イケメン以外に用はない・3
「す・・・すげぇ・・・。」
上半身をファイアーボールによって吹き飛ばされたオーガを見て、町の兵士たちが絶句する。
分厚い表皮に覆われた上に、ある程度の魔法耐性を持つオーガの肉体が一撃で吹き飛び、ブスブスと煙を上げて燃えているのだから無理もなかろう。
常識外れの魔法力。これは俺が女体化した呪いの反動、いや恩恵と言える。
精霊魔法の適正は男よりも霊媒体質の女の方が格段に高い。そして体中が呪いの力を含んでいるので、その呪いの力も魔力に自動変換される仕組みになっていた。
元々、高位の精霊魔法戦士であった俺だが、皮肉なことに女の肉体と呪いを受けたことにより、この常識外れの魔法力を授かってしまったのだった。
しかし、それにしても我ながら凄い威力だった。町の兵士が呆然とするのも分かる。
町を既に出て行くゴブリンたちも自分たちのボスの哀れな姿を目にして怯え、悲鳴を上げながら逃げ出していった。
「う、いたた。畜生、動けねぇ・・・。」
死んだオーガの肉体が地面に倒れ伏すと、ダメージを負っていた俺の体も受け身を取る余裕もなく無様に地面に叩きつけられてしまい、とうとう身動き一つできなくなってしまった。
「おいっ!! あんた、大丈夫かっ!!」と、町の者達が駆け寄ってくる姿を見ながら、俺は意識を失っていった。
どのくらい意識を失っていたのだろうか?
俺が目を覚ました時、修道女が見守るベッドの上だった。
「ああ、目を覚まされましたか。
お加減いかがですか? 回復の祈祷は掛けておいたのですが。どこか痛むところはありませんか?」
まだ夢うつつな俺に若くて美しい修道女が声をかけて来た。
そこでなんとなく自分が町の兵士たちに救助されて、教会に運ばれたことを察した。
「・・・ここは?」
体をベッドから起こすと、シーツがはだけて自分が裸体だと悟る。
「きゃああんっ! な、なにこれぇ〜!?」
露になった両乳房に気が付き、俺は恥ずかしくて思わず顔を真っ赤にさせながら慌てて身をよじって乳房を隠した。そんな様子を見て修道女が笑う。
「大丈夫ですよ。この部屋には女しかいません。
あなたの鎧が体を圧迫していたので脱がさせていただいたのです・・・。」
修道女はそう言うが、例え同性でも裸にされるのは良い気がしない。
感謝はしつつも俺は若干、恨みがましい目で修道女を見ながら「俺の衣服を返してくれ」と頼んで服を受け取った。
「全く・・・。そんな羨ましいほど綺麗な乳房をしていて何を恥ずかしがることがあるんですか?」
俺の着替えを見ながら、呆れたように修道女は言った。
さらに「下着のサイズがあってないようですから、あとで一緒に買いに行きましょう。いいお店を教えてあげますよ。」と言ってくれた。
確かに以前からブラのサイズがあってないと思っていた。この町についたら買い直そうと思っていた。
俺の呪いは現在進行形で俺の体を蝕み、成長していた。
つまり、胸とお尻が未だに成長しているってことだ・・・。