11. おろちんゆー
釣り好きな二人の何気ない日常。
また『モトヤ』がズレたことを言っているので『ソウマ』が困っています。
こっそり...聞いてみましょう。
【ソウマ】ねえモトヤ、この前貸した釣り竿、まだ返してもらってないんだけど。
【モトヤ】あぁ、それなら返せなくなったんだよね。
【ソウマ】なんで返せなくなるんだよ。壊したのか?
【モトヤ】違うよ。釣り竿は今、僕の相棒になったんだ。
【ソウマ】何そのカッコいい言い方。意味わかんないんだけど。
【モトヤ】相棒を返すわけにはいかないだろ?だって、僕は今、自然と戦ってるからね。
【ソウマ】自然と戦うって何だよ。普通は自然と共存するだろ。
【モトヤ】共存なんて生ぬるいよ。自然ってやつは毎回全力で僕を倒しに来るんだから。
【ソウマ】自然が本気出してお前を倒しに来るわけないだろ。お前、自然に狙われるほど重要人物じゃないから。
【モトヤ】いいや、もう何回も命の危機を感じてる。昨日だって毒を持った魚を捕まえたんだ。
【ソウマ】それ、絶対お前から挑みに行ってるだろ。魚のほうからケンカ売ってくるわけないから。
【モトヤ】でも捕まえた瞬間、思わず叫んだよ。「ンギモッヂィィィ!」ってね。
【ソウマ】急におろちんゆーみたいな声出すなよ。素人がそんなこと言ったらただの変な人だから。
【モトヤ】あの瞬間、僕は完全に彼と同化していたんだよ。
【ソウマ】お前と同化したら、おろちんゆーさんが迷惑だろ。
【モトヤ】そうかな?僕らは同じフィールドで戦ってる仲間だから。
【ソウマ】いや全然違うから。彼は素潜りして獲物を捕まえるプロだけど、お前なんかその釣り竿がなきゃただの泳げない人だから。
【モトヤ】それを言ったらおしまいだよ。僕だって素潜りの練習をしてるんだよ。昨日お風呂で1分も潜ったんだぞ。
【ソウマ】風呂場で息止めるだけなら素潜りじゃないから。それただの我慢大会だから。
【モトヤ】でも、お風呂で素潜りすると、魚の気持ちがわかるんだよ。
【ソウマ】わかるわけないだろ。魚はお湯に浸からないし。
【モトヤ】じゃあ魚はお風呂に入らないっていうのか?どうやって清潔感を保つんだ?
【ソウマ】魚は清潔感とか気にしてないから。シャワー浴びてるマグロとか見たことないだろ。
【モトヤ】でも寿司屋のマグロ、やけにツヤツヤしてるぞ?あれは絶対毎日シャワー浴びてるって。
【ソウマ】なんで寿司屋のマグロが生活感あふれてるんだよ。お前の頭の中だけ魚が人間臭いんだよ。
【モトヤ】まあそんなことより、最近僕も「いただきますの気持ち」を大切にするようになったんだ。
【ソウマ】それはいいことだな。自然への感謝ってやつだろ?
【モトヤ】いや違うよ、「いただきますの気持ち」って言うだけで、味が三倍うまくなるんだよ。
【ソウマ】そんな都合のいい魔法じゃないから。感謝を味付けみたいに言うなよ。
【モトヤ】僕が採ってきた魚はどれもプロテインが豊富だからね。
【ソウマ】なんかお前、おろちんゆーの真似ばっかしてない?
【モトヤ】真似じゃないよ、リスペクトだよ。
【ソウマ】リスペクトしてるわりには、お前の釣果いつもゼロじゃん。
【モトヤ】いやゼロじゃないよ。昨日だって変わった魚を捕まえたんだ。透明でふわふわ浮いてるやつ。
【ソウマ】それクラゲだろ。クラゲは魚じゃないから。
【モトヤ】魚じゃないなら何なんだよ?空飛ぶゼリーか?
【ソウマ】空飛んでないだろ。海の中だから。
【モトヤ】そうやって常識に縛られてると、本当の自然は見えてこないよ。
【ソウマ】お前はまず、魚の定義をちゃんと調べろよ。
【モトヤ】いいよ、じゃあ今日から魚って呼ぶのをやめるよ。これからは全部「プロテイン」って呼ぶ。
【ソウマ】そんなにプロテインにこだわるなよ。お前の話、ほとんどプロテインしか残ってないじゃん。
【モトヤ】君はまだ自然の真実を知らないんだな。自然はすべてプロテインでできているんだ。
【ソウマ】世界観がおろちんゆー超えてるよ。もういいから釣り竿返せ。
【モトヤ】あ、それなら無理だよ。あれ、魚と戦って折れちゃった。
【ソウマ】最初に折れたか聞いたとき、折れてないって言ったじゃん!
【モトヤ】そうだっけ?自然と戦いすぎて記憶が飛んでるな…。
【ソウマ】お前が自然を語るなよ!
ありがとうございましたー!!!!
残念ながら元気になれなかった方は次のエピソードにお進みください。
元気になれた方はまた来てくださいね。(๑•̀ - •́)و✧
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では、また明日!