ボクらはお墓に行ってみる
もう10月もおわりだねぇ…
…ハロウィンの準備しなきゃ
海岸では無く湖岸なのにビーチとはこれ如何に…
などという下らない事が思い浮かんでしまうが、その考えにボクが無視を決め込んでいる間にもボク達はビーチへと上がった。
勿論の事だが皆魔法が使えるため、全員がそれぞれの魔法で服を乾かし、まさくん達は待機していた使用人の人達に撤収を伝えた。
その後、10分程で出立の支度が整うとボク達は公城へと帰った。
この後、まさくんが初代王妃のお墓へと行きたいそうなのでボクらは応接間で待っていることにした。
とはいえ、それ程待たないでしょ。
ボクの軽い予想は覆されること無く、5分もすると全員が集まった。
全員が集まると、まさくんが転移魔法を発動させた。
飛んだ先は見上げれば首を痛めそうなほど高く、その全周は人が10人以上でなければ囲えないような太さの樹が乱立する翠溢れた場所だった。
その中でも一際大きな樹の根元へとボクらは歩いて行った。
道中の魔力濃度は異常と言っても良いほど高かったが、不思議なことに全く魔物や魔獣には襲われなかった。
と、いうかボクの探知には全く魔物や魔獣の反応は無かった。
代わりに精霊や妖精の反応が多く見られた。
とはいえ、その精霊や妖精も手を出してくる訳では無いのでボク達は迷わされたりもせずに目的の大樹へと着いた。
その大樹には根元の祠状の窪みに墓石があった。
この墓石こそ初代公王の正妻にして、大樹と土壌を司るまさくんの契約精霊アルゲテーラさんの墓だそうだ。
公国の伝承では、まさくんの死を悲しんで自ら死を選んだとされているらしい。
…でもさ、精霊って死ねなくない?
ボクがそう思ってると突然、まさくんが目の前の大樹を揺らした。
さすがに手加減はしつつ揺らしていた為、折れることはなかったが枝葉が大きく揺らされていた。
まさくんが大樹を揺らし始めて十秒程経つと、大樹から声が聞こえてきた。
「まだ眠いよぉ〜…あと5分だけ〜」
見事に寝ぼけた声だった。
…いい声ではあるんだけど、なんか残念な感じだね…
程なくして、寝起きを家族以外に見られた事が恥ずかしいのか、顔を赤くした女性が大樹から出てきた。
ボクの着ている服に似た、ギリシャ神話の神のような服を纏い新緑の髪に濃いブラウンの瞳をした人だった。
その女性はボク達を見ると跪こうとしたが、まさくん以外の王族の人達にはまだバレてない為慌てて念話で事情を伝えて事なきを得た。
精霊に跪かせたら速攻でバレちゃうもん…
そんな一悶着もあったが、王族の人達がさらに驚く事が続いた。
「皆様はじめまして、アルゲテーラと申します」
そう言うと出てきた女性ことアルゲテーラさんはボクらに挨拶したのだ。
その後、アルゲテーラさんはまさくんの左腕を胸にだくようにして立っていた。
その行動に苦言を呈したのは今の王妃だった。
「いくら初代王妃様といえど…」
と、言われたアルゲテーラさんだったが
「全く気にする必要はございませんよ。私と匡暎は婚姻こそ結びましたが、ただ一緒に暮らすというだけですの。そもそも、精霊に生殖能力はございませんので」
と、さらっと流した。
王妃さんもそういうことならと引いたらしい。
久しぶりの夫婦の再開でもあるからなのかな?
もしかして修羅場になるのかなとか思っていたボクだったけど、それに反して特に揉めることもなかったね。
…あれ?
アルゲテーラさんとまさくんの間には子どもは居ないわけで…今の王族は別な奥さんの子孫ってこと?
ボクがそんなことを思ってると、気がついたのかまさくんが
「そうだよ。冒険者上がりの王だと後ろ盾も無いし、まぁ武力はあったけどね。そんな訳だからその当時からあった王国から王女を娶ったわけなんだよね」
なるほどね。
その子孫が今の王族なのか…
なんかもう、国ってややこしいね。
…いや、国がややこしいと言うか、人間の代替わりの関係か…
「大変だよ、まったく……」
まさくんは遠いものを見るかのようにそう言った。
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