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攻撃力ゼロから始める剣聖譚 ~幼馴染の皇女に捨てられ魔法学園に入学したら、魔王と契約することになった~  作者: 大崎 アイル
第四章 『学園祭』編

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72話 ユージンは、天使と語る

「もうー! 待ちわびたっすよー!」


 100階層まで迷宮(ダンジョン)昇降機(エレベーター)でやってきた俺は、開口一番に天使(リータ)さんから文句を言われた。


 頬をぷぅっと膨らませ、腰に手をあててこちらを可愛らしく睨む。


 ちなみに、現在100階層の『神の試練』に挑む探索隊はいないようで来ているのは俺一人だ。


 だだっ広い草原にぽつんと、テーブルと椅子があった。


「すいません……」

「にゃはは☆ 冗談ですよ。ようこそ100階層へ」

 俺が謝るとぱっと笑顔でぱたぱたと背中の小さな翼を羽ばたかせる。


 母や魔王(エリー)に比べると随分と羽が小さい。

 若い天使だからだろうか。


「お茶をどーぞー☆」

「ありがとうございます」

 勧められるがままに俺は不思議な形のコップを受けて取る。

 それは陶器のようなものでできており、取っ手がなかった。


 リータさんの見真似をしながら、取っ手のないコップを持ち上げお茶をすすった。

 苦味の強いお茶だった。


 お茶を飲みながら、しばらく天使さんの会話に相槌をうつ。

 どうやら100階層を突破する冒険者が少なく暇を持て余していたらしい。

 リータさんの会話が止まらない。


「まったく、最近に交代した今の迷宮主(ダンジョンマスター)天頂の塔(バベル)の難易度を上げ過ぎなんですよねー。先代ちゃんは、ちょうどよい難易度だったから100階層突破する探索者も多くてよかったっぽいんですけどー」


「へぇ、難易度が変わったんですか?」

 初耳だ。

 そんな話は学園の先生は誰も言ってなかった。


「そうそう。1()0()0()()()()()()かなー。今の迷宮主のアネモイちゃんはまだ若いから、加減を知らないんすよねー」

「百年前……」

 全然最近じゃなかった。

 そりゃ、先生も言わないはずだ。


 それからもしばらくリータさんの会話に付き合ったあと、天使(リータ)さんが思い出したようにぽんと手を叩いた。


「ありゃ? そういえば用件って何でしたっけ?」

「忘れたんですか? ……『恩恵の神器(ギフト)』を取りに来ました」

「そうでしたー! ちょっと待っててくださいねー。ほい☆」

 パチンと、天使さんが指を鳴らす。


 空中に黄金の魔法陣が3つ浮かぶ。

 その中から武器や防具が現れた。

 一つ一つに凄まじい魔力を感じる。


(これが100階層を突破した者に与えられる『恩恵の神器(ギフト)』……)


 知らずに喉が鳴った。


 リータさんが最初に手に取ったのは、一本の杖だった。

 素材は木製のように見えて、手にとって見ると不思議な感触がする。


「これは?」

「これはスミレちゃんに渡してください。不死鳥(フェニックス)の爪を芯に使い天使(わたし)の魔法でコーティングしてあるのでスミレちゃんの火の魔力(マナ)でも燃えないはずです。……多分。問題があったら言ってくださいね」


「リータさんが作ったんですか?」

「そうですよー。がんばりましたから」

 武器まで造るんだ。器用だ。


「で、こっちがサラちゃん用の防具『天獅子のマント』です。4属性の防護に加えて、『矢かわし』の魔法もサービスでつけておいたっすよ☆」

「天獅子のマント……。伝説の聖女アンナ様が使っていたというマントですね」

 確かにこれならサラも喜ぶだろう。


「で、最後がこれ! ユージンちゃんの新しい剣です☆」

 俺の目の前に差し出されたのは、一本の白い刀だった。

 それを手にして気づく。


「これって……木剣ですか?」

 見たところ『刃』もついていない。

 玩具とはいわないが、どう見ても実践用ではない。

 これでは魔物と戦えない。


「ふふふ……、ユージンちゃんの魔力を注いでください」

「俺の魔力ですか? でも俺には白魔力しか……」

「いいから、いいから☆」

「はぁ……」

 不思議に思いつつ、俺は自分の『白』魔力をその白い木剣に纏わせた。



 ……キィィンと甲高い音がする。



 すると、その木剣がみるみるうちに光沢を放つ金属製に変化した。

 試しに指で触ってみると冷たい感触がある。


 ここでさっとリータさんが俺の側に近づき、耳元でささやいた。


「この剣は天界にある『生命の樹』を素材にしてあります。『私たち』天使は元来『白魔力』しか持っていないですからねー。こんなふうに天使専用の武器がないと攻撃ができないですよ☆」

