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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
五章「曰く、蟻の穴から堤も崩れる」
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後始末の時間

 店が休みの日にちょっと綺麗目な格好をして、カバンに手紙を突っ込んでアンシークを出る。

 向かう先は騎士団魔法部隊の本拠地だ。……めんどくせぇ~。

 でも行かなきゃ終わらないし、これに行ったらこの件は完全におしまいだからとりあえず足を動かしておく。


 はぁ~……帰りにどっかカフェとか寄ってケーキでも食べて帰ろう。

 せめて終わった後に気分を上げる方法を考えつつ歩みを進め、見えてきた騎士団魔法部隊の本拠地である屋敷の前で足を止める。

 えーっと、どうすんだっけ。入っていいんだっけ。


 とりあえずカバンから手紙を取り出して、一度中身を確認する。

 ……日付しか書いてないな。何時でもいいよ、とは書いてあるけど、入る時に見せるとかそういうことも特に書かれてはいない。

 私ここ来るの初めてなんだけどなぁ……もしかしてイヴィさん、私と会いすぎて初めてだってこと忘れてんじゃないのかな?


「普段会う所はリリさんのお店だってのに……仕方ない、入るか」


 もうこうなったら入ってみるしかあるまいて。

 入ったら誰かしら気付いて対応してくれると信じよう。

 そんなわけで手紙片手に扉をノックして、出てきたお姉さんに手紙を見せつつ隊長に呼ばれてるアンシークですぅと告げておく。


 凄いなぁ、魔法部隊の本部ってメイドさん居るんだぁ……

 まあ、こんだけ広い屋敷なら掃除だけでも大変か。そのあたりって見習いとかがやるのかと思ってたけど……まず魔法部隊に見習いが居るのかも分かんないや。


「お待たせいたしました。ご案内いたします」

「はぁーい」


 ぼんやり考えている間に確認が終わったようで、メイドさんに案内されるまま屋敷の中を進んで行く。

 通された部屋は来客用なのか品のいい調度品で整えられた、なんかすごいオシャレな感じの部屋だった。

 うわぁ、ソファふっかふか。なにこれ。


「待たせたな、エスティ」

「おっ。イヴィさーん。お疲れ様です」

「気に入ったのか、そのソファ」

「すっごいフッカフカですね」

「城からの下賜品だからな」

「うお、どうりで」


 向かい側に座ったイヴィさんは、ひと呼吸おいてから真剣な顔でこちらを見た。

 あ、お仕事しますって顔だ。

 それを受けて私も背筋を伸ばし、とりあえず真面目そうな顔を作っておく。


「此度の件、部下の行動に気付けなかった私の監督不生き届きだ。本当に申し訳ない」

「はい。……まぁ、私としてはイヴィさんに怒っちゃいないんですけどね。あの人どうなったんです?」

「謹慎と行動制限、それから減給と……反省文等の提出などが科せられたな」

「わぁ~いっぱいだぁ~」


 そこまで話したところで案内してくれたメイドさんが部屋に入ってきて、お茶を出してくれたのでとりあえず一口頂いておく。

 美味しい。これもいいやつなんだろうなぁ。私普段水くらいしか飲まないから、お茶の違いとかよくは分からないんだけどね。

 先代が淹れてくれてたコーヒーが美味しいのは分かる。アムが淹れるコーヒーも美味しい。豆の違いとかは分かんない。


「同様の処分が本件を担当していた中位騎士にも言い渡されている。……はぁ、悪かったな。本当に」

「いえいえ。流石に割とキレてましたけど、最終的には何もなかったですからねぇ」

「だからと言って放っておいていいことでもないので、今後アンシークに何か協力を頼むときは上官の許可を取るように周知させておくことになった」

「わぉ、大ごとだぁ~」

「私だけじゃなくて騎士団の方の司令官もキレてたからな」

「え、そうなんです?」

「あぁ。これでアンシークとの繋がりが切れたらとんでもねぇ損失だからなぁ」


 ……なんか、思ったより騎士団ってアンシークとの繋がりを大事にしてくれてるんだなぁ。

 こちらとしては規模が違うから当然大事に大事に繋いで来た縁だけど、騎士団からしたらちょっと珍しいだけでよくある個人営業の雑貨屋だろうに。

 確かに色々と特殊なものを置いていたりもするけど、他の店で全く手に入らないなんてことはないはずだ。

 そんなことを考えていたら扉がノックされて、イヴィさんが私に許可を取ってから返事をした。


「お疲れ様です」

「あっ、フィンさーん。お疲れ様です~」

「おう、来たなフィンリー」


 入ってきたのはフィンさんで、どうやらイヴィさんに呼ばれていたらしい。

 空いていた椅子を示されて腰を下ろしたフィンさんは、扉が閉まっている事とか他に人が居ないこととかを確認してから私の手を取った。


「エスティ~!もうほんと、無事でよかった……ごめんねぇ、自分が先に気付いて止めれればよかったんだけど……」

「大丈夫ですよ~!フィンさん騎士との連携期間一旦終わったんでしょう?流石に気付けって方が無茶ですよ~!」


 わーん!といつもよりちょっと低いのか高いのか分からない謎テンションで叫んだフィンさんは本当に心配してくれてたみたいだ。

 ごめんなさいねぇ、私が押しに弱いばっかりに……


「フィンリーを呼んだのは、お前の体質について詳しく話を聞きたかったからだ。まぁ、話したくないならそれでも構わん。今回の件は許容も拒絶も全部お前の好きにしていい」

「あー、なるほど。まぁお話しますよ。中位騎士さん二人はもう知ってますし、知っててもらった方が安全でしょうしねぇ」


 割と隠してきたんだけど、一回バレちゃったんなら絶対味方な知り合いたちには知らせてしまった方が安全だよねぇ。

 そんなわけで体質の話を二人にもして、今回の件はおしまいになった。

 お詫びとして他に何かしたい事や欲しい物があれば、と聞かれたので、午後からフィンさん借りてもいいですか!?とノリノリでお願いしてフィンさんを借りてきた。


 一緒にご飯食べてカフェ行って久々に恋バナしましょ~!

 ちなみにこの恋バナは自分たちの話ではなく、お互いが最近見てテンションが上がったカップルの話を共有するものである。

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