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転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした  作者: リリーブルー


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猫と農業と、俺の試練

2025年 11/1~11/30 投票期間 BL大賞 参加中↓

https://www.alphapolis.co.jp/novel/780153521/689943168

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

「で、お前は本当にこれをやるつもりか?」

 レオナルトが腕を組み、俺の目の前に広がる畑を見下ろしていた。

「はい。戦争で荒廃した国土を復興するには、まず食料の安定が必要です」

「……本気で農業をやるつもりなのか」

「ええ!やります!」

 俺は力強く頷いた。この国は長い戦争の影響で、畑も田んぼも荒れ放題だ。食料不足が深刻化しているのに、貴族たちは贅沢な食事を楽しみ、庶民は飢えに苦しんでいる。——この状況、俺の前世で見た「持続可能な農業」の知識を活かせるんじゃないか?

「不耕起農法ってやつを試してみたいんですよ」

「ふこうき……?」

「簡単に言うと、畑を耕さずに作物を育てる方法 です!」

 レオナルトは少し眉をひそめた。

「耕さずに育つのか?」

「育ちます! むしろ、下手に耕しすぎると土が痩せてしまうこともあります。自然の力を活かして、草や藁を使って土を守りながら作物を育てるんです!」

「……お前、本当にどこから来たんだ」

 レオナルトがじっと俺を見つめる。

(やばい……ちょっと知識を披露しすぎたか!?)

「ま、まあ、本で読んだんですよ! たぶん……!」

「……ふむ」

 レオナルトは納得したのかしないのか、興味深げな視線を向けてきたが、俺は必死に誤魔化した。

「で、俺はどうすればいい?」

「えっ?」

「お前が本気でやるなら、俺も手伝う」

「ええええっ!? レオナルト様が、農作業を!?」

「何か問題が?」

 軍服のまま畑に立つ美形将軍——想像しただけでシュールすぎる。

「いや、でもそんな……畑仕事って、土まみれになりますよ!?」

「別に構わん」

 レオナルトは淡々と言い放つと、すっと軍帽を外し、黒マントを翻して脱いだ。陽の光を浴びた銀髪が、風になびく。

 ……えっ、ちょっと待って、何その 絵画みたいな美しさ!? この人、土まみれになっても絶対に美しいままなんじゃ……?

(やばい、なんか目の保養すぎて直視できない……!)

「おい、シリル。何をぼんやりしている」

「え、あ、はいっ!」

 俺は慌てて鎌を握り、草刈り作業を開始した。——その時だった。

「にゃあああああああああ!!」

「!?」

 突如、黒い影が畑に飛び込んできた。

「お、おい!お前、何してんだ!」

 俺の足元に飛び込んできたのは、あの 黒猫 だった。前足をぐっと踏ん張り、じっと俺を睨んでいる。……まさか。

「お前……畑に入るなって言いたいのか?」

「にゃあっ!」

 まるで「ここは俺の縄張りだ!」とでも言うかのように、黒猫は俺の前に仁王立ち(猫だけど)した。

「ええ……お前、猫のくせに農業の邪魔をする気か……」

「にゃあ!」

「なんでそんな気迫あるんだよ!?」

「……ふっ」

 隣でレオナルトが小さく笑った。

「お前は本当に、こいつに嫌われているな」

「ちょ、レオナルト様!?なんでそんな楽しそうなんですか!」

「いいぞ、そのまま戦え」

「えええっ!? これ、戦いなの!?」

 俺と黒猫の間に、緊迫した空気が流れる。シリル vs 黒猫——この勝負、負けられない。いや、和解する必要がある。

「お前がどうしてもここに居座るというなら……いてもいいけど、危ないから作業の邪魔をしないでくれ。獲物は取ってもいいから。和解しよう」

 俺はそっと手を差し出した。

 ——黒猫は、ジッと俺を見た。次の瞬間。

「にゃあっ!」

「うわあああああ!?」

 思いっきり引っかかれた。

「レオナルト様!助けて!」

「……頑張れ」

「他人事ー!!」

 こうして、俺と黒猫の 長い戦い が幕を開けたのだった。

2025年 11/1~11/30 投票期間 BL大賞 参加中↓

https://www.alphapolis.co.jp/novel/780153521/689943168

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

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