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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
四章「曰く、色事は銘々稼ぎ」
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忙しい時期

 売上をざっと書き上げながら、沈んでいく日に目を向ける。

 かなり秋も深まってきたので既に日は半分以上沈んでいるけれど、代わりに街の明かりが多くなっていて目には楽しい夜ではある。

 収穫祭の時期は飾りが増えているからねぇ。色んな色があっていいよね。


 そんなことを考えながら、ふーっと長めに息を吐いた。

 今日は中々忙しい日だったのだ。どうにかお昼は食べれたけど、詰め込むように食べてしまったので味を楽しむ余裕はなかった。

 まあ仕方ないんだけどね。この時期はどうしたって忙しくなるんだから、覚悟はしていた。


 そろそろ本格的に準備が始まってるもんなぁ、騎士演武。アムは見に来るのかな?

 この騎士演武という祭りがグリヴィアで秋の終わりを飾る祭りになる。

 騎士団がメインで、演武をしたり手合わせをしたりと結構盛り上がるのだ。ここで活躍出来れば上位騎士に目をかけてもらえるかも、みたいな思考もあるらしい。


「……ああ、ペン先出しとかないと」


 騎士団メインの祭りはこの騎士演武だけなので、騎士に熱をあげる女の子たちはここで贈り物なんかを渡すのだ。

 定番の贈り文句は「応援してます」である。

 そんでもって、アンシークは騎士団もよく買い物に来るし女の子が入りやすい店だしでこの時期は贈り物のご購入がめっちゃめちゃに多い。


 ラッピングまでやってられんし、やったらかなりの比率で贈り物がアンシーク印だと分かってしまうのでこの時期はラッピングお断りだ。

 代わりにラッピング用紙やらリボンやらを多めに並べている。ご自分でどうぞスタイル。

 自分で頑張った包装の方が可愛いからいいでしょ!いっぱいあるから好きなの選びな!


 そんでもって、ラッピングをお断りしても全然仕事が減らない理由がもう一つある。

 「店長さんって、○○さんと仲良いですよね。何が喜ばれると思いますか?」という相談が、毎日数十件あるのだ。

 これによってお会計待ちの人がいなくてもレジから離れられないという事態が発生する。せっかくなら喜んでほしい、って気持ちは分かるし、悩んでる女の子たちは可愛いからいいんだけどね。


「でも忙しいんだよなぁ……出来ればもっとちゃんと相談乗りたいけど忙しいんだよなぁ……」


 なので基本的には食べ物はやめた方がいいとか、その程度の一言アドバイスしか出来ないんだよね。

 もっとちゃんと聞きてぇ~……どういう所が好きなのかとかいつから好きなのかとか、根掘り葉掘り聞きてぇ~……

 ミーハーな子はそれはそれで聞いてて楽しいからそういう話も聞きたい。毎年新人さんにちょっといいペンをプレゼントしてるお姉さんとか居るからね。若い子が可愛くて好きなんだって。


 なんて考えながら閉店作業をしていたら、正面ではなく横の入口がノックされた。

 誰が来るかは知っているので寄って行って扉を開け、中に入るように促す。

 予想通り居たのはシュッツだったわけだけど、なんか苦い顔をしているなぁ。なんだよ、確認ならしたよ。


「本当に確認した?ノックしてから一分も経たずに開けてたよ?」

「今からお前を締め出してもいいんだぞ私は」

「ごめんなさい……」

「弱っ」


 ちなみにだけど本当にちゃんと確認はしたからね。流石にそこまで不用心じゃないよ私だって。

 だからこそあんまり疑われると腹が立ってくるわけなんだけどさ。

 と、シュッツに冷たい目を向けるのもそこそこに、差し出された袋を受け取る。


 この時期は本当に忙しいからね。ご飯を作っている時間すら惜しい、とは言わないけど、作るのが面倒になって適当に済ませてしまうからシュッツが夕飯を買ってきてくれるのだ。

 おかげで作業に追われて夜更かしすることも減った。有難いことだぁね。

 ちゃんと感謝はしてるから、お礼にこの新作刺繍ボタンをあげようね。


「どこに付けろと……?」

「帽子にでも付けとけば?似合うよー」

「えー……まあ、うん。そうする……」


 実際似合うと思うんだよね。紫の垂れ花。イメージピッタリすぎて腹立つくらいだもん。

 ほんっと、無駄に顔が良いんだからシュッツは……マジでいつか後ろから刺されそうだよね……

 刺されたら一応助けてあげる気はあるから、そうなったら隠さないで教えてほしい。


「手伝おうか?」

「んー。……裏からペン先の入った箱取ってきてー。青いやつ」

「はーい」


 買ってきてもらった夕飯を食べながら売り上げの詳細を確認していたら、シュッツが手伝ってくれるらしいので品出しをお願いして私は書き物をせっせと終わらせる。

 あと何を出そうと思ってたんだっけな。ハンカチとかだっけな。

 インクは店閉める前に無くなったから先に出したはずだし……あ、そうだネクタイピンだ。


「シュッツ~」

「はーい、次は何?」

「ネクタイピン。なんか柄入りの箱に入ってる」

「柄入りの箱いっぱいあるけど……」

「開けて確かめてー」

「はーい」


 正直私も全部覚えてるわけじゃないから、私が混ざっても箱を開けまくることに変わりはないんだよね。一応すぐ出せるように手前には置いといたはずだから、そんなに時間はかからないだろう。

 なんて考えながら夕飯を食べきって、書類整理も終わったので残りの品出しを一気に終わらせることにした。

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