第25話―終わりよければ
「……!?姉上、“魔眼”が……!」
「……ああ、お前の魔力の流し方が上手いのか、馴染みがいいな。制御の仕方が解ってきたぞ」
眼帯が解けて落ち、露わになった姉上の右眼から魔法陣が消えていき、左眼と同じ鮮やかな藍色の眼が見えた。
「なるほど……。“魔眼”制御の鍵は、“魂”の強度とその状態なのね……」
サーリャ様は何か合点がいったのか、少し表情に笑みが見える。
「少し、試してみましょうか。―『夢幻ノ王』、〚幻想顕現〛」
私がそう言うと、姉上の前に“幻想体”が現れる。
「いくぞ。―“魂滅の魔眼”」
姉上が唱えると、右眼が鮮やかな紫色に輝き、魔法陣が浮かぶ。
そして、魔力を少し多めに生み出した“幻想体”を姉上が見つめると、そこには最初から何も無かったかのように、塵となって消えていった。
そして、姉上は右眼の魔法陣を消す。
「うむ、完璧だな。助かったぞ、ヴァイ」
そうして姉上はニコリと微笑む。
「ええ。これくらい、わけもありませんから」
「さすが私の弟だ」
そして、私たちはサーリャ様に向き直る。
「世話になったな、色々と」
「ええ、本当にね。何か良くないことに巻き込まれたし、疲れたわ」
「あれは私も想定外だ。ここに来るなんて思ってなかったし、そもそも殺したと思ってたからな」
そういって苦笑する2人。
「さて、では私たちはこれにて。ありがとうございました、サーリャ様」
「ええ。またいつでも来てくれていいのよ?」
「では、お言葉に甘えて、また頼らせていただきますね」
「ええ、待ってるわね」
そう言って、私たちは転移魔法で家に帰った。