幼馴染が追ってくるっ!! 14
目覚めた俺は朝日に向かって大きく背伸びしながら深く息を吐く。
「ん~~っ!!
いい太陽だ。今日は良い日になると良いなぁ~。」
俺が気分よく寝具を持ち上げながら立ち上がると、そこへ聞きなれた声が響く。
「おはようっ! お寝坊さんだな、君は・・・。」
「・・・っ!!
ア、アアア、アルバート様っ!?」
声のする方向に慌てて振り向くと、そこには美しい金髪を風になびかせながら俺が寝ていた岩の上に腰掛けているアルバートの姿があった。
信じられない・・・アルバートは俺の結界をものともせずに忍び込んだのか?
「ふふふ・・・いや、失礼。隙だらけの結界を張った君の護衛ついでに一晩中、君の可愛い寝顔を眺めさせてもらったよ。」
「・・・っ!!」
その言葉を聞いて俺は反射的に寝具で身を包み隠して、抗議する。
「あ、悪趣味ですわっ!!
アルバート様っ!!」
「アルと呼んでくれたまえ。」
アルバートはそう言うと颯爽と岩から飛び降りると、俺にさわやかな笑顔と共に右手に持った食材の入ったバスケットを見せた。
「君にはまだ聞きたいことがあるが、まずは食事にしよう。
君は見ていてくれて結構だ。こう見えても料理には慣れている。」
そう言われた俺は何故かムッとなってアルバートからバスケットを取り上げると
「女に恥をかかせになるおつもりですかっ!?
食事は私が作りますっ!」と宣言する。
アルバートは「どうぞご随意に」とでも言いたげに肩をすくめて笑った。
近くの沢に水を汲みに行く俺は心の動揺が隠せないでいた。
アルバートを見た時に自分が上げた声が驚きと歓喜に満ちていたから。
そして、今、こうしてアルバートの前で自分が女であると主張したくなった自分の心に驚いていた。
(ねぇっ! なんであんたがアイツの分の朝食まで作るのさっ!!
あいつに作らせたらいいじゃないっ!! どうしちゃったのよっ!?)
・・・どうしちゃったの? そう、俺はどうしてしまったんだろう。
おかしいぞ・・・あのキスから・・・。
(チャーム・・・)
(なに?)
(俺、寝ている間、変なこと言ってなかった?
寝息立ててなかった? なにか女らしくないことしてなかった?)
(・・・っ!!)
俺が弱弱しく心の中で尋ねると、チャームはハッと息を飲んでから訝しげに尋ねた。
(あんた・・・ひょっとして・・・。
この太陽の下でもアルバートの事を意識してるの? ・・・女としてっ!?)
言われてハッとなった。そう、その通りだった。
俺はアルバートに会えた瞬間、自分から逃げ出したというのに確実に驚きだけでなく嬉しさを含んだ声を上げていた。
そして同時に寝顔を見られたと聞いて、女性らしくないしぐさを見せて嫌われてないか不安になった。
次に彼の気を引きたくて料理を作りたくなった・・・。
その事に気が付いてしまった俺は水汲み用の桶を地面に落とすと同時にその場に座り込んでしまった・・・。
ああっ・・・。どうしようっ!!
俺、アルバートの事を好きになっちゃってるかもっ・・・




