身の価値観でダメなものはダメだってずっと思ってた。
だけど・・・その人にとっての幸せってきっと
其々なんだろうなって、何年も経ってから気付けた気がした。
それは例え誰かを傷つけてしまったとしても止められないもの
なんだろうって。私はそれを経験した訳じゃない。しかし、
彼女に出会って、約10年の期間友達していて、気付かされた
んだって。今は少し、そんな彼女の気持ちが理解出来る様に
なった私。
あの頃の私は・・・。彼女にこんな事を告げた。
電話の向こうで泣きながら語る彼女、
「きゆちゃんに酷い事言ってごめんね。だけどもう一度
友達したいんだ。だから何処にもいかないで
私の傍で友達でいて欲しい」
そう言う彼女に私は告げた。
「私と友達辞めるのあなたが選んだ事だよね?
だから私から続けて欲しいとは言えないし、
そのあなた自身の気持ちを信じてみればどうかな?
私はいつでも友達だと思ってるよ。
例え離れてしまっても、だけどあなたの意向を信じて
前に進んで欲しい。そして強く生きて欲しい!
それだけだよ・・・」
今考えるとなんて冷たい事言っちゃったんだろうって
自分の中には反省でいっぱいだけど、そんな私だから
後から考えるとその時もしも誰かに
「人じゃなくロボットだ!」 と言われてもある意味しょうが
ないのかも知れない!そんな気持ちになった。
だけど今の私、少し大人の女性になれたんじゃないかなぁ・・・。
あなたは気付いていないよね?あなたから私にくれたもの
なんて、きっとあなたは何もないんだって思ってる
かも知れないけど、私もあなたから教えらてた事、貰った
ものたくさんあるんだよ?それはね。
誰かの価値観を否めない事、そして幸せはその人の心の中に
存在すると言う事。そして時には人を傷つけて
しまうけど人は決して綺麗事だけでは生きて行けないと言う事、
それが人なんだからって事、私あなたからいっぱい学んだよ。
そして私があなたを救えた事、あなたはもう死のうなんて思わ
なくなったはず。強く生きてく覚悟を決めてくれたはず、私は
今でもあなた自身が納得した人生の中で幸せな気持ちでいるん
だと信じてるよ。
例え離れてしまっても私にはその事が解るんだ。
だって長い間友達だったんだもんね!
またいつか・・・・・二人でバカ騒ぎして盛り上がりたいね。
あの頃約束したように60歳や70歳、ううんもっともっと
いつかお婆ちゃんになってしまっても、
ずっとこんな感じでいられたらいいねぇってね!
私はあなたから貰った大切なものを、今も無くさ
ない様にして生きているよ!