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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
六章「曰く、魚心あれば水心」
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月宵の祭り 2

 メインステージで行われている出し物を眺めながら屋台の料理を食べて、ほへぇ~と緩い声を漏らすこと小一時間。

 アルトが見たいと言っていた出し物も見れたし、ある程度お腹も膨れたかな。

 そんなわけでそろそろどこかに移動しようかとか話していたら、祭りの見回りをしていたらしい中位騎士二人が声をかけてくれた。


「お、エスティアちゃん。こんばんは」

「こんばんはー。お疲れ様です」

「祭りの日も仕事たぁ騎士様も大変だなぁ」

「大抵の問題は人が集まるところで起こるからな。仕方のないことだ。……二人は、面倒な輩に絡まれたりはしていないか?」

「あたしらは二人でいる時基本絡まれねぇんだよな」

「たまにチラチラ見てくる人は居るけど、特に害はないですねぇ」

「そうか、なら良かった」


 アムといるよりアルトといる方が絡まれないのは、一体何が理由なのか。アルトの方が圧があるとかなのかなぁ?

 アルトも女子にモテるタイプだから、そういう何かしらがあるのかもしれない。

 なんて一人で納得している間に、アルトは騎士二人から今日現れた不審者の情報をゲットしていた。


 実は知り合いらしいんだよね。前にアルトのガラス工房に面倒なやつが現れた時に対処してくれたのが、この二人だったらしい。

 なるほど納得な縁だけど、話すようになったのは私の知り合いだと知ってからだってのがなんか若干の疑問だ。他に話題なかったのかな?

 まぁ共通の知り合いがいるってなったら多少話も盛り上がるか。


「さてと、エスティ、どうする?もう少し回るか?」

「そうだねぇ。……うん、向こうの屋台気になるかな」

「うし、なら行くかぁ」

「余計なお世話かもしれないけど、女性二人だから気を付けてね」

「何かあったら時計塔へ来てくれ。常駐の騎士が居る」

「は~い。ありがとうございます」

「騎士様方も気ぃ付けてなー。夜中の方がヤバいだろ」

「そうだな……」

「素直に帰ってくれない人たちはね……どうしてもいるからね……」


 一気に疲れた顔になった二人を見て、やっぱり大変なんだぁ……と思わず憐れみの目を向けてしまった。

 祭りに乗じた騒動とか、人が集まるから起こる面倒事の対処はまだギリギリ騎士の仕事って感じもするけど、酔っ払いの相手はねぇ……大変だねぇ……

 グリヴィアは平和だけど祭りが多いから警備の数も多い、って言われてるくらいだもんね。


 お疲れ様です……と最早どう声をかけたらいいのかちょっと分からなくなりながら声をかけて、騎士二人と別れる。

 実はもう帰ってもいいかなくらいの満足感なんだけど、ちょっと色々な都合があって長めに祭りを楽しんだ方がいいんだよね。

 なのでまだ見ていなかった屋台を見て回って、何なら明日の朝ごはんくらい確保していこうかなって感じの気分だ。


 何にも言ってないはずなのにアルトはその辺全部察しているらしい。

 時々見せる察しの良さはなんなんだろうなぁとか思いつつも、有難いので特に言及せずにそのままにして早数年だ。多分聞いたら教えてくれるから、聞いてないのはただの怠慢。

 察されて甘やかされてに慣れるとこうなる。私が悪いけど、私の所為ではないよね、うんうん。


「あ、エスティあれ」

「どれ?……あ、懐かしー。最近めっきり見なくなったのに」

「元々大手でやってた工房で職人がほとんど引退して、それから作れる量が減ったんだよな」

「なんかちょっとだけ話聞いたかも。はやり病の時だっけ?」

「そう。手にしびれが残って引退した職人が大勢いて、型も作り方もあるのに作れるやつだけ居なくなっちゃった」


 アルトが指さしたのは玄関先に吊るす縁起物の飾りだった。

 数年前までは新年の祭りやこの月宵の祭りで屋台がいっぱい出てたんだけど、最近は数も減って去年は見つけられなかったくらいだ。

 職人さんが倒れたはやり病はグリヴィア中で結構広まったもので、他にも色々と被害が出たらしい。


 私はその頃まだアンシークに慣れるのに精いっぱいで、あんまり周りの事を見れてはいなかったから詳しい事は知らない。

 けどアルトは詳しく知っているみたいだ。彼女は元々職人街で生まれ育ったから、それも身近で見ていたんだろう。

 屋台を見る目が嬉しそうなので、引っ張って行って見てみることにした。


「おー、綺麗」

「吊るしとくか?冬が終わったら外して、紫花祭りの時に赤花で燃やすんだよ」

「あ、なんかおじいがやってた記憶あるかも。どの飾りがいいとかあるの?」

「アンシークに吊るすならこれだな。こっちは家の玄関に吊るすのが基本で、こっちは店の入口に吊るすのが基本。アンシークは雑貨屋だから、色は何でもいいだろ」

「へぇ、色もあるんだ」

「下の飾りの色を、店に合わせて選ぶんだよ。金物屋なら黄色、飲食なら赤ってな。まぁ、あんまり気にしないで好きなの飾っても誰も何も言わねぇけど」

「ガラス工房に吊るすなら何色?」

「あー……白?工房だし、染めてない方がいいんじゃね?」

「なるほどなるほど?じゃあ私は青にしよーっと」


 そういえばおじいが飾りを吊るしていた記憶があるので、せっかくだし買って帰って吊るしておくことにした。

 アルトも買って行くらしいので、二つまとめて会計してもらう。

 うん、この時期ならではの縁起物も手に入って、いい感じじゃないかな?

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