203話 神の試練 その3
「では、改めて挑戦しようか」
ユーサー学園長の声に、俺たちが赤い竜へ向き合うと。
「ちょ、ちょっとまってください! 神の試練開始後に挑戦者を追加するのは……規則違反です!」
天使さんが慌ててストップをかけてきた。
そういえばすでに神の試練は開始している。
あとから人数追加は認められないか……?
「固いこと言うんじゃないの、そもそも今回の『赤い竜』の召喚自体が変則なんだから、これくらい認めなさいよ」
魔王がピシャリと言い放つ。
「で、でも……」
天使さんは規則に厳しい。
母さんやリータさんも同じだった。
エリーはゆるい。
やっぱり堕天使だからだろうか。
「ねぇ、終末の赤い竜ちゃん? 貴方はそんな度量が小さい神獣じゃないでしょ?」
エリーが挑発的な笑みを向ける。
――好キニシロ
ぼそりと、七つの頭のうちの一つが応えるのが聞こえた。
(初めて赤い竜が会話するのを聞いたな……)
前回も含めて、俺たちの声に赤い竜が反応したことはなかった。
おそらく俺たちを道端の小石くらいにしか思っていなかったのだろう。
しかし、今の面子は……。
「大魔法結界!!」
その時、スミレの声が響く。
その場にいる挑戦者たちの周囲を光の結界が纏った。
「ありがとう! スミレ!」
「うん! 魔力が必要になったら呼んで!」
俺はスミレに礼を言った。
「どっりゃーー!!」
赤い閃光が神獣に突っ込む。
ロザリーさんだ。
「おっと、負けてられないわね」
呟く魔王が、黒い疾風になった。
目に追えないほどの速度で、赤い竜に迫る。
「三番手か、出遅れたな」
赤い竜の真上から黄金の雷が降り注ぐ。
空間転移で移動したらしいユーサー学園長の魔法だ。
(は、はやい!)
瞬きをする間に、三人は行動を開始していた。
「いくぞ、ユージン!」
「ああ!」
俺はクロードと赤い竜に向かって駆ける。
目の前では、赤と黒と黄金の爆発が、花火のように連発している。
(みんな元気過ぎだろ!)
ロザリーさんはともかく、現役を離れたユーサー学園長や封印が解けたばかりのエリーが暴れていて、俺やクロードがそれをぼけっと見ているわけにはいかない。
「天竜閃!!!」
クロードが竜神の槍を赤い竜の心臓に向けて投擲した。
グォン!!!
という突風と共に、地面を抉りながら『竜神の槍』が赤い竜に到達する
ギャアアアアア!!
その心臓をかばうように、七つの頭の一つが竜神の槍に貫かれた。
(やるなクロード!)
俺は空歩を使い、赤い竜との距離を詰める。
「弐天円鳴流…………神狼」
赤い竜の頭の一つに黒刀を突き立てる。
ギャアアアアア!!
悲鳴が上がった。
そして、空歩で赤い竜と距離を取った。
迷宮主から貰った魔力が尽きた。
「あはははははっ!」
赤い爆発が起きた。
地面を抉り、天を焦がすような爆炎が立ち上る。
とんでもない威力の魔法を、連発し続けている。
ロザリーさんの魔力はどうなってるんだ?
「反転魔法・千の黒刃」
雨のような黒い刃が赤い竜に降り注ぐ。
黒い刃は赤い竜の固い鱗を切り裂いていく。
アネモイの魔法では、まったく傷つかなかったのに。
「雷霆銃」
ユーサー学園長はいつのまにか、見たことのない魔道具を構えていた。
奇妙な形をしたそれは、雷を撃てるらしい。
(これなら……)
赤い竜に攻撃が通っている。
神の試練を突破できるかもしれない。
と俺は考えていた。
――15分後までは。
「くそっ! どーなってんだ!」
クロードが毒づく。
俺も同じ気分だった。
目の前の赤い竜は無傷だった。
どんな傷をつけてもすぐに再生してしまう。
(そう簡単じゃないか)
世界を滅ぼす『終末の赤い竜』は、まだ十分な余力を残しているようだった。
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次回の更新は、2026年1月18日(日)です。
■感想返し:
>ユーサー王の女性関係が爛れていたことに驚きました。
>そしてユーサー王とも関係あったのねw
ユーサー学園長が女たらしと誤解を受ける表現をしてしまいました。
ロザリーさんが思わせぶりなこと言うからですね。
ユーサー学園長は、時人族で精神生物なので、女性陣との肉体関係はないです。
クレアさんとメディア部長はユーサー学園長に惚れてます。
ロザリーさんは、ユーサー学園長の子供が欲しいなーって狙ってます。
色欲エルフ……。
■作者コメント
本作と直接関係ないですが、同一世界観の『信者ゼロ』がアニメ化します。
スミレのクラスメイトたちが活躍します。
■その他
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