第11話:再会・・・悲しみと希望
世界に起きた異変。
目撃したのは聡史達だけでなく、世界中の人々も・・・。
そして・・・。
こちらはとある拠点。
ガイラス「違うと言うのか?」
陸帝ことガイラスが、目の前にいる部下にそう聞いた。
『はい、アスト様によりますと・・・魔力的な放出は感じず・・・信じられないことですが外世界からの干渉かと・・・だそうです』
そう報告する部下の魔物。
ガイラス「この件で奴等が動き出すかもしれんな・・・警戒は怠るなと幹部達に伝えろ」
ガイラスはそう指示し、部下達は四散していった。
そして拠点の遥か地下にある部屋。
厳重に封がしてあり、逃げ出すことは不可能に近かった。
アスト「大人しくしていれば俺もお前を斬らずにすむ・・・」
姫巫女「・・・」
無言で時を過ごす姫巫女。
アスト「何で魔物なのに姫巫女の見張りと世話をしなくちゃいけないのかね・・・」
そう言いながら上階へ戻っていったアスト。
姫巫女(まさかとは思いましたが・・・感じた力は私の力そのもの・・・リアル世界に時空に干渉できる力があるなんて・・・でもこれで、私がずらしてしまった時間軸は修正に向かったはず。あのメッセージを導かれた者が見てくれれば・・・)
ただ、深き地下の中で導かれた者を待つ姫巫女。
聡史「ノイトスが渡してきた魔物・・・元気だね」
ヘスカ「・・・もう町は見えているんだがな」
姫巫女の城があった街よりはかなり小さいものの、ここでも人々が逞しく生活を続けていた。
聡史「町に入るんだけど・・・」
聡史は飛び続けている魔物を見た。
ヘスカ「案内の役目は終わったはずだが」
ヘスカがそう言うと、魔物は聡史の目の前に降りてきて光に包まれていった。
聡史「えっ、何・・・」
慌てる聡史。
そして光がなくなると、そこに魔物の姿はなくペンダントが宙に浮いていた。
聡史「魔物がペンダントに・・・」
ヘスカ「違うな・・・ノイトスか・・・一族の他の奴がペンダントを魔物に変えていたんだ」
そう説明するヘスカ。
聡史「で、どうすれば・・・」
ヘスカ「ノイトスからの何かしらのメッセージかもしれないな、お前が持っていろ聡史」
そんな訳で、ペンダントをポケットに入れてこの町にいるはずの仲間を探すことにした。
ヘスカ「とはいえ、町中から人を一人探すのは大変だが」
そう思っていた時
『もう少しおまけしてっ』
そんな声が聡史に届いたのだった。
聡史「!?」
不意に歩みを止める聡史。
ヘスカ「どうした?」
『いつも買いに来てるんだから、お願いっ』
どうやらその声は、向こう側の店から聞こえていた。
と、いきなり駆け出していった聡史。
ヘスカ「おい、聡史」
人混みの中に消えていく聡史。
聡史(忘れるはずがない・・・もう、一ヶ月前だけど・・・)
そして、その店の前にたどり着いた聡史。
『おじさん、ありがとっ』
お礼を言い、店から出てきた声の主。
聡史「紗江っ!」
思わず大きな声で名を呼んだ聡史。
紗江「えっ・・・」
店の前で目が合う聡史と紗江。
聡史「やっと・・・会えた・・・」
そう言い紗江の手を掴む聡史。
紗江「離してよっ」
と、いきなり手を払い除けられた聡史。
紗江「初対面なのにいきなり何するのよ」
紗江の言葉に唖然となる聡史。
聡史「初対面って・・・何を・・・言って・・・」
ヘスカ「確かこっちだったな・・・」
ここでようやくヘスカが聡史に追い付いた。
聡史「僕だよ・・・聡史・・・」
必死になっている聡史。
紗江「いやっ、離して!」
思いきり聡史を突き飛ばした紗江。
