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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
五章「曰く、蟻の穴から堤も崩れる」
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冬の訪れ

 予定のない晴れた日に、私はご機嫌で通りを進んでいた。

 向かう先はまずはニレさんのところ。今日はお店用のお花じゃないけど、お店用のお花もそろそろ頼まないといけないなぁなんて考えながら歩く。

 冬の店内にするからね、白のなんか丸いやつとかで花束作ってもらおうかな。……何の情報量も無いなこの注文。結局いつも通りお任せになりそう。


 そんなことを考えていたらお店の前に着いたので、他のお客さんが居ないことを確かめて声をかけた。

 ニレさんの姿が見えないのは店の奥にいるからだろう。

 呼んだら出て来てくれるはずだから、特に深く考えなくてもいいはず。


「ニレさーん。こんにちはぁ~」

「あらエスティ、いらっしゃい。今日はどうしたの?」

「先代のところに行くので花束ください」


 予想通り奥から顔を出したニレさんに花束を作ってもらい、可愛いそれを抱えて昨日降った雪が残る道を進む。

 入口で墓守さんに声をかけて、少し話してから中に入った。

 私が巻き込まれた事件のことは知らないはずなのに、最近何かあったか聞かれてしまった。


 墓守さんったら本当に、そういう気配に敏感なんだから……

 とりあえずもう大丈夫ですよ~と毒にも薬にもならない事を言って話題を終わらせ、門を潜った。

 先代の墓の前まで進んでしゃがんで花束を置き、そのまま膝の上で頬杖をつく。


「来ましたよーおじい。聞いてくださいよ、とんでもない目に遭ったんですよ。

 ゴーストハウスの云々に巻き込まれましてね、色々バレたしアムには怒られるし兄さんにも話が行って手紙の分量がいつもの倍以上になったし、散々です。

 まぁそれは解決したみたいなのでもう大丈夫だと思いますけど……はぁ、大変だったぁ。

 私以上に大変だったのは騎士団の人たちだと思いますけどねぇ、なんか書類もいっぱいだったって聞きますし。アンシークとの繋がりが切れたらマズイ!ってなってたみたいですよ。

 アンシーク、基本はただの雑貨屋ですよね?歴代店主の素性も、多分わりかし普通ですよね?なんであんなに大層な対応をされてるんだ……?


 ……まぁそれはいいです。なので横に置いといて、楽しいことの話しましょ。

 遂に冬ですねぇ、初雪ですっごいはしゃいじゃいましたよ。それと今年は、新しくコート買ったんですよ。どうですか、可愛いでしょう。

 リュバチートのお姉さんたちが選んでくれました。今後数年はこれを着ます。ふふ。

 それとね、今年の冬のお店レイアウトもついに決まりましたよ!アルトにでっかいトナカイの置物を作ってもらったんです。だからそれと、あとそれに合わせてソリの置物も作ってもらったのでそれを置きます。そのソリの中にプレゼント箱をいっぱい乗せるのです!


 雪だるまも作りたいけど、もう少し雪が積もらないと駄目ですねぇ。シュッツにはもう話したから積もったら手伝ってくれるらしいですけど。

 あ、そうだ。あとね、ビヤンネトルが新しく白くてふわふわなパンを売り始めたんですよ。それがもう美味しくって。二つ重ねると雪だるまみたいだから、なんか毎回二つ買っちゃうんですよね。

 おじいが居れば一緒に食べれるけど一人だから片方はおやつにしてます。お供えに持ってくればよかったかもですねぇ。


 さて、じゃあこのくらいにしましょうかね。

 じゃあねおじい。次は月宵の祭りの前くらいに来ると思います。バイバーイ」


 いつものようにピーチクパーチク好きなことを話して、満足したので立ち上がって墓地を後にする。

 墓守さんに声をかけて通りに出て、この後の予定がなーんにも決まってないのでとりあえずフラフラと歩きまわることにした。

 誰か暇してる人でも見つかればいいんだけど……


「あっ。アルト!」

「おーっすエスティ。何してんだ?」

「おじいのところ行ってた。アルトは何してんの?」

「新しく作るモチーフ探してた。エスティも一緒に行くか?」

「行くー!暇だったんだよね」


 ウッキウキでアルトの横に並んで歩き出し、向かう先を尋ねる。

 行く先が決まってるのかすら知らないけど、まぁ聞いておいて損はないよね。

 でも作るモチーフ探してるんだもんね、何も決めずにフラフラしてたのかな。……つまり私とおんなじか、そうか。


「なににすっかなー」

「最近角のある動物ばっかり作ってたもんね。今回はなんかそういう縛りみたいなのはないの?」

「特になんも?」

「無いかぁ」

「……むしろあれか。エスティ、なんか欲しい動物の小物入れとかねぇの?」

「私が欲しい物?」

「おん」

「……猫?もっふもふの」

「あー……もっふもふの猫かぁ……やってみっかぁ」


 猫モチーフの物は結構あるけど、もっふもふの猫はあんまりないなぁって前から思ってたんだよね。

 ガラスでもっふもふの猫を作るってのは中々大変そうだけど、そこはアルトだからね、どうにでもなるでしょう。

 こだわりが強すぎて納品数が少ないだけで、腕のいい職人ではあるんだからね。


 これを作った職人を紹介してくれって言われたりもすることも割とよくあるし。

 そんなわけでモチーフは決まったので、残りは野良猫の集会場を見に行ってみたりカフェに行ったりと休みを満喫した。

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