目が覚めました
「・・・・・!・・」 「・・・・・・・・・。・・・。」
直ぐ近くで声が聞こえて目が覚めた。
今私が寝ているのはベットだと気付き、助かったんだ、と安堵する・・・暇もなく自分の置かれている状況に思わず叫びたくなった。
なぜなら天井には豪奢なシャンデリア、床にはいかにも高級そうな赤いじゅうたん。極めつけは壁や棚に置かれた高価そうな調度品の数々。という具合にどこかの豪邸か?と言いたくなる部屋だったのだ。
そしてこの部屋には、私以外にも今喋ってであろう男女が二人、ベットの脇に立っていた。
二人とも目も覚めるような美男美女で、不空は中世ヨーロッパのような恰好。
男の人は目も髪も燃えるような赤色で、女の人は目が眩むほど光り輝く黄金の髪と目。・・・・・
ファンタジーか!?
それに、どうやら二人とも私に喋りかけているようなのだ。
耳を澄まして聞いてみると、
「アドン。この子の名前は考えていますか?」
「ああ。この子の名前だがシャルロットというのはどうだ?」
「シャルロットですか…いい名前ですね・・・」
「そうだろう?シャルロットにはエミリーに負けないぐらい聡明で美しい子に育ってほしいからな。名は体を表す、というだろう?」
という意味の分からない内容だ。
その二人に喋りかけようとした私の口から出てきた声は、なんと言葉になっていない、赤ん坊のような声だったのだ。
びっくりし過ぎて訳が分からない。
そしてふと窓を見て、可愛らしい赤ん坊が映っているのに気づく。
そしてその赤ん坊に向かって私が手を振ると、あろうことかその赤ん坊も同じタイミングでこちらに手を振ってきたのだ。
私の頭にいやな仮説が浮かんでくる。
もしかして私は赤ん坊になっているのでは?という仮説だ。
昔、興味本位で見たライトノベルに、異世界に転生した主人公がチート能力も使って異世界で活躍する、というものがあった。
私の場合、チートはともかくして異世界の赤ん坊に転生してしまったのではないか?
それなら意味の分からない子の状況もファンタジーみたいな人達の言ったことにも説明がつく。
それに、窓に映っている赤ん坊はずっと私と同じ動きをしている。
もしこれが夢だったとしても夢の中で転生していることに変わりはない。
それに、この部屋の様子やあの人たちの服装から、私が転生したのは貴族の家だと考えられる。
こうなったら、カンペキな貴族のお嬢様を目指すぞ~!!
こうして、私の波乱の異世界生活が幕を開けた。
読んで頂き、ありがとうございました。