そして、この騒ぎを聞き付けてきた警備の者達が、聡史を取り押さえた。
聡史「目の前に・・・やっと・・・会えたのに・・・」
涙を浮かべそう呟く聡史。
ヘスカ「待て、彼は・・・」
そして、この騒ぎの中に飛び込むヘスカ。
警備員「なんだお前は、お前もこいつの仲間なら一緒に牢へ入れるぞ」
警備員の言葉にヘスカは
ヘスカ「話を聞け・・・」
警備員「聞く必要はない。何故ならお前達は町長の孫娘に手を出したのだからな」
聡史・ヘスカ「!?」
警備員の言葉に驚く二人。
聡史「・・・」
何がどうなっているのかわからないまま、何故か悔しい気持ちの聡史。
紗江「・・・っ・・・」
そして、紗江もまた・・・。
警備員「この二人を牢へ!そして紗江様を安全に町長の所へ・・・」
だがそんな時
『お待ちなさい!』
鋭く澄んだ声が辺りに響いた。
警備員「これは・・・テスラ様」
紗江「テスラさん・・・」
テスラ「彼等を解放しなさい。この件は私が責任を持ち預かります」
そう言い伝えたテスラ。
テスラと呼ばれた人物により、とりあえずは助かった聡史達。
しかし、聡史の精神的な影響は大きかったのであった。
テスラ「では、ついてきてください。紗江、せっかく買ったものですから落としたもの拾っておきなさい」
紗江「あっ、すいませんテスラさん」
紗江が素直に謝ったりする姿も、聡史には初めてのように見えていた。
ヘスカ「私が手伝います。なので・・・」
テスラ「わかりました」
そんな訳で、聡史はテスラと共に町を歩くことになった。
聡史(紗江・・・)
テスラ「心配はいりません。少なくとも私と夫は状況を把握していますから」
聡史「えっ・・・」
そして、しばらくの時が過ぎ・・・。
テスラ「あなた!少し警備員に関して・・・」
ロモス「すまないことをしたね。それに紗江にも・・・と、私がこの町で町長をしているロモスじゃ」
聡史も紗江も無言で、ロモスの話を聞いていた。
ヘスカ「それで・・・一体何が」
テスラ「彼女、紗江は記憶喪失になっています」
はっきりそう答えたテスラ。
聡史「記憶・・・喪失」
ヘスカ「だから聡史の事を・・・」
紗江を見ながら告げるヘスカ。
テスラ「偶然にこの町をさ迷っていた紗江と出会い・・・名前以外を喪失して・・・身を隠させる意味で孫娘だという風に致しました」
聡史とヘスカに説明していくテスラ。
ロモス「ワシ等も長生きしておる。あの戦いの事も異世界の者達が活躍したことも知っておるんじゃ」
ヘスカ「では・・・」
テスラ「最近活発になりつつある魔物達から紗江を守るため・・・その間に記憶を戻す方法を過去の文献などから調べ何とかしようと思いましたが・・・」
聡史「あの・・・何か少しでも・・・手掛かりとか・・・」
焦りながら尋ねる聡史。
ロモス「エンブレムじゃ・・・それも水か光属性のな」
テスラ「不思議な力を持つエンブレム・・・しかもオリジナルの強い浄化の力ならばと・・・確証はありませんが」
聡史「ヘスカさんっ!」
ヘスカ「確かにオリジナルで浄化の力を持つ水か光なら・・・しかし・・・」
ロモス「まず見つかっておらん。仮に見つかっても使える者が」
聡史「・・・」
まだ紗江を助けたわけではなかったが、救いの光は確かに聡史の手に届いていた。
聡史「見つかったら僕が使いこなしてみせます。絶対に紗江を助けるから」
紗江「なっ・・・」
記憶がないながらも、真剣な聡史を意識していた紗江。
しかし、聡史達は知らない。
導かれた者を狙い、この町に敵が近付いていることに。
そして・・・。




