第3話―模擬戦、勝敗決す
「―ふむ、掴めたぞ」
刹那、魔力の嵐が吹き荒れる。私はそれを真正面で食らい、吹き飛ばされ、背中から感じる衝撃に声が漏れる。
「グッ……」
「普段使わない得物だから掴むのに少々手こずったが……ただの木刀でも悪くないな」
「……何なのです、それは……」
「極致、と言われる奥義だ。自分の剣と己、双方の魔力を一つにし、魂に触れ、その力を最大限に解放する技だ」
「……剣すらも極めているのですか。やはりまだまだ敵いませんね、姉上には……。……私の負けです」
「私もまだまだだ。あの体勢を崩す技、見事だ。あれは初見じゃ見切れなかった」
「水崩、ですね。我ながらいいタイミングだと思ったのですが……」
「うむ、私が極致を使ってなかったらお前の勝ちだな。私が一枚上手だっただけのことだ」
「そうですね……。ですが、いい経験になりました。また少し1人で鍛錬してみます」
「そうか。では私も魔力練度を高めるとしよう」
姉上の魔力が消えた、あの感覚……。あれを自分のものにできれば、私はまだ強くなれる。あの感覚をものにするべく、私は剣を正眼に構え、目を閉じ、深く呼吸を繰り返す。
と、その時、森の入り口から声がした。