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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
四章「曰く、色事は銘々稼ぎ」
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謎の視線 2

 仕入れの次の日、昼間は相変わらず忙しいので店を閉めた後、夕食を持ってきてくれたシュッツに視線の事を伝えておいた。

 しばらくは店が忙しくて一人になる時間はそう無いだろうし、その間にどうにかなったらいいなぁ。

 気付けるくらいの視線なら、シュッツがすぐに見つけてくれると思うんだよね。


 とはいえ気になるものは気になる。

 昼間はお店が忙しくてそんなことを考えている余裕がないから良いんだけど、店を閉めた後にダラダラと売り上げ計算している時間とかになると気になって手が止まる。

 この時期にこれは致命傷だ。ただでさえ量が多くてやる気でないのに、別のことに意識を取られるなんて。


「はぁ~……おじいが居た頃が恋しい……」


 思わずだらけながら泣き言を言うくらいには疲れが溜まってきている。

 毎年のことだけど、騎士演舞終わったら臨時休業してやろうかと思うくらい忙しいのだ。

 まあ、どうせやんないけどね。騎士演舞の日は基本暇だから、店は開けてるけど割とうたたねしたりもできるし。


 もうどうせ進まないから寝ちゃおうかな。なんて考えていたら、店の扉がノックされた。

 なんだろう。もうそれなりに夜も更けてきているのに。たまーに知り合いが夜中に来たりもするけどその時は事前に連絡をくれるし、この時期は忙しいのを知っているから避けてくれているはずだ。

 何か緊急で必要なものがあるとかなら分からなくもないけど……


 一応防御の魔道具を手に持って、扉に近付いてのぞき穴に顔を寄せる。

 ……騎士の鎧だ。扉に近いせいで、それしか分からない。

 えー。騎士だからって安心しきって扉開けるの、どうかなぁ?流石に騎士があっさり鎧を奪われるとかは無いと思いたいけど、時間が時間だしなぁ。


「……はーい、どちら様です?」


 悩んだ結果、ノックに対してお返事だけすることにした。

 何せ明かりが点いてるので、居ることは明白なのだ。ここで無視して面倒なことになっても嫌だからね。

 そんなわけで扉に向かって声をかけたら、扉越しに返事が返ってきた。


「夜分遅くにすみません。グリヴィア王国騎士団所属の下位騎士、レイン・ヴェルと申します。騎士団魔法部隊所属のフィンリー・シャルンよりお手紙を預かって参りました」

「フィンさんから?」

「はい。直接お渡しするように、と……」


 聞こえてきた声は女の人のもので、ちょっと迷った末に扉を開けることにした。

 やな感じしなかったし、フィンさんがわざわざ使いを寄こすってのはちょっと緊急事態じみてるからね。

 扉を開けたら初めて会う女騎士さんがちょっとびっくりした顔でこっちを見ていた。


 んー、この顔は、思っていたより若い、もしくは思っていたより小さい、って感じだな。

 思ったとしても声に出さなかったので良しとしよう。慣れてるけど、普通に腹立つからね。

 あとお姉さんの顔が好みだから全て許します。こういうきりっとした美人好き。


「こちらが手紙です」

「はい、確かに受け取りました。ありがとうございまーす」


 手紙の封蝋が確かにフィンさんのものであることを確認して、お姉さんにお辞儀をして扉を閉める。

 鍵をかけたら足音が扉の前から去って行ったので、カウンターに戻って手紙を開けることにした。

 ペーパーナイフで封筒を開けて、中の便箋を取り出して広げる。とりあえず裏も確認しておいたけど裏には何にも書いてなかった。


 手紙の内容はざっくりまとめると、謎の視線の事をシュッツから聞いたから軽く調べてみたところグレンさんも最近人の視線を感じたり後を付けられていると感じることがあるという話を聞き、ついでにそれをジャックさんが私に話したことも知ったんだそうだ。

 そんでもって、何かあってからでは遅いから視線の主を探しておいてくれるらしい。ジャックさんとグレンさんも騎士相手だからと放置気味だったのを、本腰いれて探す気になったらしい。


「……なーんか大事になってね?」


 何かあってからでは遅いってのは同感だけど、まだ何があったわけでもないんですよ?

 まぁ、グレンさんが放置してたのをちゃんと探し始めたのはいい事なのかもしれないけど……でもなぁ、あんまり事を大きくはしたくないんだよなぁ。

 というかシュッツめ、フィンさん相手なら何でもかんでも話していいってわけじゃないんだぞ。


「はぁ……まあいいや。どうせもう何かしら起こるまで放置するしかないでしょこれ」


 シュッツ的にはフィンさんに話すことで早めに自体を収めたかったんだろうけど……目立つのヤダっていつも言ってんじゃんね。

 そこんところ忘れないで欲しいわぁ……もう。今度の兄さん宛の手紙で愚痴でも書いてやろうかな。

 兄さんの所にはシュッツの姉が居るのでね、書くと色々盛り上がるんだよね。


 まあ、姉って言っても立ち居振る舞いと好んで着る服が女性っぽいってだけで、実際の性別は知らないんだけども。

 姉と呼んでも嫌な顔しないから、じゃあ姉ってことでいいかってなってるだけなんだよね。

 ちなみにシュッツに聞くと冷や汗たらして目を逸らすから、多分口止めされてるんだと思う。

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