第9話―黒白の幻想
「たしかに、魔女の末裔ですが―」
そして、私達は互いに逆の手の平を前に出し、剣を召喚する。
「―深淵に溺れよ、影淵剣アビスレイジ」
影淵剣アビスレイジ。剣身が全て漆黒に染まっている、かなり珍しい魔剣だ。
「―天焦がす光に灼き穿かれろ、陽天剣ソルクツァーレ」
陽天剣ソルクツァーレ。影淵剣とは対を成す1振りで、こちらは剣身全体が純白に煌やいている。
その2振りの魔剣の妖しい輝きに絶句する4人。
「………なんッスか、それ………」
「聞いていた情報と違うぞ……」
「ほう?その情報とやらを教えてもらわねばなあ?」
思わず漏れてしまったであろうその言葉にしまった、という表情をする人間。
「……一度撤退するぞ!」
「させませんよ?」
「させると思うか?」
同時に言い、同じ魔法、系統外【紫】:〚精神拘束〛を放つ。
「ッ!?なんすかっ、これ……っ!」
「身体が……動かんっ……!?」
「私たちの魔法ですよ。私たち、この手の魔法は得意分野でしてね」
そう言うと、奴らは目を丸くし、身体を震わせる。
「まさか……貴様らは……〝紫の末裔〟…!?」
「ああ、申し遅れましたね。私、ヴァイと申します。隣のこの方が、姉上のレイティアになります。以後、お見知りおきを。まあ……もはや冥土の土産、というやつでしょうけれど」
冥土の土産、という言葉を聞いて、一斉に恐怖し出したのか、中には失禁している者もいる始末だ。
「みっともないな。仕方ない、さっさと終わらせてやるか」
「そうですね。姉上、せっかくですし、アレを」
「いいな。合わせられるか、ヴァイ」
「もちろんです。いつでも」
「よし。では―行くぞ」
「まっ…………」
「「天上天下―天淵双滅撃!!」」