表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
便利屋〈CAT〉始めました  作者: ただの屍
第一章 あの日の約束
11/13

エピローグ 念願の一枚



 これは、クレイさんとメアリーさん、二人のその後の話になる。


 重症のクレイさんと軽傷のメアリーさん。《焔の塔》で負った傷の治療は僕が、ではなく、メイビスが請け負った。

 重症のクレイさんはともかく、腕以外は軽傷だったメアリーさんは三日で完治。その傷の治る速さは、流石はBランクの冒険者と言えた。

 反対に、重症だったクレイさんの完治は一ヶ月の月日を要した。傷口に塗り込んだ薬草の治癒成分、その吸収が一割にも満たなかったのだ。

 薬草の治癒成分の六割を吸収していたメアリーさんとは違い、傷の完治に五倍もの時間を費やす事になったクレイさん。

 よって、治療費も五倍。こちらも商売なので、敗けて上げる訳にも行かない。


 クレイさんの依頼に関しては、僕の落ち度もあるので免除。残すは、一ヶ月間の宿泊料と治療費と朝昼夜のご飯代。

 全部で、一四○○○○エルとなった。


 Eランクの冒険者からしてみれば、かなりの大金。

 案の定、クレイさんは財布の中身を空にして、くとぼとぼと店を出て行く事になった。


 それから暫く経って、クレイさんとメアリーさんがお店を訪ねて来た。

 どうやら、二人でパーティーを組んだらしい。

 これから、幼い頃に交わした約束を果たす為に二人で旅に出るのだとか。


 「律儀だねぇ。わざわざ顔を出さなくてもいいのに」そう言うと、「キャットさんは恩人だから」とクレイさんは僕に言った。

 恩人なんて、そんな風に感じる必要は何処にもないと言うのに。

 勇気を出したのも、ボロボロになって戦ったのも、全部彼の力なのだから。

 僕は、そんな彼に少し力を貸しただけに過ぎない。

 とは言え、メアリーさんの依頼に関しては違う。ちゃんと依頼を引き受け、便利屋としての職務を全うした。

 だから、依頼を達成した『証』を書いてもらった。


 メアリー・テイラーの名前を。

 ついでに、クレイ・ライトの名前を。


 『便利屋〈キャット〉さん、依頼を引き受けてくださりありがとうございました。また何かあればお願いします』。


 そんな、お礼の一言を添えて。


 僕は、依頼達成書と命名したそれを、酒場の壁の大きなボードに貼り付けた。

 これから先、このボードいっぱいに依頼達成書が並ぶ事を考えると、それはもう笑顔が溢れて来る。


 そんな、夢の様な未来を思い描きながら、僕は『それ』を見つめた。


 ——便利屋〈キャット〉、初の依頼達成の証を。


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