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あばずれローニャ  作者: 黒神譚
第9話
119/150

訣別の時 3

魔神シトリーの言葉に私の心は再び恐怖に支配され、「ヒィッ!!」と悲鳴を上げてしまう。彼の恐怖から逃れることは出来ないのに、私は頭を抱えてうずくまり、泣きながら許しを請う。


「お・・・お許しください。お許しくださいっ!!

 やめて・・・もうこれ以上、酷いことしないでぇ~・・・」


ヒックヒックとしゃくりを上げて泣きだしてしまった私。

そんな私にチャームが発破をかける。


(恐れないでっ!! 全てはお父様の幻覚よっ!

 お父様はここにはいないっ! 強い心で立ち向かえば、この幻術を解くことができるわっ!


 思い出して、ローニャっ!

 貴女はかつて仲間とともにお父様を打ち倒した英雄なのよっ!


 その死んでしまった仲間たちの名誉のためにもっ!! 

 絶対に負けないでっ!!)


・・・・・・死んでしまった仲間の名誉のため。

その言葉を聞いて私の脳裏に、かつて一緒に戦った仲間の姿が思い起こされる・・・


「ふざけないでっ!!」


彼らの姿が私の心に再び戦士の魂が、炎が宿った。


「舐めるなっ! 魔神シトリーっ!!

 私はお前になどには屈っしないっ!!

 

 次に再臨するというのなら、その時は再び倒してお前を異界に送り返すまでだっ!!」


私がそう叫ぶと魔神シトリーの幻術は解け、私は眠りから目覚めるのだった。


私は夢を見た。

私は悪夢を見た。


そして、それは未来予知の夢だったのかもしれない・・・。 


しかし、目覚めたときの私はそんなことを気にする余裕などなかった。

涙と汗。体中から液体が溢れ出て全身がしっとりと濡れていた・・・。

恐怖と快楽の地獄に落とされた私は夢を見たまま失禁し、そのせいでベッドまでぐっしょりと濡れていた。


「・・・あ・・・ああ・・・・・・ああああああっ!!」


目覚めた私の心に再び恐怖が蘇ってきた。

私が何よりも恐れていたのは、シトリーの拷問による痛みのせいではない。


私は本当は求めていた・・・。

彼に脅され、痛めつけられ、恐怖したというのに、本心では、その後に与えられる快楽を「もっと、もっと」と求めていた。


それはあの夢の中ではわからなかったこと。自分自身でも気が付かなかったこと。

夢から目覚めて自分の体の異変に気が付いたのだ。その滾り切った我が身の高揚から、私はシトリーに屈服していたことを悟らずにはいられなかった・・・。


私は自分を恥じて頭を抱えて泣きじゃくる。


(恥ずかしいっ!! もう死んでしまいたいっ!!

 何が、英雄よっ!!

 何が死んでいった仲間の名誉よっ!!

 私は・・・私なんか爛れた色欲のケダモノじゃないっ!!)


発狂してしまいそうなほどの自責の念が私を襲ったが、それを救ってくれたのはチャームだった。


(ママっ! 聞いてっ!!

 恥ずかしがることは無いわ。

 お父様は貴女の脳に直接影響を与えたの。


 それは貴女の自我を塗り替えてしまうほどの強烈な魔術。

 貴女が無様に怯えたのも、貴女がお父様に屈服しかけたのも、お父様が貴女の精神を書き換えにかかったからよ!)


チャームは夢の中の私に何が起こったのか語ってくれた。

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