危険が一杯、オーク群生地っ!! 6
いつの間にか陽が落ちて自我が私に変わった今でも私達のテントの中からレジーナが子猫が甘えるような声を上げるのが聞こえてくる。
正直、軽い悪ふざけのつもりだった。レジーナのように自立した成人女性ならナタリアがすり寄って来ても、きっちりと断れるだろうと思っていた。
なのにあっさりと落ちるとは・・・。
さすがに罪悪感に耐えきれず止めに入った方がいいのだろうか? と、私が悩み始めた頃、テントの中からナタリアが声をかけて来た。
「お先にあがったわよ。ローニャ、悪かったわね。」
さっぱりとした顔で出てきたナタリアは「じゃ、今度はアタイが見張っているから、アンタも済ませな。」と言ってくれた。
「う・・・うん。」
未だテントから出てこないレジーナを心配しながらテントの中に入った私は、同じくさっぱりした顔で長い髪を結あえているレジーナの姿を目にする。
「え・・・。だ、大丈夫?」
私は正直、意外だった。私だってナタリアに迫られた時は結構、怖かったのにレジーナは特に何も感じていないようにあっさりとした態度だったからだ。
レジーナも私のそんな態度をみて事情を察したのか、悪戯っぽい笑顔を浮かべて「ああ・・・。外まで聞こえていましたか? 次からは気をつけなくっちゃ。」と言う程度だった。
「・・・・・・ど、どういうこと?」
私にはレジーナ言っていることの意味がさっぱりわからなかった。
レジーナは戸惑う私に近づき、耳元で囁いた。
「あれは遊びのようなものです。
私は男子禁制の女聖騎士学校の寄宿舎で育ちましたから、ああいう関係には慣れています。
最初は遊びのつもりでしたが、ナタリアがあまりにも上手なので、つい、上級生にのお姉様に可愛がっていただいていた少女の頃の気分にトリップしてしまったみたいです。
ま、それも遊びです。ナタリアもその事には気が付いていたみたいですが・・・」
その言葉を聞いて私はオーガ退治の仕事をした町の修道女が隙あらば私を全裸にしていたことを思い出した。
(あ・・・あの娘、私に変なことしてないでしょうねっ!?)
一瞬で素に戻って青ざめてしまった。
そんな私にチャームが(ああ、大丈夫大丈夫。彼女、貴女の裸を舐めるように見ていたけど、それ以上の事は自分の体にしかしていなかったから・・・)と保証してくれた。
・・・いや、それ以上の事は自分の体にしてたのか、彼女。
「ローニャ。ま、あんまり複雑に考えないでください。ただの遊びです。遊び。
ただし、他言無用に願いますよ。乙女の秘め事ですから。」
レジーナは私の耳元で腰砕けになってしまいそうなほど色っぽい囁きをしてからテントの外へ出て行く。出入り口の幕を開けながら「遊びだけど、ナタリアには手を出さないでね?」と割とガチ目の口調で私に釘をさす。
「それはナタリアに言ってよね・・・。」
テントの外へ消えていくレジーナの背中にそう抗議したが、その声が彼女の耳に届いていたのか私にはわからなかった。