7. きまぐれクック(かねこ)
ユーチューバー好きな『モトヤ』と『ソウマ』の何気ない日常。
また『モトヤ』がズレたことを言っているので『ソウマ』が困っています。
こっそり...聞いてみましょう。
【モトヤ】ねぇねぇソウマ、最近YouTubeにハマってるんだけどさ。
【ソウマ】へぇ、どんな動画観てるの?
【モトヤ】料理系YouTuberの『きまぐれクック』ってやつ。
【ソウマ】ああ、有名な人だよね。魚とか捌く人でしょ?
【モトヤ】そうそう、あれ観てたら俺もなんか捌きたくなっちゃってさ。
【ソウマ】いいじゃん、料理始めるってこと?
【モトヤ】いや、料理というか、捌くだけの人になりたい。
【ソウマ】いやいや、捌くだけってなんだよ。食えよちゃんと。
【モトヤ】だからさ、俺、昨日からまず手始めにサバを買ってきてね。サバくだけに。
【ソウマ】えっ、今ので終わり?まさかのダジャレ?
【モトヤ】ちょっと待って。これサバだけにダジャレじゃなくて『サバれ』だから。
【ソウマ】それが一番ダジャレじゃねえか!しかも謎に命令形だし。
【モトヤ】それでサバをね、台所に置いて、真剣な眼差しで向き合ったのよ。
【ソウマ】うん、まあ、真剣な眼差しは大事だよ。
【モトヤ】目が合った瞬間、なんかサバが「やれるもんならやってみろ」みたいな顔してきてさ。
【ソウマ】死んだサバが挑発してくるわけないだろ。
【モトヤ】いや、きっとYouTubeのサバはもうちょい素直だと思うんだよね。俺のサバ、全然心開かなくて。
【ソウマ】魚に心の開き方なんて求めんなよ。アジじゃねえんだから。
【モトヤ】そう!アジの開きならぬ、サバの開きを作ろうと思ったんだよ。だけど結局、台所で2時間くらい睨み合っただけで終わった。
【ソウマ】いや、サバと睨み合って2時間って。将棋の名人戦かよ。
【モトヤ】将棋でいうなら完全に膠着状態だったよね。
【ソウマ】何が膠着状態だよ。お前が動けば終わる話だろ。
【モトヤ】でも、やっぱりあの包丁持った瞬間、緊張してさ。『きまぐれクック』はめちゃくちゃ冷静じゃん。俺、完全に「ビビりクック」だったもん。
【ソウマ】料理する気ないならクック名乗るなよ。
【モトヤ】俺思ったんだよ、魚捌く人って冷静さが命だって。だから俺も途中で気持ちを落ち着けるために、『銀色のヤツ』を用意したわけ。
【ソウマ】お前も真似してスーパードライ飲もうとしたのかよ。
【モトヤ】いや、うちになかったから代わりにアルミホイル握りしめてた。
【ソウマ】『銀色のヤツ』って本当にただの銀色のヤツじゃねえか。金属だろそれ。
【モトヤ】アルミホイル握っても気持ちは整わなかったねぇ。
【ソウマ】それで、結局捌けたの?
【モトヤ】いや、結局ダメだった。だから、最後はサバに謝ったよ。「申し訳ない。お前の命、俺には重すぎた」って。
【ソウマ】いやいや、捌けてないからまだ何も始まってないぞ。
【モトヤ】でもさ、サバと向き合ったおかげで、命の重みを学んだっていうか。
【ソウマ】全然いい話じゃないからな。お前ただ買ったサバを無駄にしただけだから。
【モトヤ】無駄になんかしないよ。最後は責任持って、ちゃんと逃がしたから。
【ソウマ】逃がしたって何だよ。お前どこに逃がしたんだよ、死んだサバを。
【モトヤ】そっと、近所の川に流した。
【ソウマ】川にサバ流すなよ!生態系どうなるんだよ!それ下手したら事件だぞ。
【モトヤ】まさにサバイバルだよね。
【ソウマ】うるさいよ、だからダジャレやめろって。
【モトヤ】次はイカにしようかな。イカなら簡単そうじゃない?
【ソウマ】お前、魚で失敗してるのに次イカに行くのか?
【モトヤ】イカに行くか行かないか、迷ってる。
【ソウマ】だからもうダジャレ禁止!
【モトヤ】ダジャレじゃなくて、イカにも本気だよ。
【ソウマ】それがダジャレだって言ってんだよ!
【モトヤ】じゃあ俺にダジャレ取ったら何が残るっていうんだよ。
【ソウマ】お前に残るのは、捌けなかったサバへの罪悪感だけだよ!
【モトヤ】じゃあ罪滅ぼしに、『きまぐれクック』に弟子入りしようかな。
【ソウマ】急に弟子入り?あの人に迷惑かけんなよ。
【モトヤ】でも、師匠が『きまぐれ』だから弟子入りも『気まぐれ』で大丈夫じゃない?
【ソウマ】最後まで適当に締めようとすんなよ!
【モトヤ】やっぱ人生も魚もさ、鮮度が大事ってことだよね。
【ソウマ】いや、お前の人生、今だいぶ腐りかけてるぞ。
ありがとうございましたー!!!!
残念ながら元気になれなかった方は次のエピソードにお進みください。
元気になれた方はまた来てくださいね。(๑•̀ - •́)و✧
リアクションもありがとうございます。コメントも励みになります!
では、また明日!