表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
四章「曰く、色事は銘々稼ぎ」
61/124

秋の終わり

 秋色の花束を抱えてテクテクと道を歩く。

 よく晴れた空を眺めながらゆったり歩いて向かう先は先代のところだ。

 やーっと騎士演舞関係の書類をまとめ終わったからね、今日は久々の好きに出来る休日だ。


 そんなわけで足取り軽くお花を買って、先代のところに向かっている。

 もうそろそろ冬が来るけど、この時期の少し霞んだような優しい色の花束が結構好きなんだよね。

 騎士演舞が終わって店の中を少し模様替えしたついでに、ニレさんにフラワーバスケットを作ってもらって店に置いたりもした。


「こんにちはー。いい天気ですね」

「こんにちは。秋晴れですね。ですが、あまり長くなると風で冷えますよ」

「はーい」


 墓守さんに声をかけて、少しだけ話して中に入る。

 中の木も色付いている。そろそろ葉が落ち始める頃だろう。

 けれど、中に葉が落ちたりはしていなくて綺麗なのはやっぱり墓守さんが丁寧に掃除をしてくれてるからなんだろう。


「さて、と。こんにちはー、来ましたよーおじい。

 今年も騎士演舞が終わりましたよ。今年もお客さんがお~かった!もう本当に!忙しかった!頑張りましたよ私!今年もミスなし!優秀なエスティアちゃんですよ!誉めて!!

 ……はぁ。本当に……頑張った……

 この時期はいつも以上におじいが恋しくなります……


 ……いかん。この感じは良くない。

 えーっと、あ、そうだ!秋ももう終わりの頃だから、そろそろ冬です!私が一番元気な時期ですよ!

 今年も店先に雪だるま作る予定だから、今から雪だるまの装備品を見繕ってるんです。シュッツを巻き込んで四段くらいのでっかい雪だるまを作ります。ふふふ。

 頭にはね、やっぱりバケツだと思うんですよ。ニット帽被せようかとも思ったんですけどね、やっぱりバケツが一番雪だるま感があるなって。


 ああ、そうだ。騎士演舞の話に戻るんですけどね、私勘違いで刺されそうになったんですよ。

 アンシークに騎士さん方が来るのは私の影響じゃないってのに。恋する乙女にはそんなこと関係ないんでしょうねぇ。一旦冷静になるって選択肢を持たないのは怖いことです。今回の件での私の感想としてはそんな感じです。

 最終的には、なんか接近禁止だか区画移動禁止だか、そんな感じになったらしいです。なのであの人に会うことは今後無いんでしょうねぇ、ってことでの~んびり構えてます。


 おじいも若い頃はモテたって聞いてますけど、刺されそうになったことあるんですかね?

 そのあたり上手ーく躱してそうな気もするし、下手やって刺されてそうな気もします。どっちなんでしょう。興味あるのでどうにかして返事をくださいおじい。

 なんかこう、夢枕に立つ感じで。おじいならきっとそういうの出来るって私信じてます。私の方の受信環境はもうバッチリバチバチなのでね、あとはおじい次第ですよ」


 ピーチクパーチク、好き勝手におじいのお墓の前で近況報告やら思いついた話題やらを話し続ける。

 忙しい時期はいつも以上におじいが居ればーと考えてしまうので、このおしゃべりも長くなりがちだ。

 そろそろ終わりにした方がいいかな、と思って顔を上げると、墓守さんがこっちに歩いて来ていた。


「あら、墓守さんにストップかけられるのは久々ですねぇ。それじゃあ、おじい。また来ますね」


 おじいのお墓の前から立ち上がり、歩いてくる墓守さんの方へ向かう。

 心配かけちゃったかな?ただでさえ頻繁に顔を出すから必要以上に心配されてる感じがあるのに。

 お世話になってるから、あんまり迷惑はかけたくないよねぇ。


「すみません、心配させちゃいました?」

「大丈夫だろうとは思ったのですが、万が一がありますからね。急かしてしまったようで、すみません」

「いえいえ!むしろもう、毎度心配おかけしてすみません……」


 謝り合戦になってきたけれど、止める人が居ないから止まらない。

 そのまま入り口に戻ってきたので手を振って墓守さんと別れ、町をぶらぶら散歩することにした。

 この後の予定は全然決めてなかったんだよね。何しようかな。


「エーッスティ」

「ほぁ?あ!フィンさーん。何してるんですー?サボりですー?」

「今日は休みです~。エスティは何してたの?」

「先代のところに行ってました」

「あぁ、なるほど」


 大通りを歩いていたら後ろから声をかけられて、振り返ったらフィンさんがいた。

 フィンさん休みの日でも騎士団魔法部隊の制服着てるから、休みなのかサボりなのか分かりにくいんだよね。

 今日は休みだったみたいだし、この後暇ならちょっと付き合ってもらおう。

 というかフィンさんも暇だったから私見つけて声かけたんでしょ。


「さてエスティ、自分ら考えてること同じだと思うんだわ」

「あ、やっぱりそうです?んじゃ、どこ行きましょうか」

「喫茶エキュロ、秋のスイーツ最後の一個が出たらしいよ」

「確かタルトでしたよね、行きましょ行きましょ!」


 トントン拍子に話が進んで、大通りにある喫茶店に向かうことになった。

 この喫茶店のスイーツは数週間で入れ替わるので、食べたければその時に行くしかないのだ。

 店が忙しくて一種類逃してるんだよね……それだけがちょっと残念。なので今回のは逃さず食べよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