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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ラスト一年の思い出の為に、半吸血鬼に

作者: 黄昏誘捕

これはネトコンに投稿する為に、即興で考えた者です。多分十分が制作時間。良ければ短いので楽しんで下さ〜い

 プッ...プッ...プッ...っと心電図の音だけが病室に響く。はぁっ......はぁっと肩を揺らして酸素マスクを着けながら、必死に酸素を取り込もうと呼吸する。

 数ヶ月前、バイト先のカフェで突然倒れたらしく、医者から伝えられたのは病状の悪化。



 弱って行くのが、日々解る様になったのが数週間前。

 ガキの頃から、生きる意味を見いだせなかった、気っと俺への迎えが来たんだ。



 小学一年生の頃、俺の誕生日パーティーをすると言う事で友人達を親が迎えに行く途中、煽り運転にあって事故った。



 全員が死んで、親戚が居ない俺は施設に送られる事となった。家で待っていた俺は一晩、椅子に座って朝日が昇るまで自分の席で、ゆっくりと閉じる瞼を擦りながら、起きていた。

 朝六時位だったろくか。玄関から勢い良く担任の先生が飛び出して来て、突然俺を抱きしてめて泣き出した。



 子供ながらも理由を察しても、現実感に欠ける状況に、涙一つ出なかった。

 葬式が終わっても、喪失感だけが俺の中に残って、本当に死んだのだと悟ったのは両親の死から一年経った頃だった。



 施設に入って生きている理由が、分からなくなった。

 事件の当時、風邪で休んでいた友人は同じ高校で今でも交流はあるが、二年生になる今日には忘れているだろう。何せ俺は数ヶ月間音信不通。



「あら、ごめんなさい。おじゃましちゃって」そう俺に声を掛けたのは、背に二対の蝙蝠の翼と酷似した羽根を広げた、枯れ木の様に細い腕の小さな少女。

 間違いなく人外だが、敵意はなさそうだし、そもそも俺は死ぬしな。関係ない。



「貴方、まだ生きたい?」

「?」

「あと一年だけ生きてみない?」



 もしも彼女の言うことが本当なら、後一年で何をする?ようやく来た迎え。でも、どうせ死ぬのは変わらない。

 彼女のメリットは分からないが、俺には今のところメリットしかない。どうせ死ぬ命にデメリットは関係ない。



 力を振り絞って頷くと、彼女は酸素マスクを外して噛み千切った親指の先端から血を一滴、俺の口に落とした。

 血液が染み渡るのが分かり、心臓の鼓動が早くなる。



 体全体に力が漲り、起き上がると彼女は顔を近ずけて微笑んだ。



「最後の一年、自由に生きて私に見せて」

「あと一年か。ありがとう」



 ──何が出来るだろうか?あと、一年で。

 今にも全てを壊してしまいかねない、有り得ない怪力で柵を握り締める。間違いなく、俺は今、人で無くなった。



 頭に流れてくる情報に目を丸くするが、非現実的なのは彼女の存在で理解する他ない。



「あら、最初は吸血衝動に襲われる。当たりね、貴方」

「その言い方的に、殺すつもりだったのか」

「察しが良くて助かるわ」

「そりゃあどうも」

「これで貴方は半吸血鬼になったの。日光は大丈夫だけど、私達本物の吸血鬼には到底勝つ事は叶わない」

「頭に流れて来た、能力?は何だ?」

「半吸血鬼になった者は超能力に目覚めるの。貴方の無意識の衝動が、異能となって形を変える」

「......そうか。」

「力に溺れるか。それとも普段の生活をおくるのか。貴方はどのタイプなの?」



 後少し、彼女と話したが、これは遊びの範疇である事がわかった。

 先生達には驚かれたが、三日程で退院でき、久々に外の空気を肺いっぱいに吸い込んで吐き出した。



 味などないが、空気が美味しく感じた。身体能力を確かめようと夜中に外を駆けるが、疲れ知らずで全力疾走しても呼吸が乱れなかった。

 能力も試して見たが、人間が扱えるモノではなかったが、吸血鬼に襲われない各所はないために、鍛えておくのも悪くない。





 久々の学校。不思議と憂鬱感はないが、俺も吸血鬼の端くれと言った所なのか、日光に当たり続ければ具合を悪くする。

 もしも俺が女性ならば日傘を常備するが、男で日傘は流石に恥ずかしい。



「久しぶり!朝火(あさひ)!」

