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第9話:新たな手がかり

聡史「なんか・・・この世界に来たときみたいな」


本当にそう感じていた聡史。


『貴方が新しい主なのですね』


先程までとは違う声が聡史に聞こえてきた。


聡史「誰?」


と、赤い光が集まりそれが人の形を成していった。


フィム「私はフィム。炎のエンブレムに宿りし力。今のこの姿は契約のために成したものです」


そう説明したフィム。


聡史「契約って・・・」


フィム「貴方の持つレプリカの元となったオリジナル・・・扱いが難しい故に使い手を見極めるため力に魂が宿っているのです」


聡史にわかるように語るフィム。


聡史「契約すれば・・・ヘスカさんを助けられるかな」


フィムに尋ねる聡史。


フィム「貴方には素質があります・・・きっと・・・」


聡史「フィムさん・・・僕に力を貸してください」


聡史のその言葉を聞き、笑顔を見せたフィム。


フィム「契約の承諾を確認・・・貴方を主と認め、この力を授けます」


フィムがそう告げると、光が収縮していき聡史の意識は外世界へと戻っていった。


聡史「!?」


意識が戦いの場に戻り、すぐさま状況を確認する聡史。


ヘスカ「聡史・・・」


聡史「きっと大丈夫だから。僕には・・・」


聡史がそう言うと、左手の甲にエンブレムが浮かび上がった。


ヘスカ「成功か・・・」


そう告げると魔物達から離れるヘスカ。


ヘスカ「任せてもいいか?聡史」


聡史「はいっ」


剣を構え魔物達の前に立つ聡史。


魔物「お前に用はない・・・あるのは・・・」


聡史「力を解き放つ」


そして次の瞬間、エンブレムから放たれた炎が室内を駆け巡っていった。


ヘスカ「これが真の炎の力か」


ヘスカもこれには驚いていた。


そしてこの炎は瞬く間に、魔物達を包み込んでいった。


魔物「なっ、なんだこれは」


炎に包まれ次々と力尽きていく魔物達。


魔物「こ・・・の・・・」


そして、最後に残った中型の魔物も倒れ炎は鎮火していった。


聡史「やっ・・・た・・・」


そう呟くと同時に倒れ込む聡史。


それを間一髪、疲れた表情をしながらもヘスカが支えた。


ヘスカ「私より年下なのに大した奴だな」


感心するヘスカ。


『やっぱり私の選んだ通りでしたね』


そんな声が再び聞こえてきた。


ただ今回は、ヘスカにも声が聞こえていた。


ヘスカ「姫巫女様・・・ですか」


と、二人の前にホログラムのような状態で女の子が姿を現したのだった。


聡史「んっ・・・あれ・・・」


目の前に知らない人がいて唖然としている聡史。


ヘスカ「彼女が姫巫女様だ、聡史」


そう教えたヘスカ。


姫巫女「かしこまらなくていいですよ。ヘスカ・グランリート」


そう告げた姫巫女。


ヘスカ「・・・すべて知っているのですか?」


姫巫女「私には先代の記憶が受け継がれています。そっくりに成長しましたね。まるでミラ・グランリートのようですよ」


そう告げて微笑んだ姫巫女。


ヘスカ「いえ、私はまだ姉には・・・」


聡史「でもどうしてこんなことに・・・」


姫巫女「そうですね・・・私にわかる範囲でお話しします」


そんなわけで姫巫女の話を聞いていった二人。


姫巫女「私の魔力で分身を残せたことが救いでした・・・ですが私の本体は・・・城にいた魔物達のボスの名は、陸帝・ガイラス・・・」


ヘスカ「・・・敵の目的はやはり姫巫女様の・・・」


姫巫女「私の力・・・先代の頃から狙われている力ですね・・・私は未来に何かを感じ貴方達を呼びました。三年前よりも時間に余裕がありましたが・・・」


聡史「僕が強くなかったから・・・」


