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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
六章「曰く、魚心あれば水心」
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兄さんと観光

 兄さんを強制召喚した翌日は、何だかんだ色々と書類やら書かないといけなかったみたいで、兄さんはシュッツをお供に騎士団三人と出かけていった。

 私は明日からちょっと店を休みにするご連絡をしつつ通常通り店を開けて、理由を聞かれたら嬉しさを隠すことなく「兄さんが遊びに来てるので!」と告げていた。

 常連さんが皆笑って楽しんで、と言ってくれるので思う存分楽しもうと思う。


 そんなわけで兄さん強制召喚から二日が経ち、普段から書類仕事が多い兄さんが全ての手続きを一日で終わらせたので今日から思いっきり遊ぶことにした。

 とりあえず王都の中をウロウロする予定なので、しっかり着込んで外に出る。

 店の扉には私用により本日おやすみの札をかけてあるし、荷物持ったし、ヨシッ!


「兄さん、何見てるの?」

「ん?雪だるま。これエスティが作ったの?」

「そうだよー。シュッツにも手伝って貰った!」

「そっかぁ~。エスティ雪好きだもんなぁ」


 ニコニコと笑う兄さんの手を引いて大通りに出て、とりあえず商店街へ向かうことにした。

 気になる店があったら入ってみればいいし、外から眺めてるだけでも楽しいからね。

 冬の間はずっと警戒して気を張らないといけなかったから、何にも考えずに外をウロウロ出来るだけでも楽しい。


「あ、そうだ。アンシークの中にちょっと入ってきてたやつはもう消滅したから、心配しなくて大丈夫だぞ~」

「そうなんだ、ありがとう。おんなじ奴?」

「根本辿れば同じかな?まぁ、もうどっちも消えたし確かめようもないけど」


 私に熱湯を浴びせた何某ももう消滅済みだったのか。

 まぁ、兄さんがアンシークに泊まってるし、一目でも見かけられたら消滅させられるんだから、兄さんが来た時点でそっちも一切心配してなかったんだけどね。

 兄さんは昔から霊体に対して無類の強さを誇ってるからね!大好き!


「兄さん、外に出るのいつぶり?」

「んー……今年初」

「もっと外出て!おひさま浴びて!」

「この時期は出てもお日様見えないよ。それにほら、地上遠いし」

「もー!」


 地下暮らししてるのは仕方ないにしても、運動がてらいける距離なのは知ってるんだからね!

 兄さんがリュシアを通して私の近況を手紙以外でも知れるのと同じように、私だってシュッツを通して兄さんの近況知れるんだから。

 別に動き回るのが苦になる性格でもないのに、なんで地下に籠るのかなぁ……


 家系的には確かにそうなっても適性あるよねくらいの話なんだけど、昔は結構外を駆けまわってたと思うんだよねぇ……

 まぁ、健康ではあるみたいだし、昔に比べてかなり筋肉付いてるみたいだし、手には剣を持つ人特有の豆も出来てたし、運動不足とは程遠いんだろうけどさ。


「エスティは?毎日忙しい?」

「日によるよ。騎士演舞の時期とかは目が回りそうになるけど、冬とかは割と暇だし」

「楽しいみたいで良かったよ。昨日も色々、エスティの話が聞けたし」

「んえ、誰が何言ってたの?」

「さぁ?」


 教えてくれないのか……まぁ、私の悪口とかだったらわざわざこんなふうに話題に出さないだろうし、とりあえずいいにするか……?

 昨日ってことは騎士団の人だよなぁ……あの三人かもしれないけど、それ以外で会いそうな騎士団所属の人ってなると、イヴィさんとかかな?

 イヴィさん私の魔力がなんたらかんたらよく言ってるし、兄さんにもその話をしててもおかしくはないか。


 兄さんに聞かれて困る話も特にないからいいんだけど、何を聞いたのかは普通に気になる。

 自分の話題だしそりゃあ気になるよねぇ。うんうん。

 まぁ、これに関しては今度イヴィさんに会った時にまだ覚えていたら聞いてみればいいかな、忘れてたらその程度の興味だったってことだし。


「お、なんか見覚えのないものがある」

「グリヴィアでは昔からある飾りだよ。良く窓辺に置かれてる」

「へぇ……風で揺れてるのか?」

「基本的には。魔力探知して揺れるタイプもあった気がする」


 そういえば家ではこういう飾り見なかったな。アンシークには売り物としても家の飾りとしても置いてあったから私は見慣れてるけど、兄さんは見覚えないのか。

 ……ずっと見てるな。気になるのかな?

 兄さん地下暮らしだし、こういう飾りとかあった方が心が休まったりする?


「お店入ってみる?他にも色々あるよ」

「入ってみようかなー。ちなみにここのお店の人は知り合い?」

「うん。おじいの茶飲み友達だったから、昔からよく構ってもらってたよ」


 ちなみに今でも会うたびに飴ちゃんをくれる。

 いつもニコニコしてて品の良いお婆ちゃんなのだけれど、飴ちゃんを受け取るまで引く事は無いお婆ちゃんでもある。

 店の中に入ったら、今日もニコニコのお婆ちゃんがいたのでとりあえずお辞儀をしておいた。


「お、鳥だ」

「ピヨルだ。朝方によく飛んでるよ」

「へぇ、可愛い」


 色々並んでいる飾りを眺めて、鳥型のものを手に取っている兄さんを眺める。

 兄さんも結構可愛い物好きだよねぇ、昔からよく見てた気がする。

 最終的に私の傍にそっと配置して満足そうにしていたから、「可愛いものが好き」なのか「妹の周りに置かれる可愛いものが好き」なのかは私も図りかねているけれども。


 そんなことを考えつつ飾りを一つ手に取ってお会計に向かった兄さんについて行き、いつも通り飴ちゃんを渡されたので有難く受け取っておいた。

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