赤の喪失

XXXX年12月4日
遥か北に位置するコルヴァランド。
この地域では年中、雪が降り続けるといわれる厳寒の地である。
だが、今年は異例の事態が起こっている。
天候師の報告によれば、今年はまだ一度も雪が降っていないらしい。
その情報を頼りに、とある考古学者たちはこの地域に足を踏み入れた。
彼らの目的は、この地にそびえる未踏の山脈——。
フロスト・ディーヴァ・トゥントゥリ・ヘイムの調査である。
彼らはその山脈を調査するためコルヴァランドから東に約８㎞進む。
しかし、晴れていた雲は嘘のように暗くなり……涔涔と雪が降り始める。
やがて、その粒は次第に大きくなり空を覆う。
まるで何かが侵入者を拒むかのように凍てつく風が彼らの体温を奪い去る。
避難を余儀なくされた彼らは、近くの洞穴へと逃げ込む。
そこで彼らは、想像もしなかった"あるもの"を発見する。
それは、極寒の地に埋もれながらも、まるで時を超えて存在していたかのような遺物——黒い箱。
その箱は、頑丈な金属製で施されており、塗装は所々剥げ落ち、異様な雰囲気を漂わせていた。
さらに、蓋には奇妙な古びた紙が貼り付けられ、近くの岩壁には意味不明な不気味な文字が刻まれていた。
——決して開けてはならない。
まるで封印を警告するかのように。
しかし、学者たちはその警告を無視し、発掘を決行する。
やがて、その箱は南へと運ばれ、王立ペナンシオ美術館へと収蔵されることとなる。

これは私が高校三年生に創作したショートストーリーを再構成している物語です。

※不定期更新です。予めご了承ください。