143話 ユージンは、提案される
「君と話がしたくてね」
ロベール部長は食堂だというのに、食べ物は持っていない。
既に食べ終えたのか、これからなのか。
「何のご用でしょうか?」
もしやまた剣術部への誘いだろうか。
「そんな畏まらないでくれ。だが、前置きが長過ぎでもいけないな。では、結論から言おう。実はこれから200階層の神の試練に挑戦をするつもりでね。臨時のパーティーを募っているんだ」
「200階層の神の試練……。たしか再戦ですよね?」
直接見た訳では無いが、少し前に剣術部の一軍による神の試練が失敗だったという噂を聞いた。
「恥ずかしながらね……、剣術部だけでは200階層の突破は難しいんじゃないかと判断したんだ」
そう言って、ロベール部長は苦笑した。
「それで臨時の探索隊を組織しているわけですか。でも、どうして俺なんです?」
特にロベール部長とは親しいわけではない。
「流石に私が剣術部の部長であるという立場上、体術部や槍術部などに声をかけるわけにはいかないからね。その点、戦闘系の部活に所属していないユージンくんは誘いやすい。今回は、剣術部に所属してもらいたいという願いではなく臨時の部隊だ。悪い話ではないと思うが?」
「そうですね……」
正直、200階層に挑戦をするのはもっと先だと思っていた。
が、剣術部と合同の部隊で挑戦するのであれば勝機はかなりある。
「どうかな?」
ロベール部長が期待の眼差しを向けてくる。
部長自らが声をかけてくるあたり、人集めには難儀しているのかもしれない。
「わかりました。ただ、あくまで参加は俺一人の話で、同じ部隊のサラとスミレはどうなるかわかりませんよ?」
「もちろんだ。気が乗らない者に無理にとは言わない。それにユージンくんが参加してくれるだけでも随分と助かる」
随分と買ってくれているようだ。
が、気になることがあった。
「剣術部の十八番は、統制の取れた部隊剣技ですよね? 俺のような外様が紛れてしまうと、かえって邪魔になりませんか?」
帝国軍士官学校時代には、部隊での行動も学んでいたがリュケイオン魔法学園に入学して以降は、ずっと単独か少数部隊でしか活動していない。
剣術部のような大部隊に入ってもよいか迷いがでた。
「それなら心配はないよ。というより剣術部の一軍は、やや攻撃面に能力が偏っていてね。攻めている時は強いんだが、一度崩されると立て直しに時間がかかる。だから、ユージンくんのように単独でも攻めと守りができる者を呼びたかったんだ。」
「ああ、なるほど」
要は遊撃部隊ということか。
それなら問題ないだろう。
「出発は7日後を予定している。天頂の塔の1階層が集合場所だ。待っているよ」
そう言ってロベール部長は去っていった。
(200階層の神の試練か……)
ひとまず、サラとスミレに声をかけにいこう。
食事を終え、俺は二人を探すことにした。
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■感想返し:
>天使たちに「年上の」彼氏ができる可能性は殆ど無いんじゃないかな?(笑)
→地上の民だとそうですねー。
リータちゃんも見た目と違って、年齢は■■
■作者コメント
今回は非常に短くて申し訳ありません。
はやく体調を治します。
■その他
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