表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
四章「曰く、色事は銘々稼ぎ」
55/124

忙しい時期 4

 今日も無事に営業時間が終わり、店のカーテンを閉めてフーッと息を吐く。

 あぁ……忙しかった……お昼食べ損ねたけど、空腹を忘れるくらいには忙しかった。

 ずるずると足を引きずりながらカウンターの椅子に座り、ごっちゃごちゃになっている書類をちまちまと揃える。


 下にも落ちてるかなぁ?なんてカウンターの下なんかも確認して、案の定落ちていた紙を拾う。

 良かった、そんなに汚れてない。

 ……これを今から纏めるのか……やんないと後がしんどいからやるけどさ……なんてうだうだしていたら裏の扉がノックされた。


「ういシュッツー……って、わあエイダンさん。どうしたんです?」

「すまないな、営業時間外に。日中に来ると迷惑になるかと思ったんだ」

「まあ、そうですね。キャーキャーどころかギャーギャー言われるでしょうね」


 扉を開けたら、シュッツの横にシュッツよりでかい人が立っていた。

 鎧は脱いでいるけれど、この人私服でも目立つだろうなぁ。目立ってほしくないからとりあえず入って下さい。私今からご飯食べますけどいいですか?

 わあいリリさんのところのお持ち帰りご飯だぁ。丼もの丼もの。


「んまぁー……」

「良かったねエスティ……なんでそんな落ち着いてるの……横に居るの騎士団最強の人だよ……?」

「だってそんなこと言われる前から常連さんだし。エイダンさんもうご飯食べました?」

「いや、この後に行ってくる」

「そですかぁ」


 シュッツは関りが無いから怖がって、ってか遠慮してる感じあるけど、私はこの人が最強だのなんだの言われる前、まだ下位騎士だったころを知ってるからなぁ。

 店に来たばかりの私がゆっくりゆっくり会計をするのを怒らないで待っててくれた優しいお兄さんと認識しているので、怖いどころかちょっと待たせて丼をかっ込んだりもする。

 うまうま。あ、シュッツ二階行くならお茶淹れて来て。エイダンさんの分。私はいいや水あるし。シュッツも飲みたいなら淹れてきて。


「んま……」

「ついているぞ」

「後でまとめて拭きます」

「そうか」


 ほらこの人のどこが怖いってんだ。すごいんだぞこの兄ちゃん。めっちゃ世話焼きだからな。

 私の事を完全に庇護対象に入れてるもんなぁ。まあいいんだけどさ。兄さんにでろでろに甘やかされてたからなのか、違和感なく世話を焼かれてしまう。

 微笑まし気な視線にさらされながら夕食を食べきったところでシュッツがお茶を持って戻ってきたので、口元を拭いてエイダンさんに向き直る。


「うし。お待たせしました。エイダンさんはどうなさったんです?」

「騎士演舞の時に、ルーカスに何か物を贈りたくてな。贈り物はアンシークという印象が強くて……」

「なるほどー……なるほど」


 この世話焼きお兄さんエイダンさんは、騎士団最強というとんでもねぇ肩書を持っている。

 そしてこの最強お兄さん、騎士団最弱と呼ばれている下位騎士を補佐にしているのだ。

 上位騎士は、階級が下の騎士を補佐に出来るのだけれど、普通は上位騎士になりそうな見込みのある中位騎士とか、何かしらの功績を上げた騎士とかを指名するんだよなぁ。


 上位騎士の補佐は補佐騎士とか呼ばれていて、通常と違う動き方をするから色々と特別扱いなんだよね。

 エイダンさんはこれまで補佐騎士指名したことなかったのに、急に新人の下位騎士を指名したもんだから割と話題になったのだ。

 よく連れ歩いてるしなぁ。この前も見かけた。眺めた。


「そうですねぇ。騎士演舞でどんなものが主流か、は、まあエイダンさんがよく知ってますかね」

「そうだな。やたらとペン先を贈られるようになったのはエスティアの影響か?」

「……かもしれないです。消耗品だからいいかもですねぇ~って何回か言った気が」

「なるほど。まあ、花や食品よりかは助かっているが」


 花もちょっとならいいけど、大量にあると困るんだろうね。食べ物は混ぜ物とか衛生面とかが問題視されていて、貰っても食べられなくて処分らしいし。

 そうなると消耗品で、ちょっとだけ高級感があるものってことでペン先とかになるのだ。


「まぁ、知り合い……というか上司?からの贈り物ですからねぇ。別に菓子でもいいと思いますよ?」

「……出来れば形が残るものがいいな」

「なるほどっ!方向性はどんなです?騎士的に使える物がいいのか、アクセサリとかがいいのか」


 これは楽しくなって来たぞう!

 ルーカスさんと直接会ったことはないけれど、エイダンさんが急に補佐騎士を指名して最強最弱なんて呼ばれ始めて、それでテンション爆上がりして水うめぇ!!したからね。今もしてるからね。

 それに関わっていいんですかありがとうございます。


「騎士の祭りだからな、仕事の時も使える物がいいのだろうが……それは日頃と変わらない気もするな」

「なるほど日頃から色々買い与えていると」

「下位騎士の支給品で不都合がある時は。補佐騎士として動く時は何かと見栄えも気にされるからな」

「なるほどー!」


 いっけね、テンション上がって大声出しちゃった。

 視界の隅で大人しくしていたシュッツがビクッてなってる。

 なんでそんな縮こまってるの。こんな会話してるのにまだエイダンさんが怖いの?


「じゃあアクセサリとかですかねぇ。ネックレスとかどうです?服の下に入れちゃえば見えないからいつでも着けてられますよ」

「……上司からそれを貰うのは嫌ではないか……?」

「今更ァ!」


 贈るのは良いんですね!?嫌がられないかの心配しましたもんね!?

 これはもう夜通しでもプレゼント選びに付き合うっきゃねぇなぁ……

 睡眠?大丈夫大丈夫。こっちのが重要。日々の疲れを趣味で癒すんだよ分かるだろォ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