「おうおう久しぶり」

「なにしてたの?ねぇどこにいたの?何で連絡一つくれなかったの!最近物騒だし心配来たんだよ!聴いてる?!朝火黎徒(れいと)!!」



 バシバシと背中を殴ってくるのは読観(よみ)。俺の幼馴染で、俺が住むマンションの隣りに住んでいる。

 父が中小企業の社長らしく、生活費を何十万と仕送りしてくれてるらしい。



 夫婦仲が十年前にはとうに冷めきってたらしく、家に遊びに行った時、雰囲気が凍り付いていて、会話が全くなかった。離婚の時、俺の部屋で泣き崩れたのは今でも覚えている。

 うちの両親は俺がいても関係なしにイチャつく、常識は兼ね備えたバカップルだった。



 それは一般からして感性が狂っていた俺にも平等的に愛を与えてくれた。

 ヴァンパイアフィリアの俺は、幼い頃に包丁で母が指を斬った時、とても魅力的で飲みたくたくなった。そんな俺でも、両親は笑って許してくれた。



『血が好きか!吸血鬼みたいだな』

『特別な個性ね。大切に伸ばして行きましょ』



 幼稚園に入ってから、担任の先生から箸は右で持つ物だと教わったと両親に伝えてから、父が担任の先生に今でも耳に残るくらい怖い怒号を飛ばしていた。

 今となればモンスターペアレンツだと思うが、俺は嬉しかった。



『二度と矯正等と言った言葉を使わないで下さい!耳障りだ!治す直らないは我々第三者の大人が決めることじゃない。何故ならば《《病気》》でも障害でもなく、彼の、息子の大切な個性だからだ!!!』



 本当に、あの人達の息子として生まれてきて良かった。



「骨折してたから、引きこもってた」

「嘘!私何回も入ったもん」

「合鍵持ってるんだっけ?親戚の家だ」

「親戚居ないよね?小さ頃言ってたじゃん」

「あ〜......うざっ」

「今ウザイって言った!」



 ──どうしてここまで俺に付き纏うんだろ。

 まぁ、普通気にならん訳ないよな。幼馴染が突然失踪して、学校に言っても伝えないように言ってたし、俺の情報は死んでから伝えて貰うつもりだったから、コイツが知る術はない。



 俺に親戚が居ない事は知ってるし、施設での事は叔父さんは知ってるだろうしな、叔父さんの態度的に伝えずに距離を置かせるだろう。



「気分が向いたら話すわ」

「本当だよ?本当だからね!」

「ほんとほんと」



 学校に着くと先生が良かったと喜んでくれたが、授業中眠くて少し寝てしまった。

 生活リズムが死んでいるので、正直のところ、朝か昼すら分からない。



 クラスの人たちから質問責めを受けたが、読観と同じ様にして切り抜けた。あちらとしては不満があるだろうが、死にかけてた何て言えない。



 授業が終わると、クラス全体の団結力が高いのでそのままカラオケに連行され、少し抜け出す頃には七時を回っていた。



 いい奴らなんだが、非常に面倒臭い。



「ッ!何だ、血の匂いがする......!」激しい血の甘い匂いに、跳ねる心臓と吸血衝動に駆り立てながら、駆け出した。

 二秒後、若い(おんな)の悲鳴が鼓膜を揺らして、俺の脚を制止させて、吸血鬼の言葉が頭に過ぎる。



『もしも、祓魔師(エクソシスト)吸血鬼(ヴァンパイア)と出会った時は絶対に逃げなさい』

『あっ、ああ......』

『半吸血鬼の場合は戦いなさい。戦闘モードになった貴方達は私達同様に、鏡にも監視カメラにも映らない。心を基礎とする異能がその戦場を統べる』



 あちらも、理解したのが感覚、いや、生得本能で理解する。

 玄関口に溜まる血溜まりを踏み付け、鋭く伸びる爪に付着した返り血を振るい落として、蛇の様に細い瞳孔を寄り細めた。



「何で人を殺せる?神にでもなったつもりか?」

「貰った一年、目標達成の為に誰だって動くだろ?オレはこの街に恐怖を植え付ける」

「ナルホド、読観が最近物騒だとか言ってた訳だ。人の皮を被った人外が街を闊歩している」

「それはお前もだろ!化け物!」

「俺は《《元々》》だ!」



 地面を蹴って間合いを詰める(おす)を見て、三つの仮説を立てる。



 1俺以上の身体能力なので、身体強化の能力。


 2能力の応用で身体を強化している。


 3血を飲めばブーストされる。



 俺が小一時間、能力と向き合った。もう読観(彼奴)が誰も喪わない様に、泣かない様にする為の能力ッ!



