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あばずれローニャ  作者: 黒神譚
第2話
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幼馴染が追ってくるっ!! 6

アルバートは迫力に満ちた声で俺を恫喝するように詰問する。その時、彼は余程余裕がなかったのだろう。腕を掴む力が女の俺に対しては強すぎた。


「い、痛い・・・。」

俺が声を上げるとアルバートは慌てて手を離した。

「す、すまない。つい、力が入ってしまった。」


アルバートはレディを傷つけたことを謝罪はするものの逃がすつもりはまったくない。慌てて手を離したがスキは見せなかった。


(仕方ないわ。ローニャ。

 適当に拾ったとか言って誤魔化しなさいよ。)

(・・・だな。

 アルバートは狙った獲物は逃さない。走って逃げられる相手でもない。それしか無いな。)


俺とチャームの意見が合うと、俺はシラを切ることにした。


「すまないが、これはダンジョンで拾ったものだ。

 魔神シトリーの事は知っていた。

 でも俺が最深部にたどり着いた時、本来ならいるはずのシトリーはおらず、この武器だけが残されていた。

 俺の呪いはこれを拾ったときに被った物でディエゴという男のことは皆目見当もつかない話だ。

 それに俺のような阿婆擦(あばず)れが、やんごとなきお貴族様の素性なんか知っているものか。」


俺がアルバートの目を見つめながら話すとどうやらアルバートは俺の話を一応は信じたのか黙りこくってしまった。


(よくまぁ、スラスラとそんな嘘が出るわね。)

(うるさい。これでも俺の家もアルバートの家に並ぶ貴族なんだぜ。腹芸の一つくらいできるように躾けられているさ。)


アルバートはしばらく考え込んでいたが、やがて俺の話を信じると言い出した。


「なるほどね。君の言い分にはある程度の信憑性があると言える。

 迷宮にはシトリーもディエゴもいなかったと。

 それは信じられる。」


俺がホッとしたのもつかの間。アルバートは次の手に出てきた。


「だが、君はシトリーとの激戦の末に瀕死となったディエゴのパーティの唯一の生存者を神殿に運び治癒の奇跡を依頼している。さらに君自身も神殿で解呪の奇跡を依頼したな? 

 神殿に記録が残っているぞ。その時、神殿は君にディエゴの行方について尋ねている。

 私は神殿からその事を聞き最初から君という人間を探していたんだ。 

 なぜ、ディエゴの事を知らないと嘘をついた?

 何故、決戦の地にいた生存者について話さなかった?」


しまった!! 俺がそう思った瞬間、アルバートはその俺の動揺をしっかりと見た上で問う。


「それに阿婆擦れといったが、先程の君が食事をする姿を見た限り、君のテーブルマナーは完璧だ。幼い頃から上流社会の躾をされていないと身につかないレベルだ。

  ・・・もう一度聞くぞ。ディエゴは何処だ? 君は一体、何者だ?」


ハメられた!!

神官騎士のアルバートは神殿と太い繋がりがある。神殿からシトリーの件について色々聞いていたにちがいない。

そうして、あばずれローニャについてもある程度、聞いていたんだろう。

素知らぬふりして俺に近づくなんて、酷い罠を仕掛ける。彼は俺以上に腹芸の出来る男に成長していたのだ

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