ヒロイン揃い踏み 9
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「あ、そうだ!! アルバート様に会う前に、今からちょっとだけアレンジしてもらってもいい?」
「任せてっ!! 手早く、それでいて可愛くしてあげるっ!!
大丈夫。女の髪なら今まで理髪店並みに手入れしてあげた経験があるんだからっ!」
ナタリアはそういうと俺の髪をサイドから編み込んでくれた。
出来上がった姿を通りにある建物の窓ガラスで確認した俺は感動する。
「いやーんっ! 私、可愛すぎない~~っ!!」
サイドから編み込んで背後でくくっただけで私の清楚さがアップした気がする。
(ヤバいっ!! 私、やっぱり可愛いわっ!!)
(これで上目遣いで彼を見つめたら、私の事、絶対に好きになってくれるよねっ!!)
(可愛い可愛いっ!! ママ、可愛いわよっ!!)
(ありがとうチャームっ!! 貴女も可愛いわよっ!!)
それからしばらくの間、チャームに褒められながら窓ガラスに映った自分に見惚れていたけれど、「ほらほら、遅くなっちゃうから」と苦笑いするナタリアに引きずられるようにして連れ去られてしまった。
そして、前回アルバート様と一緒に食事したお店の前まで来た。
(アルバート様・・・。可愛くなった私を見て喜んでくれるかな・・・?
喜んでくれる・・・よね?)
不安よりも期待が大きい、入り混じった不思議な心境で私はナタリアと共に店に入った。
そして、私の期待とは全く違う展開に遭遇する。
「あああああっ!! そ、そのスイカみたいなオッパイの女はっ!!」
なんとアルバート様の隣には、以前の町でアルバート様と一晩過ごした売春婦が座っていたのだった。
一瞬で俺の乙女モードが崩壊した。
「な、なに? どういうこと?
ローニャ、あの美人は誰よっ!!」
ナタリアも不安そうに俺に聞いてきた。
「売春婦よっ!!
・・・不潔っ!! 不潔よっ!!
もう大っ嫌いっ!! アルバート様のバカぁッ!!」
アルバートがあの売春婦と再会したことに対するショックで大粒の涙が一瞬で俺の目から零れ落ち、取り乱して大声を上げてから俺は店から飛び出そうと走り出した。
が、店の出入り口の前でアルバートに掴まってしまった。
その手は力強く、女になってしまった俺がいくら振りほどこうとあがいても自分の手が痛くなる程度で、とても逃げられそうになかった。
「いやっ!! 離してっ!! 離してぇっ!」
「待ってくれっ!! 誤解なんだっ!! 説明させてくれっ!!
あれは嘘だ。彼女は本当は売春婦じゃないっ!」
アルバートの言葉を聞いて、俺はビックリして彼の目を見た。
「う・・・嘘?」
アルバートは黙って頷くと周囲に聞こえないような小さな声で俺の耳元で囁いた。
「ああ。彼女はレジーナ。私の腹心の部下で教会所属の聖騎士。
任務の内容は主に密偵だ。売春婦は彼女の偽装の一つに過ぎない。」
・・・偽装っ!! ・・・密偵!?
そう言われて改めて彼女を見ると、テーブルに座っている彼女は以前あった時とは全く違う気品に満ちた上級階級の女性にしか見えず、とても売春婦には見えなかった・・・。




