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第24話―〝大罪使い〟の能力

「冥土の土産に教えてあげるよ。僕の名前はアリオス。〝魔女狩りの一族〟にして、〝大罪使い(フェロニアス)〟だ」


アリオスと名乗った奴は、そういうと二振りの魔剣を私たちに向けて構える。


「極致・双ノ型―“流星”」

「―ッ」


終わりか―そう思った時。


「―全く、私のことも忘れてもらっちゃ困るわね。せっかくいるんだから頼ってくださいな、お二人さん」


そうして無詠唱で、系統魔法【風】の最高等魔法を行使する彼女。


「おっと。そういえばもう1人〝魔女の末裔〟がいたんだったね。僕としたことが、すっかり忘れていたよ」


襲いかかる暴風を難なく避けるアリオス。


「『叡智ノ王(メーティス)』、〚解析アナライズ〛。……貴方たち、厄介な魔法使ってるのね…。〚解呪ディスカース〛」


サーリャ様が苦笑しながらそう詠唱すると、私達の身体の自由が戻った。


「助かった、サーリャ。一生の不覚だ」

「恩に着ます、サーリャ様」

「ええ。それよりも、あいつ、魔力が無いのだけれど?不気味だわ」

「それは同感です」「そこは同感だ」


私と姉上は声を揃えて言う。


「………やれやれ。面倒なことになったね。ここは一度、撤退させてもらおうかな」

「させると思うか?」


そう言いつつ姉上は、右眼の眼帯を外す。


「死ね―“魂滅の魔眼”」


そして、奴は先の戦いと同じように、糸が切れたように倒れる。

その瞬間―私は気づいた。奴の“魂”が、身体に無かった。恐らく奴は、“魂”のみを身体から逃し、“魔眼”から逃れたのだろう。


「……チッ、逃したか」

「姉上も、気づきましたか」

「2人とも、どういうこと?」


唯一“魂”を感知できなかったのか、サーリャ様が問いかける。

それに対し、姉上は眼帯を着け直しながら説明する。


「私が“魔眼”を発動させる直前、奴の身体から“魂”が逃げていくのが見えた。恐らく、前回もああやって生き延びたのだろう。あの感じからして、身体を滅ぼしても新しい身体を依代としてくるだろうな」

「私も同感です。恐らく、新しい依代に馴染むまで時間がかかるでしょうから、しばらくは来ないでしょうけど」

「そう、なのね。それならよかったわ。多分、私じゃ相手にならないもの」


恐らく、サーリャ様の言葉は合っているのだろう。奴の使っていた〚強欲グリーディア〛という魔法と似て非なるものは、遠距離特化の彼女とは相性が悪すぎる。魔法を全て奪われ、撃ち返されて終わりだ。


「……にしても、この“魔眼”、魔力の消費が尋常じゃないな……」

「あら、本当ね。あれだけの効果だし、仕方ないといえばそうなのかもしれないけれど」

「でしたら、私はまだ余裕がありますし、少し分けましょうか?」

「悪いな、助かる」


そうして私と姉上は手を繋ぎ、魔力回路を繋げる。そこからお互いの魔力の波長を調整し、流していく。


「……姉上、あなた相当無茶をしていますね……。“魂”がボロボロではないですか」


私がそう言うと、姉上はバレたとばかりに目を逸らす。


「……仕方がないだろう、こないだのと今回のとで使いすぎたんだ。特に“魔眼”がまだ制御できてないからな……」

「……確かに、それもそうですね。ついでに、そちらも整えておきましょう」

「助かる」


そうして、魔力を流しながら、その器たる“魂”を整えていく。元々姉弟なだけあって、魔力の波長が似ているのか、思いの外すんなりと流れていく。

そうやって魔力を流していると、姉上に変化が起きた。


「……!?姉上、“魔眼”が……!」


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