推しの食生活を改善させる方法
2025年 11/1~11/30 投票期間 BL大賞 参加中↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/780153521/689943168
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
——食事。それは、生命を維持する基本。しかし、レオナルト公爵はこの基本を軽視していた。
「公爵閣下、食事はもう済まされましたか?」
そう問いかけるのが、最近の俺の日課になっている。そして今日も、返ってくる答えは——
「……まだだ」
(やっぱり……!)
俺は心の中で嘆息する。戦場にいた頃ならともかく、ここは王都だ。戦の準備に追われているとはいえ、食事を取る時間くらいはあるはず。なのに、レオナルトは食事を後回しにしがちだ。
(原作の描写では、「無駄を嫌う公爵は食事すら効率的に済ませる」とか書かれてたけど……実際は、単に食事への関心が薄いだけなんじゃ?)
思い返せば、俺も転生前はそうだった。「食べる時間もお金ももったいない」と思い、食事を抜いたり、適当に済ませたり。その結果、栄養が偏り、体調を崩し、それでも休めず……最終的には過労死。
(……いや、俺もなかなか酷い生き方してたな)
そんな過去を思い出しながら、俺は目の前の公爵を見上げた。
「閣下。今日は俺が食事を用意しました」
「……お前が?」
レオナルトは驚いたように眉をひそめる。
「俺のために、わざわざ?」
「はい。どうぞ」
俺は、給仕に運ばせた盆をテーブルの上に置いた。そこには、豪華な料理……ではなく、シンプルな献立が並んでいる。
・焼きたての黒パン
・香草入りのスープ
・柔らかく煮込まれた肉と野菜のシチュー
(あえて、質素なメニューにした)
理由は、彼に「食べることの大切さ」を知ってもらうためだ。
「……随分と質素だな」
レオナルトがスープを見下ろしながら言う。
「栄養を考えたら、これくらいで十分です」
俺は言った。
「それに、閣下は普段から食が細いでしょう? 無理に重い食事をとるより、こういう方が体に良いんですよ」
「……ふん」
レオナルトは無言でスプーンを手に取り、スープを一口飲んだ。
(どうだ……?)
俺はドキドキしながら、彼の反応を待つ。レオナルトは、しばらくスプーンを止めたまま、沈黙した。そして、一言。
「……悪くない」
(よし……!)
「それは何よりです。栄養バランスを考えて作りましたので、これからは少しずつでもいいので、ちゃんと食事を取る習慣をつけてください」
レオナルトは、俺をじっと見つめる。
「お前は、本当に俺の世話を焼くのが好きだな」
「好きとかではなく、閣下に長生きしてもらいたいだけです」
——本当に、それだけだ。俺は、転生前に「食べる時間も惜しんで働き続けた結果、倒れた人間」だった。だからこそ、わかる。「ちゃんと食べる」ことは、生きるために必要なことだ。
「……わかった」
レオナルトはそう言って、パンを手に取った。
——この人は、戦うためだけに生きているわけじゃない。
この小さな一歩が、彼が「自分を大切にする」ことに繋がればいい。
(次回、「推しに休息を覚えさせる方法」へ続く)
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転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした




