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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
六章「曰く、魚心あれば水心」
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月宵の祭り 3

 祭り会場とは打って変わって静かな道をのんびりと歩く。

 結構遅くまで楽しんでいたから、もう大分眠いし疲れたなぁ。色々食べたし色々買ったし、知り合いにも結構会えたし満足だ。

 隣を歩いているアルトは最後の最後にお酒を入手して、それを片手に飲みながら歩いているので大分ご機嫌。それでもしっかり送ってくれるのは有難い限りだね。


「アルト、ありがとね」

「んー?おう。気にすんな」

「そしてごめんね、実はずっとヤな気配がしています」

「早く言え~?まぁ、アンシークもう見えてっし大丈夫か?」

「中には行っちゃえば大丈夫。送ってくれてありがとーう」

「シュッツにはあたしが声かけとくわ。明日朝一で確認しに来るだろ」


 もうほんと、巻き込んでごめんね。そしてありがとうね。

 私一人だったらここまで帰ってくる前に何かしらが起こってただろうから、無事に帰れたのはアルトのおかげだ。

 祭りの会場は良いんだけど、こういう静かな所は駄目だねぇ。


「じゃ、しっかり戸締りして、風呂入ってから寝ろよー」

「うん。アルトはちゃんと家まで帰りなよ?」

「おう。流石にこのままどっかは行かんよ」


 扉の鍵を開けて中に入り、アルトに手を振って扉を閉める。

 鍵を閉めたら、扉の前から去っていく足音がした。……戸締り忘れたことなんてないじゃん。心配性だなぁ。

 心配させてしまっているのは私だから、言いはしないけどさ。


 さーて、アルトに釘刺されたし、ちゃんとシャワー浴びてから寝ないとね。

 面倒だから明日の朝にしてしまおうかとも思ったけど、明日は明日で普通に営業日だから朝はバタバタになるだろう。

 買ってきたものを整理するのは明日でいいや。カウンターの内側に置いておこう。


「ふぁ……寝落ちる前にシャワー……」


 コンコン、と扉をノックする音は無視して、店の奥に続く扉を潜って二階に向かう。

 寝間着とバスタオルを持って再び一階に戻ってきてもまだ扉はノックされていた。これは確定で人間ではなさそうですねぇ。

 わざわざ家まで付いてくる厄介なものは無視するに限る。不用意に扉を開けない限り、アンシークには影響がないからね。


 祭りにつられて出て来たんだろうし、明日になればそうそう影響も無いだろう。

 アルトがシュッツに声かけてくれるらしいし、シュッツが来れば割と解決、みたいなところあるからね。

 私が狙われ過ぎるせいでシュッツは専門家かな?ってくらい対処法を知ってるからなぁ。


「ふぃ~……あっつ!?え、なになんで急に熱湯!?壊れた!?」


 いつものようにシャワーを浴びていたら急に頭にかかるお湯の温度が上がり、驚いて飛び退いたら滑って転びかけた。

 なんて災難……恐る恐る手を伸ばしてみたらお湯の温度は戻っていたので、とりあえずササッと頭と体を洗って流す。

 ……本当に何だったんだろう。寒すぎて壊れた?また急に熱湯が出るのも嫌だし、お湯が出無くなったりしたらもっと嫌だから近いうちに見て貰った方がいいかもなぁ。


 髪を拭きつつ今週の予定を脳内に並べて、次の休みは暇だから聞きにいけるなぁと結論を出した。

 アンシークの水回りは基本魔法で動いているから、割と定期的に見て貰ってるんだけど……何が原因かも分からんし、下手に動かさない方がいいよなぁ……


「前回の定期点検がいつだっけ……二か月前?ならまぁ、うっかり寒さになられた可能性も無くはないなぁ」


 カレンダーを確認して、ついでに前回の点検で貰った点検完了証を引っ張り出しておく。

 私はこれを見ても分からないけど、何かが壊れたらこれを出すと何かと話が早いんだよね。

 ついでにメモ帳に今日の日付とシャワーから熱湯が出た、すぐ治った、と書いて紙の上に乗せておく。これでよし、今日はもう髪乾かして寝よう。


 寝室に入って扉を閉め、枕の下に実家から送られてきたお守りを突っ込んで横になる。

 ……あ、そうだもう一個あったんだった。

 過剰装備な気がするけど、一応ね。机の上に置いてあった木彫りの飾りをベッドの端に置いて、今度こそ横になる。

 いつもより遅い時間だったのと、割と遅くまで祭り会場に居た疲れもあって、横になってすぐに眠りに落ちた。




 翌朝、いつもより遅くかけた目覚ましを叩いてモソモソと起き出すと、すぐ近くにシュッツが来ていることに気が付いた。

 着替える前に上着を一枚引っ掛けて下に降り、外に居るのがシュッツなのを再度確認して扉を開ける。

 入口に立っていたシュッツの顔を見て、急激に目が覚めていくのを感じた。


「もしかして、思ってたよりマズイ?」

「そうだね。エス様、とりあえず中に入ろう」

「ういよー」


 年に数回しか見ないほど硬い表情のシュッツは、店の中に入ってすぐに何かを確かめるようにあたりを見渡した。

 ……うーん、祭りだからだろうなぁって思ってちょっと油断してたけど、これは割と本気で不味いのかもなぁ。

 とりあえず私は無事だしシュッツも来たので、まずは着替えて朝ご飯を食べることになった。


 シュッツもまだご飯食べてないらしいから、二人分作って一緒に食べよう。

 真面目な話はその時でいいだろう。ご飯食べながらの方が間が持つから、何かと話しやすいんだよね。

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