 その言葉にはっとする。


「じゃあ、この剣があれば!? 俺も魔法剣が?」

「もちろんっすよ! よかったですねー」

 じーんと、胸が熱くなる。

 そうか……、これで俺も一人で戦うことができる……。

 そこで気づいた。


「俺が母の……天使の子供であることを知ってるんですか?」

「もちろんっすよ☆ と言っても、最近ライラ先輩に『息子をお願いね』って言われたんですけど」

「そう、でしたか」

 どうやら母さんからの言伝もあって、リータさんは俺と直接話したかったらしい。


「さて、ここで二つ注意があります」

「なんでしょう?」

 ぴっ、と指を二本立てる。


「この白剣は、天使専用武器であり『成長する武器』です。ユージンちゃんが強くなるほど、剣も成長していきます。正確には天使は成長しないので、『天使の階級や強さに合わせて変化する』武器ですね。人族のユージンちゃんは鍛錬するほど強くなりますから、いっぱい成長して武器を強くしてくださいね☆」

「強くなる武器……」

 俺は不思議な心地でその言葉を聞いた。


「そ、れ、か、ら。次が大事なポイントですよ」

 ぴん、と一本だけ指を立てたリータさんがずいっとこちらに顔を寄せる。


「な、なんでしょう?」

「その腰に下げている『冥府の番犬(ケルベロス)ちゃんの黒刀』。あまり使わないほうがいいっすよ。()()()()()()

「……え?」

 驚いて俺は神刀に視線を向けた。


「女神様や神獣ちゃんは、『神気(アニマ)』を纏っていますが、それは地上の民にとっては『生命』とイコールです。使っているだけで『生命』を吸い取られます。もちろん、その分強力な武器ではあるのですが……、使い所は気をつけてください」

「この神刀が生命を吸い取る……?」

 まじまじと黒い刃を見つめる。


「ま、微々たるものですし天頂の塔の101階層以上は、『復活の雫』が使えませんから、出し惜しみして死んだら元も子もないですからねー。階級主(ボス)相手には遠慮なく使ったほうがいいっすよ。普段の鍛錬や迷宮攻略には『天使の白剣』を使ってくださいな☆」

「わかりました。忠告ありがたく承りました」

 俺は頭を下げた。


「ライラ大先輩の息子さんのためっすから☆ あー、他に101階層からの注意点は……」

 その後も天使(リータ)さんの会話は止まらなかった。




 ◇




 天頂の塔(バベル)を降りて、俺は学園へと戻ってきた。


(すっかり遅くなったな……、魔王(エリー)とユーサー学園長に会いに行かなきゃ……)


 大魔獣の討伐では二人に世話になった。

 お礼を言いたい。

 

 それからサラとスミレに預かった『恩恵の神器(ギフト)』を渡さないと。

 さてどんな順番でこなすべきか……と学園の寮へ続く石畳の道を歩いていると。


「ユージン!! やっと見つけた!」

 名前を呼ばれ振り返る。


 声の主は、ちょうど会いに行こうと思っていた人物だった。


「サラ、どうしたんだ? そんなに慌てて」

 いつも落ち着いているサラが、息を乱している。


「あのね! さっき私も聞いたところなんだけど……! 怒らずに聞いてね。学園祭の全統一武術大会は知ってるでしょ?」

「ああ、もちろん」

 リュケイオン魔法学園の学園祭の目玉の一つだ。

 統一武術大会の戦績上位者は、南の大陸の各国からオファーが来る。


「その武術大会で優勝した者は……『魔王討伐』の勇者『ユージン・サンタフィールドへの()()()()()()ことができる』ってルールになっていたの! 私の知らない間に」


「…………は?」


 サラの言葉にぽかんとする。


 どうやら、知らぬ前に俺は『優勝賞品』になってしまったらしい。


■感想返し:

>エリーの部屋にスミレ&サラが行く日はいつになるんだろう?

→これは4章の中でやりたいことの一つです。


>天頂の塔の攻略は、何時に成ったら、再開するのでしょうか。

→4章からぼちぼち再開ですよー



■作者コメント

 お知らせです!

『攻撃力ゼロから始める剣聖譚』

『信者ゼロの女神サマ』

 両方、続刊が決まりましたー!!!


 というわけで、しばらく多忙モードに移行します。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 暇なのね、リータちゃん。 たまにはイラさまを手伝ってくれてもいいのよ?
[一言] 攻撃力ゼロを読んでいると時々信者ゼロではいつぐらいの時期なのだろうかと考えると事があるが恐らくスミレの召喚日が信者ゼロのほうでの召喚日だと思われる(仮に召喚日にズレがあってもひと月も違わない…
[良い点] ・リータさん可愛いし、面白い!話し方とか結構好き。あと、頬を膨らませて睨んでるところとか良いよね!その膨らんだ頬を突きたい。 ・ユージン達の新しい武器と防具の凄さが楽しみ。 [気になる点…
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