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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
六章「曰く、魚心あれば水心」
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新年のあれこれ 3

 カランコロン、と鈴が鳴る。

 顔を上げると取り引きのあるお店のオーナーさんが立っていたので、営業スマイルを浮かべつつ立ち上がってお辞儀をした。


「あけましておめでとうございます」

「あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


 今日はアンシークの新年最初の営業日だ。なので、こうして挨拶に来てくれる人も結構いる。

 というか、買い物に来る人の方が少ないんだよね、今日は。まぁ若い子たちは既に家の中では遊び尽くしたのか外で遊んでいることも多いし、私が一人でボーっとしてると顔出しに来てくれたりもするけどね。


 そんなわけで時々来てくれる人に新年の挨拶をしたりなんてしながらのんびり過ごして、今日は初日なので早めの店仕舞いになった。

 これも毎年の事なんだよね。この後はうちでシュッツとご飯を食べます。

 食材はシュッツが買ってきてくれるから、私は店を閉めて待つだけだ。


 一応一階に残って明日から店に並べる物なんかの支度をしていたら扉がノックされたので、シュッツなのを確認して鍵を開ける。

 この時期は裏から来れないからねぇ、店の扉からだと早締めなの知らなかったお客さんとかの可能性もあるから一回確認しないとね。

 あ、普段から一応確認はしてるからね?そこまで不用心じゃないからね??


「おーっすシュッツ」

「お疲れ様、エスティ。これ食材」

「はーい。あ、ねぇシュッツってもうリュシアに新年の手紙出した?」

「新年のはまだかな。年明け前に年末のご連絡を入れたから」

「私も兄さんに手紙送りたいから一緒に出しといてくれない?」

「分かった。もう準備してあるの?」

「うん」


 話しながら二階に上がって、さっそく夕飯の支度を始める。

 毎年この日は鍋って決まってるんだ。だから具材以外の支度はもう終わってんだ。

 兄さんが鍋好きだったんだよなぁ、なんて思いながら支度を進めて、ぐっつぐつに煮立った鍋をテーブルの中央に置いて夕飯を食べ始めた。


「なんかさー、今年やたらと色んな人から気を付けなさいって言われるんだけど」

「そういう巡りも来てるみたいだよ。その辺はエスティの方が詳しいんじゃない?」

「んー……ひっさびさにお婆様からご連絡きたんだよねぇ……相当だよねぇ」

「魔除けは全部発動してるよね?」

「してる。明日からどうなるかだなぁ」


 私が霊なんかに弱い体質なのもあって、冬が一番元気なのに冬が一番色んな事に気を付けないといけない季節なんだよね。

 特に、新年のお祝いムードが落ち着いてくるこの時期が色々と危ない。

 月宵の祭りが一番危ないっちゃ危ないんだけど、グリヴィアではお祭りの日なので他の場所にいるよりかは警戒しなくていい感じになっている。


 私が先代の所に預けられることになった理由の一つがグリヴィアのお祭り好きな気質だってんだから、空気感って大事よね。

 逆にその辺めちゃんこ強い兄さんは地下とか洞窟とかに籠りっきりだから、どっちがいいのかって感じだ。

 まぁ兄さんはその辺も別に苦じゃないんだろうしいいんだろうけどさ。


「月宵の祭りが今月の中央あたりでしょ?今週末から来週初めあたりが駄目な感じかなぁ?」

「そうだね。そのあたりになったら、扉も気を付けてね」

「うん。今年は流石に色々警戒しとくわ」

「毎年ちゃんと警戒して……」


 してはいたよ。だって来た魔除けは全部ちゃんと所定の位置に置いてたし。

 でもさぁ、去年大丈夫だったしなぁとか今年平和だったしなぁとか考えてると面倒になっちゃうんだよね。この怠惰な気持ちも分かるでしょ?

 先代が居た時は「おじいを巻き込むわけにはいかない!」ってわりかし張り切ってやってたんだけど、今では一人なのでね。


 どうしたって気は緩むよねぇ。まぁ、今年は平和じゃなかったからちゃんとやるけどさ。

 めーんどうくさいんだよなぁ~~。色々制約あるし。

 念のためフィンさんとイヴィさんにもお話はしておこうと思うけど、さてどうなるか。


「月宵の祭りの前におじいのところ行きたかったんだけどなぁ」

「ちょっと予定ずらして。それはもう本当にお願いします」

「はーい。どうしても行きたかったら誰かしら巻き込んで行ってくる」

「そうして……出来ればその辺強い人を連れて行って……」


 まだ何も起こってないのにシュッツがしわくちゃになってしまった。これはいかん、しばらく大人しくしておこう。

 元々私は大人しい方だけどね。……なんか疑問の目を感じる気がするなぁ……気のせいか。

 指抜きだけど手袋してるから分かりにくいだけで、普段着けない指輪なんかも付けて結構しっかり対策してるんだよ?偉くない?偉い。


「あ、そうだ。シュッツに渡すもんがあるんだった」

「え?手紙以外に?」

「そう。ちとまて~」


 夕飯もほとんど食べ終わったところで、席を立って寝室から手紙と小箱を持ってくる。

 小箱の方はシュッツ宛だからその場で開封してもらい、ついでに製作過程と用途を解説しておいた。

 珍しく自分でちゃんと作ったからね、誤作動とかも無いはずなので安心して持ってってくれたまえよ。

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