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転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした  作者: リリーブルー


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冷酷公爵との初対面

2025年 11/1~11/30 投票期間 BL大賞 参加中↓

https://www.alphapolis.co.jp/novel/780153521/689943168

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

 転生したら小説の世界だった。しかも、よりによって悪役の側近とかいうハードモード。

 だが、ただ絶望している場合じゃない。俺は死にたくないし、何より推し(レオナルト公爵)が処刑される未来なんて耐えられない。

 ならば、運命を変えるしかない——!

 ……と決意したのはいいものの、転生したばかりの俺は何をすればいいのか分からず、とりあえず屋敷を歩き回っていた。

 記憶が妙に馴染んでいるのは、この体の「元のシリル」のものが残っているからだろうか?意識は完全に俺自身なのに、不思議と屋敷の構造が分かるし、使用人の顔も知っている気がする。

 そして、気づけば俺は、レオナルト公爵の執務室の前にいた。

 「……ここが、レオナルト公爵の部屋」

 小説の中では「冷酷非道な悪役」として描かれていた男。美しくも無慈悲、感情を持たぬ氷の公爵。

 俺の「推しキャラ」だった。

 (……推しに会えるとか、普通なら最高の展開なのに)

 問題は、俺が「側近」という立場なことだ。つまり、この先、俺の態度ひとつで生死が分かれる可能性がある。

 深呼吸し、扉をノックする。

 「失礼します、公爵閣下」

 重厚な扉を押し開けると、そこには——

 銀の長髪が、窓からの光に揺れていた。

 レオナルト公爵はデスクに向かい、書類を広げている。光の加減で長い睫毛が影を落とし、その横顔はまるで芸術品のようだった。

 小説の挿絵で見たときより、実物の美しさが半端ない。

 高身長、鍛えられた体躯、冷たい眼差し。まさに「戦場の鬼神」の異名を持つ男。

 「……何の用だ?」

 低く、静かな声。

 睨まれているわけではないのに、体が本能的に緊張する。圧がすごい。

 だが、俺は冷静を装い、口を開いた。

 「いえ、閣下のご様子を見に参りました」

 「ふん……。相変わらず、忠実なことだな」

 レオナルトは書類に視線を戻し、さらりとペンを走らせる。

 (あれ……思ったより冷たくない?)

 小説では、彼は側近にすら厳しく、使えない者は即座に切り捨てる非情な男だったはず。けれど、今のレオナルトはただ淡々としているだけで、別に冷酷な印象はない。

 むしろ……疲れてる?

 無表情を保っているが、目の下にかすかな影があるし、指先に微かに力が入っていない。

 (もしかして、レオナルト公爵って、最初から「悪役」だったわけじゃない……?)

 原作小説では、彼は冷酷な策謀家として描かれていた。でも、それはあくまで「主人公視点」だからでは?

 実際に近くで見ると、小説の中で語られていない部分が見えてくる。

 例えば、彼は本当に「冷酷なだけ」の人間なのか? 本当に「悪役」なのか?

 (……推しの真実を知れるって、やばいな)

 とりあえず、俺は目の前の公爵を観察することにした。

 彼が悪の道に進む前に、何かできるかもしれない。

 そして、運命を変えるために、まずは「信頼を得る」ところから始めよう——。


2025年 11/1~11/30 投票期間 BL大賞 参加中↓

https://www.alphapolis.co.jp/novel/780153521/689943168

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

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