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あばずれローニャ  作者: 黒神譚
第6話
79/150

ヒロイン揃い踏み 5

先制攻撃を仕掛けたのはナタリアだった。

大斧の重さを利用した一薙ぎは、それだけで人の体を真っ二つに出来そうなほどの威力を秘めていた。

つまり、手加減をする気がない。

ナタリアは本気だった。


(ナタリアも彼の強さに気が付いているっ!

 先手必勝以外に勝機が無いと悟っているのねっ!)


彼女の覚悟の一撃を見て俺はナタリアが冷静だったことを悟る。彼女は冷静に先手を取らないと負けることを知っていたんだ。

ならば、俺もナタリアの攻撃の隙を無くすために彼女の間隙を縫うように追い太刀しないといけないわ。


「ええいっ!」

「やあああああぁーっ!!」


だが、ナタリアの連続攻撃はあっさりとかわされてしまった。敵はナタリアの作戦を読んでいたのだろう。彼女の大斧を体に触れるか触れないかのギリギリの距離で交わすと、長剣で巻き取るかのように大斧の柄を下から跳ね上げる。


「きゃああっ!!」


ナタリアの悲鳴と共に大斧は天井に吹き飛ばされて突き刺さった。


(ワ、龍虫に引きずられても大斧を手放さなかったナタリアからこんなにもアッサリっ!?

 この男っ!! 人間の反射を利用した攻撃をしているっ!!

 ナタリアは自分の意思とは裏腹に大斧を手放してしまったんだわ。とんでもない業師だわっ!!)


「う、うそ・・・。」


何が起こったのかわからないナタリアは、信じられないというような表情を浮かべて後ずさりした。

(危ないっ!! ナタリアは戦意喪失しているっ!!)

そう判断した俺は、ナタリアを守るために彼の前に突っ込んでいきながら、腰元のナイフを抜き取り、彼に投げつける。


「おっ!!」


軽い声を上げて彼は身をかわしてナイフを避ける。

しかし、それは予想できたこと。これほどの男に女の投げナイフが正面からあたるとは思えないもの。

俺は彼の動きを予測して、彼の避ける方向へ向かって長剣を突き出していた。


これは当たるっ!! と言う確信があったが、男は俺の突き技をもあっさりと剣で捌き切り、ナタリアにしたように跳ね上げようとする。


「その技はもう見たわよっ!!」


俺は彼の巻き上げる剣よりも早く、自ら剣を天井に跳ね上げて彼の攻撃の威力を完全に殺す。

同じ技を貰ってたまるものですかっ!!


巻き上げた剣を自分の胸元に引き寄せるとパッと後方へ飛び去りながら中段に剣を構えなおす。

仕切り直しだ。


しかし、これは彼の追撃の脅威から逃れたもの、奇襲が失敗したことを意味している。


「女にしては、やるな。

 もう少し遊んでやるか。」


男は嬉しそうにそう言いながら、無造作に俺に向かって歩き出した。

しかし、彼の歩みには全くのブレが無く正中線が微動だにしていなかった。


(マズいっ!! 相当な達人じゃないっ!!)


そんな俺の焦りを悟ったかのように、彼は攻撃を仕掛けてきた。


「きゃあっ!!」

「きゃああっ!!」


凄まじい連撃を悲鳴を上げながらも必死にさばく俺。

戦いは一方的だった。攻撃する彼。守る俺。

打ち合う事12(ごう)。(※合とは攻撃を打ち合う回数。古武術用語)

男の時と違って腕力のない俺は彼の斬撃を受けるだけでも手が痺れ、ドンドンと追い詰められてしまうのだった。


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