表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/157

第2話―驚愕の招待状

「………あの魔力、確かにグリエド様のだけど、グリエド様の魔力じゃない気がする」


ジャック殿の言葉に、僕達は頭の上に?を浮かべる。


「と、言いますと………?」

「うーん………何て言えばいいかなあ。今までのグリエド様の魔力って、どこか包み込まれるような安心感とか、そういうものがあるんだけど。でも、今の“境界”の結界は、何にもない、空っぽな魔力、そんな感じがする」


ジャック殿独特の感覚に、ますます頭に?が増える。

いや、そもそも――


「――そもそも、グリエド陛下のスキルは虚無系だろう?何故そんなにも強力な結界を使えるのだ?」


そうラグナ殿が、僕の考えをピシャリと言い当てる。

すると、急に指パッチンが鳴り響き、僕達はいつの間にか玉座の間へと転移していた。


「なぜ玉座の間に……?」

「なになに、何が起こったの!?」

「一体何が……」


突然の出来事に、皆混乱している中。


「それには私が答えよっか!」

「「「うわあ!?!?」」」


またも背後からヒョイッと生えるように現れたのは。


「「「へ、陛下!?」」」

「あー!カレンちゃん!」

「ジャックやっほー!」

「「イエーイ!」」


言いながら、ノリノリでハイタッチを交わす二人。


「カレン………ちゃん………!?」

「どうやったらそこまで親しく………というか陛下に向けて『ちゃん』とは………」


僕達は二人の親密さに驚きを隠せず、皆口をあんぐりと開けている。

僕は正気に戻り、一つ咳払いをして問う。


「………いや、それはそれとして後ほど聞きますが。カレン様、グリエド様のスキルは虚無系じゃないのです?」


というのも、僕、というよりも僕達が陛下の生前に見たことあるのが、虚無系統の能力しか見たことがないのだ。そして、陛下自身も自分のスキルは虚無系統である、というような事を仰られていた。故に、僕達は陛下のスキルは詳細こそ不明なれど、虚無系統だと認識していた。

僕の質問に対して、カレン様は答える。


「えっと、これは私と母上……つまり前王妃ね、それと宰相しか知らないんだけど」


そう前置きをして、カレン様は続ける。


「父上のスキル名は、『守護ノ神盾(アイギス)』。その権能は、様々な種類の結界なの。だから、父上の本来の能力は虚無系じゃなくて、防御系なのよ」

「「「なっ…………!?」」」


開いた口が塞がらない、とはこの事だろうか。今まで隠されていた真実に、僕達は驚くことしか出来なかった。

カレン様の言葉は続く。


「父上が使ってた虚無系っていうのは、こないだの戦いで私も使った、【王族系統外魔法】と呼ばれる魔法よ。人間に舐められないように、【虚無魔法】を主に使っていたの」

「なるほど……」


僕らは納得した。たしかに、それならば【虚無魔法】を使っていた方が効率が良い。

ただ、疑問なのが……


「……では何故、今になってグリエド様の結界が?既にお亡くなりになられているはずなのに………」


とは、メロウ殿の言葉だ。皆同じ疑問を持っていたのか、その質問に頷いている。


「それが分からないのよねえ………時限式の結界なんて聞いた事ないし、そうなったら人間側が何かしらしたっていうのが1番有力なんだけど………ん?」


カレン様の言葉は、しかし続くことは無かった。なぜなら、その途中に小さい「ナニカ」がこの玉座の間に入ってきたからだ。

それを見るなり、ジャックが声を上げる。


「あー!ボクの土人形デコイ!どーだったー?」

「ジャックの?どういうことだ?」


姉さんのその問いに、相変わらずの天真爛漫な笑顔で答える。


「あのね、さっきここに転移する前にね、“境界”に土人形デコイを放ってたんだー。簡単に言うと、偵察ってこと!それで、何かあったら帰ってきてーって、言ってたんだけど……」


彼がそう言うと、その土人形デコイが魔法陣から何か書面のようなものを出す。ジャック殿がそれを受け取ると、土人形デコイは粒子となって消えていった。ジャック殿が魔法を解除したのだろう。


「ん……?これは………って、えぇ!?」

「どうしたんですか?」


読むなり、彼はそんな素頓狂な声を上げる。


「こ、これ………」


そう言って、ジャック殿が僕にその書面を渡す。


「…………へっ……!?」


受け取った書類を読むと、僕も変な声を出してしまう。


「何だ何だ、何が書いてあったんだ?」


皆の視線が僕達に集まる。僕達は顔を見合せ、互いに頷き合い、覚悟を決める。


「「……“聖界”から、王城への招待状、」」

「だって……」「ですって……」


僕達が声を揃えて言うと。


「「「えええええええええぇぇぇ!?!?!?」」」


玉座の間に、全員の叫び声が響いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