ヘスカ「過去の事は振り返るな。こうなった以上やることは決まっている」


そう言いきったヘスカ。


姫巫女「本体の居場所までは特定できませんが・・・」


ヘスカ「はい。私達には他の目的もあります。聡史の世界の仲間を集める・・・ガイラス達とまともに戦うには力を合わせなければならない。三年前に彼や姉がやったように」


強い決意でそう告げるヘスカ。


姫巫女「どうか・・・気をつけて・・・」


と、次第に姫巫女の声が小さくなっていった。


聡史「お姫様が・・・」


姫巫女「分身に与えた・・・魔力が・・・なくなりますね」


ヘスカ「しばらくお待ちください。必ず貴方を助けに向かいます」


姫巫女「ありがとう・・・」


最後にそう告げると、姫巫女の姿はそこから消えてしまったのだった。


聡史「・・・」


ヘスカ「街に戻るぞ。しばらく休みながら新しい情報を探さないとな」


そう告げたヘスカ。


そして二人は城の兵士達に全ての事情を伝えた。


その後二人は、数日街で身体を休めながら情報等を集めていた。


ヘスカ「モノルスと通信した。この街の外れに一族の仲間がいるらしい。行くぞ」


聡史の有無を聞かず、進み始めていたヘスカ。


そして・・・。


ヘスカ「詳しい場所はモノルスもわからないらしい。街にいるが住処をコロコロと変えるらしくてな」


そう説明するヘスカ。


聡史「でもこの地図に印をしてくれた・・・直接話を聞けば詳しい場所までわかるかも・・・」


そう考えていた聡史。


そして、しばらく街の外れを探索した二人。


そんな時ヘスカは、微かなこちらに向けられている威圧を感じ取った。


ヘスカ「聡史・・・」


聡史「はい、何か・・・僕じゃほとんどわからないですけど・・・微かに」


ヘスカの感覚を頼りに、歩を進めていく。


『モノルスのつかいか?』


そんな声が聞こえ、木の上にモノルスのような魔物がいた。


聡史「あの・・・」


聡史が話しかけようとした直後、聡史の足元にナイフが突き刺さった。


ヘスカ「どういうつもりだ?」


念のため剣に手をかけ理由を聞いたヘスカ。


『この間はモノルスを介しての頼みだったからな。だが、俺は人間に協力する気は最初からない』


ヘスカ「・・・なら何故街にいる。人々が嫌いなら森にでも住めばいいはず」


聡史「じゃああまり関わらないから・・・一つだけ」


『・・・』


木の上からじっと聡史を眺めている魔物。


『あの姫が呼んだ異世界人・・・名は何だ?』


聡史「聡史・・・」


ノイトス「俺はノイトス・・・俺が人に名乗るなんてな・・・まぁいい、数日待て」


突然そう告げたノイトス。


ヘスカ「数日だと・・・」


ノイトス「一族でも俺の力は特別なものだ。それ故に時間がかかる。それまで待て」


聡史「いきましょうヘスカさん」


まだ納得していないヘスカにそう言う聡史。


そして二人は進展のない数日をこの街で過ごしていった。


数日後、小さな魔物が宿にいた二人の元へやって来た。


聡史「もしかしてノイトスの・・・」


ヘスカ「自分で伝えに来ればいいものを・・・」


と魔物は二人の前に自身のホログラムを出現させた。


ノイトス『聡史の身体に残っている時空移動データを元に探ってみた。極端に小さく感じとるのが難しかったが、何とか成功した。その魔物が目的の町まで案内するだろう・・・あと追加でその魔物にあるプログラムを入れてある。じゃあな』


そう伝えると、ホログラムは消えてしまった。


ヘスカ「これで確信ある手がかりは得た」


聡史「はいっ、急ぎましょう」


こちらの時間で約一週間ほどのロスをした二人は、すぐに次の町へと向かうのであった。

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