謎の展示品
あれから、どれほどの時が流れた?
ここは……どこだ? 辺りが暗くて何もわからぬぞ。
……とりあえず、我の使命を思い出さねば……。
――っ!! 滅びの日……?
わ、れ……我は……何を言っておるのだ……?
――……――……??――っ!!
……頭が……痛い……!!
赤……国……黒……。
わ、訳が分からぬ……!!
……まあ、いずれ思い出すだろう……焦る必要はない……。
時間は無限にあるのだからな……。
……我には、「生」という概念すら存在せぬのだから……。
もうしばし、眠るとしよう……。
Zzz……Zzz……。
暗闇に閉じ込められている者は再び深き眠りについた。
xxxx年 4月6日
ここは、アルケット王国南部に位置する美術館。
「王立ペナンシオ美術館」。
今日は新たな展示品が入荷される予定で辺りは忙しなく動いている。
コンコンコン…。
「入れ。」
執事のような身なりをした老人が扉をゆっくりと開け、丁寧に閉めた後、一礼する。
「失礼いたします。」
「要件はなんだ。」
「はい。シュフェン様に展示室のリニューアルについてお話を伺いたいとのことです。」
「わかった。すぐ向かうと伝えてくれ。」
「かしこまりました。」
私は読んでいた新聞紙を丁寧に折り畳み、カップソーサーに入っていたコーヒーを一気に飲み干す。
そして急いで執務室を後にした。
美術館の廊下を歩きながら、私はふと考える。
「新しい展示品…。どのようなものが来るのかいささか楽しみであるな。」
王立ペナンシオ美術館には古代遺物や名画、東方の品、北方に住まう動物の化石が数多く収蔵されている。
今回の展示リニューアルは、特に貴重な品が含まれていると執事から聞いていた。
やがて、展示室の前に到着すると、学芸員たちが慌ただしく作業をしていた。
中央のテーブルには、一つの黒い箱が置かれている。
「これが…?例の品か。」
箱は頑丈な金属製で施されており、所々塗装が剥げていた。
まるで、封印されているかのようだ。
学芸員の一人が私に向かって声をかける。
「シュフェン様、こちらが新たに発掘されたあの恐ろしい展示品です。」
すこし強調された言葉にこの展示品のどこが恐ろしいのかわからず、私は箱に近づき慎重に観察することにした。
すると―蓋には古びた紙が貼り付けられており、そこには奇妙な文字が書かれていた。
その文字は波を打ちわずかに判読することができた。
(内容はよくわからないが…文字が震えている。)
不吉な予感が私の胸をよぎる。
この箱の中は、一体何がーー?
展示パネルの紹介
↓
ーレッシェンー
およそ■■■■年前に滅んだという国ビュフェン・シュランクから発掘されたもの。
しかし、この国に関する文献は一切発見されておらず、発掘者がやむを得ず国名を命名した。
発掘者によると、この黒い本は当初、頑丈な木箱の中に収められていたという。
さらに、その上には不気味なメッセージの紙が添えられていたが、
紙には無数の穴が空き、多くの文字が消えており、判読は極めて困難な状態であった。
かろうじて判読できたのは、以下の断片的な文章のみである。
■■■■■のせいで●●●●●は
滅んでしまった。あれは 本 !!
が しまっている。
いったいどうしてこんなことに
なってしまったんだ!!!!
この文章の意味するものはいったい何なのか、未だ解明されていない。