 能力でで作った漆黒のコートに身を包み、フードを深く被って血で形作った大鎌をクルクルと回し、刃部分の血液を振動させる事で切断力を上げる。



 振るわれる一撃を躱し、頤に二発の拳を叩き込むとオトコのカウンターを否してコンクリートの地面に軌道を変える。

 雄の拳が地面と接触すると巨大な罅が勢い良く入り、立ち込める土煙の中、奴が拳を不意打ち気味に仕掛けようとする間に、雄にカウンターを入れる。



 奴の胸を貫くと、心臓に指を入れて俺の血を直接流し込む。



 半吸血鬼の死亡条件は祓魔師の攻撃、二つ目は異能での攻撃。

 俺の能力は血液操作と血液を媒体としてナニカを創造する能力。俺の能力を説明すると目を見開いて、溜息を付いた。



「お前は違うのか?忘れられたくないから、酷い事をしてなんとかしてでも、覚えて貰いたいかった。消えて往くんだ。記憶となって、既に過ぎ去った季節同様に、死ぬんだ」

「ああ、そうかもな。人間はとても長寿で、100年生きる。俺達に残された四種の季節の様に、思い出される事なく、消える。でも、俺は信じてる」

「信じる?何をだ?」

「永遠の命は、一人の記憶に眠り、親から子へ、子からまたその子へ血が流れ、血と共に記憶として生きる。それが永遠の命だ」



 大鎌を振るい、トドメを指すと名も知らず男の体は灰へとなって、この世に元々存在しなかったと錯覚するほど、何も残らなかった。

 だが、奴は最期に笑っていた。



 ──決めたよ。俺の最期の目標は読観の記憶に、少しでも遺る事。こんな化け物が生きた証を、彼奴ならどう思うかな。



「どこ言ってたの?もうすぐ朝火の番だよ」

「一服」

「嘘だ。煙草の匂い嫌いな癖に」

「ああ、嘘だ」

「?何かいい事あった?」

「今後の目標を決めたんだ」

「えっ!教えて〜」

「さぁ、察してくれ」



 あと一年、俺みたいな化け物が産まれて来て良かったと、親以外に言って貰えたら、良いな。

書ききれなかった物の解説

この物語は四千文字程度で終わらせる目的地で作ったので、戦闘も内容もゴミでしたね。

ですので黎徒君の化け物発言の解説です。



彼は両親が亡くなったあと、施設に送られると先ずは左利きから右利きに強制され、彼はとてつもないストレスを抱え、ヴァンパイアフィリアだと知っていていた職員は彼を完全否定しました。

精神が極限状態の時、熊に襲われた猟師を見て抑えきれなくなった彼は、猟師の腹から流れ出る血液を笑いながら飲む所を、同じ施設の子に目撃されてから化け物と言われるようになりました。



人格も人種、人間性さへもが全て否定され、毎日裏山で泣き喚く事しか出来ない彼は、両親はもうこの世に居ないと完全に理解しました。

生きる理由も自信も全て失くして、鬱になった彼は読観との再開に心を癒していきましたが、バイト終わったで罵詈雑言を放って来た少女が視界に移り、トラウマによって過呼吸を起こして倒れました。



病は気からと言うべきか、元から小食で太らない体質のまま拒食症となった彼が一度体を壊してしまうと、簡単に弱るのは当たり前で、持病悪化に繋がりました。



これが読観の恋愛感情に全く気付かないと言う状況が本編の彼です。あと、読観ちゃんは施設での出来事を知っていますが、それでも彼の事が好きなのです。

それは彼が誰よりも優しく、誰かを照らしてくれる明るい人だと知っているからです。

名前からして朝日と黎明の使徒が名前の由来ですからね。



では、解説は以上です。気が向いたら10万文字版を出すかもです。

長編版は、彼の死を描こう描こと思っています。




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― 新着の感想 ―
[良い点] なぜか、一応全て楽しく読みました。 [気になる点] 解説の設定が本文に全く書かれていないと思ったのは、私だけでしょうか。戦闘や内容ですが、ゴミではないですが描写に確りとさらに力を加えると良…
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