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あばずれローニャ  作者: 黒神譚
第2話
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幼馴染が追ってくるっ!! 13

「あばずれローニャ」「恋多き女・ローニャ」と呼ばれ、各地で男性と浮名を流していた私が実は純潔だと気が付き、驚いたアルバートは、私が逃げ出したことに一瞬、反応できなかった。

そのおかげで私は走って酒場から逃げ出すことができた。


(あああっ!!

 わ、私ってなんてことをっ!! いくら呪いに支配されているとはいえ、かつてのライバルに手籠めにされることを望むなんてっ!!)


強烈な恥辱の感情が絶え間なく押し寄せる波のように私の心をかき乱す。

(落ち着きなさいっ!!

 良いのよっ!! 結果オーライっ!!

 あんたの望み通りアルバートから逃げられたし、彼にあんたがディエゴだとは知られなかったっ!!

 出し抜いたのよっ! あんたの勝ちっ!! ねっ!?)


チャームがかなり無理のある解釈で私を励ましてくれた。

本当にメチャクチャな理屈だけど、それがプライドをズタズタにされた私の心を癒してくれた・・・。

今夜はさすがに色欲の呪いの化身であるチャームも私に無理強いをするのは酷だと思ってくれたのか、私が男性を誘惑したくなるようにしむけてこなかった。


(今のうちにこの町から逃げよう・・・。

 明日の朝、アルバートに出会ってしまったら、本当に逃がしてもらえなくなるかもしれない。)


私は涙を拭きながら歩いて宿屋に戻ると、荷物をもって馬屋に向かい、愛馬を連れて州を出る。

夜の州を出るとき、門番は少し抵抗したが、それでも若い女の涙を前に断り切れなかった・・・。


州の擁壁を出ると私は泣きながら馬を走らせる。

今日は、もう何も考えたくなかった・・・。

それでも・・・それでも私の唇に残ったアルバートの熱いキスの感触が消えることが無かった・・・。そして、その感触があの時私が抱いた心の揺らぎと体の火照りを再燃させる・・・。


(どうしよう・・・。今夜は眠れそうにない・・・。)


そう思いながら暫く馬を走らせたけれども、「寝ずに旅を続けることは危険だから、ちゃんと寝なさいっ!!」と、チャームが心配して休むように言ってくれた。

彼女は私の体に巣くう呪いの化身だから、私とは文字通り一蓮托生の運命。だから身の安全を心配してくれるのは当然なんだけど、今夜、私が男性を誘惑しないで済む様にしてくれたのは彼女の優しさ。

チャームの優しさが身に染みる。


(ありがとう。チャーム。

 どこかで休める場所を見つけて休むわ)


旅の冒険者にとって野宿は宿命。私は岩陰の良い場所を見つけると慣れた手際でキャンプを張る。

虫と魔物避けの魔法結界や鳴り子を四方に張りめぐらし、最大限の警戒態勢を敷いてから、厚手の毛布に身を包んで私は眠る・・・。

熱い体の火照りに身を焦がしながらもいつしか眠りにつけたのはチャームが途中で更に呪いを弱めてくれたおかげだろう・・・。


そうして()は日の出の光のまぶしさに目を覚ますまで眠るのだった・・・。

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