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転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした  作者: リリーブルー


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推しの食生活を改善させる方法

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https://www.alphapolis.co.jp/novel/780153521/689943168

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

 ——食事。それは、生命を維持する基本。しかし、レオナルト公爵はこの基本を軽視していた。

「公爵閣下、食事はもう済まされましたか?」

そう問いかけるのが、最近の俺の日課になっている。そして今日も、返ってくる答えは——

「……まだだ」

(やっぱり……!)

 俺は心の中で嘆息する。戦場にいた頃ならともかく、ここは王都だ。戦の準備に追われているとはいえ、食事を取る時間くらいはあるはず。なのに、レオナルトは食事を後回しにしがちだ。

(原作の描写では、「無駄を嫌う公爵は食事すら効率的に済ませる」とか書かれてたけど……実際は、単に食事への関心が薄いだけなんじゃ?)

 思い返せば、俺も転生前はそうだった。「食べる時間もお金ももったいない」と思い、食事を抜いたり、適当に済ませたり。その結果、栄養が偏り、体調を崩し、それでも休めず……最終的には過労死。

(……いや、俺もなかなか酷い生き方してたな)

 そんな過去を思い出しながら、俺は目の前の公爵を見上げた。

「閣下。今日は俺が食事を用意しました」

「……お前が?」

 レオナルトは驚いたように眉をひそめる。

「俺のために、わざわざ?」

「はい。どうぞ」

 俺は、給仕に運ばせた盆をテーブルの上に置いた。そこには、豪華な料理……ではなく、シンプルな献立が並んでいる。

・焼きたての黒パン

・香草入りのスープ

・柔らかく煮込まれた肉と野菜のシチュー

(あえて、質素なメニューにした)

 理由は、彼に「食べることの大切さ」を知ってもらうためだ。

「……随分と質素だな」

 レオナルトがスープを見下ろしながら言う。

「栄養を考えたら、これくらいで十分です」

 俺は言った。

「それに、閣下は普段から食が細いでしょう? 無理に重い食事をとるより、こういう方が体に良いんですよ」

「……ふん」

 レオナルトは無言でスプーンを手に取り、スープを一口飲んだ。

(どうだ……?)

 俺はドキドキしながら、彼の反応を待つ。レオナルトは、しばらくスプーンを止めたまま、沈黙した。そして、一言。

「……悪くない」

(よし……!)

「それは何よりです。栄養バランスを考えて作りましたので、これからは少しずつでもいいので、ちゃんと食事を取る習慣をつけてください」

 レオナルトは、俺をじっと見つめる。

「お前は、本当に俺の世話を焼くのが好きだな」

「好きとかではなく、閣下に長生きしてもらいたいだけです」

 ——本当に、それだけだ。俺は、転生前に「食べる時間も惜しんで働き続けた結果、倒れた人間」だった。だからこそ、わかる。「ちゃんと食べる」ことは、生きるために必要なことだ。

「……わかった」

 レオナルトはそう言って、パンを手に取った。

 ——この人は、戦うためだけに生きているわけじゃない。

 この小さな一歩が、彼が「自分を大切にする」ことに繋がればいい。

(次回、「推しに休息を覚えさせる方法」へ続く)

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転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

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