彼はいったいどうなるの?
今週も終わりだよ…
もう夏休みになっちゃうじゃん…!
隊長が出ていき扉がしまった後、ボク達と副隊長の5人の間には何とも言えない空気が漂っていた。
しかも、副隊長が隠しているつもりだろう怒りの感情がだんだん強くなってきている為エリー達も気が付き初めてしまった。
そして無言の時間が5分程経った頃、副隊長がぽつりと呟いた。
「なぜこの私が賎しい平民…しかもよりにもよって冒険者なんぞの世話を…!」
その一言をす聞いた瞬間、エリー達の動きが止まった。
とはいえ殺気が漏れ出すというようなことはなく、部屋の空気はまだそのままだった。
そして、流石というかエリーは副隊長に向けて
「あまりそう仰らない方が良いかと思いますよ。今のご時世、発言は気をつけねば国が傾きかねませんよ」
と、注意を促した。
当然ながら副隊長は相当頭に来たようだったが、まだ剣を抜かない程の理性は残っている様だった。
しかし、大分限界に来ているようで
「お前らの様な下賎な職に就く奴らには分かるわけないんだよっ!さっきの件も騎士団が倒したはずだと言うのに、横からしゃしゃり出やがって!!そんなに手柄が欲しいのか、このゴミ共めっ!」
かなり口調も荒くなっていった。
エリーがそんな副隊長へわざと聞こえるくらいの声量で
「公国はこの程度なのですね」
と呟いた。
その一言を聞いた副隊長は、もはや何を言っているか分からない叫び声をあげながら剣を抜いてエリーへと斬りかかった。
当然エリーへその刃が届くことは無く、逆にエリーがいつの間にか持っていたレイピアにより副隊長の剣は粉砕された。
剣を失ったことに唖然とする副隊長を後目にボクは
「公国はボク達に敵対するの…?」
と、扉の方へ尋ねた。
すると、ちょうど隊長さんが戻ってきたところで彼女は扉を開けたまま棒立ちになっていた。
だが、流石は騎士団の隊長。
2秒もしないで状況を把握したようで、流石に彼女の身分や立場的に土下座まではいかなかったが、土下座しそうな程の勢いで深々と頭を下げた。
そして、
「その者の処分は貴方様方に委任致します。また、此度の件再度謝罪をさせて頂きたく思います」
と、頭を下げたままボクらへ配慮した発言をした。
そんな彼女の様子に更なる困惑と憤りを感じたようで、副隊長は彼女にまで食ってかかった。
「どうして隊長はあんな平民なんかに頭を下げるんですか!国を動かしているのは私ら貴族でしょう!!」
「何を馬鹿なこと言ってるんですか!」
そう言うと彼女は副隊長の顔を平手ではたいた。
「貴方は騎士養成学校で一体何を学んできたんですか?確かに貴族により国が守られ政治がされています。ですが、税金がなければ国は成り立ちません!毎日働き、その一部を国の為に払う方々を寄りにもよって『平民』などど!!言っていいことと悪いことの区別もつかないんですか!」
副隊長は彼女の気迫に押され、何も言えなくなっていた。
勿論、ボクらは止めることは無い。ここで介入するのは公国の政治への姿勢を否定することになるからね…
そんな野暮な事を考えている間にも彼女はかなりの勢いで副隊長へとまくし立てていた。
「 ── それにですね、あの方々は貴族よりも偉いのですよ!Sランクが1名、金ランク3名のパーティーなんですよ!!貴方に公国が背負えますか?!さらに、身分で言うのであれば王国の王女殿下もいるのですよ!今、あなたの勝手な行動でどれだけの損害になるか解りますよね!」
彼女の言っていることにも初めは反発していた副隊長は、血が登り赤くなっていた顔が段々と青くなり自らのしでかしたことに震えていた。
いや、まだ心とか読んでないけど…自分はこの後どうなるかしか考えてなさそう。
ボク、こういう人は人間っぽいなって感じるけど、それはあくまで人の下にいるならだね…
上に立っているのにそんな考えを持ってる時点でダメだとは思うよ。
さて、あの副隊長はボク達で裁いていいって言ってたもんね。
どんな刑がいいのかな…?
「リノさん、この人には死罪なんて生ぬるいものではなくて一番重い罰を与えるべきですよ」
エリーは “一番重い” と聞いて死刑を思い浮かべた副隊長を見て、かなりえぐいことを付け加えた。
しかも、アーラとリンも賛成してるみたいでしきりに首を振っていた。
しかも隊長さん曰く、今回の件は公王へ信じられないくらいの速度で伝わって、本来なら良くないが処分をボクらに一任する許可も出たらしい。
ただ、その処分に関わらず家の取り潰しは行うとの事だった。
一番重い刑かぁ…何がいいかな?
ん〜…
あんまり重いの出来ないなぁ……
魂を閉じ込めて1万年分の月日をただ何も無い空間で過ごさせるとか、何度も溶けるような火で炙られるとかかなぁ…
まぁ、決めるのは後でいいか!
そんな風に思っていると、隊長さんがボクらへ
「大変恐縮なのですが、公王が皆様に謝罪したいとのことですのでよろしければいらして頂けないでしょうか?」
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