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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
三章「曰く、禍福は糾える縄の如し」
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収穫祭 3

 収穫祭当日の朝。今日は一日収穫祭会場をうろつく予定なので朝食も食べずに顔だけ洗って二階に戻れば、既に起きていたアムが椅子を引いて手招きをしてきた。

 何かな?化粧かな?あんまり濃くしないなら好きにしてくれていいぞよ。


「エスティ髪弄っていい?」

「耳見えるのやだー」

「えー、髪飾りお揃いにしよー。ついでにピアスも付けよー」

「えー」

「分かった、じゃあ耳あんまり見えないようにしてピアスで誤魔化そ」

「……仕方ないなぁ」


 収穫祭に合わせて作られたドレスはシュッツを通して数日前に持ってこられており、アムには昨日の夜に見せてあったのだ。

 私がしっかり衣装まで着るのは数年ぶりなので、普段なら髪を弄ったりはすぐに諦めるアムが思いのほか粘ってきたのでこちらが折れて任せてしまうことにした。

 まぁアムなら任せても変なことはしないだろうしね。


 まだ着替えてもいないので寝癖もそのままなのだけれど、アムは楽しそうに髪を弄っている。

 なーんか色々されてるのだけは分かるなぁ……何をされてるのかはさっぱり分からないけど。

 髪飾りもあれこれ出しているし、楽しそうだから何にも言わないでおこう。


「ふんふふんふーん」

「ご機嫌だねぇ」

「エスティをとびきり可愛くしてお揃いのドレス着て、なんて楽しく無いわけないよね!バルセに自慢するんだ~」

「わぁ、兄さん荒れ狂いそう」


 可愛いようで凶悪な計画を語るアムは話している間に私の髪を弄り終わったようで、ピアスはこれね!と机にケースを置いて行った。

 化粧もするんだろうなぁ。多分着替えた後になると思うので、とりあえずピアス付けて着替えてくればいいんだろうか。

 考えながら部屋に引っ込んで鏡の前に座り、ついでだからと髪型を確認すると本当に良い感じに耳が隠されていた。


 相変わらず器用だなぁ。私も別に不器用ってわけじゃないけど、ここまで綺麗に出来るかと言われると多分出来ない。やろうとも思わないしね。

 ピアスを付ける前に着替えをすませ、変になっているところが無いことを確かめてピアスを付ける。

 部屋を出るとアムが待ち構えていてそのまま椅子に連行された。


「はい目ぇ開けてー。こっちのほう見ててー」

「おあぁぁ……」

「エスティ可愛い!口紅はオレンジ系にしようねー」

「好きにしてくれー」


 自分では絶対にしないようなちゃんとした化粧をされて、ついでに爪も彩ろうねぇとノリノリなアムに爪先をオレンジと赤の間みたいな色に塗られた。

 おー、なんか綺麗。収穫祭っぽい。

 アムの分は昨日のうちにやっていたらしく、これはすぐ乾くから!と言われたのでとりあえず爪がどこにもつかないように手を挙げて少し待機する。


「……よし、乾いた!」

「はっや」

「そうなんだよ。パルバルで最近流行ってるやつなの」


 思っていた十倍くらい早く乾いたなぁなんて思いつつ、これで準備は完了なのであらかじめ物を入れておいた可愛いリンゴ型のカバンを持ってアンシークを出た。

 まだお昼前なので回る時間はたっぷりある。

 まずは一通り見て回ろう!とアムに手を引かれて大通りに向かい、屋台やら飾りやらを見て回る。


「あれ、エスティアちゃん?」

「こんにちはーグレンさん。見回りです?」

「そうだよ。……エスティアちゃんがそういうの着てるの珍しいね?」

「断り切れなかったもので」

「押し通した私の勝ちってことでね。どうも初めましてーエスティの姉でーす」

「幼馴染です。アムのが年上だから姉を自称してるだけです」

「昔はおねえちゃん!って後ろ付いてきたのに……」

「何年前のことよそれ……」


 大通りをのんびり歩いていたら、後ろからグレンさんに声をかけられた。騎士団の鎧を着ているのでお仕事中みたいだ。

 ジャックさんは一緒じゃないんだなー。こういう時は大体一緒に見回りしてるイメージがあるんだけど、まぁ分散してないと見きれないだろうからね。

 というかそうか。アムって実は騎士団の人と面識ないのか。騎士団の人もアムもよく来るからどっかしらで合ってる気がしてたんだけど……気のせいだったみたい。


「楽しんで来てね」

「はーい。……あ、グレンさん!今年の中位騎士の飾りってどんなのですか?」

「今年はこれだよ。下位騎士は飾りが減るだけだけど、上位騎士は別のらしいから気になるなら探しておいで」

「そうなんですね、ありがとうございます」


 アムとグレンさんが何やら楽しそうに話していたのでそれを邪魔しないように屋台を眺め、別れる前に飾りだけ見せてもらう。

 上位騎士か、知り合いは三人くらいいるけど、見回りに出てるかな?

 まぁ、見かけたらでいいや。アムがお腹空いたらしいし、人じゃなくて屋台を探そう。


「お、ちっちゃいアップルパイ売ってる」

「美味しそー!買ってこよ。エスティも食べる?」

「食べるー。でもあそこのカップルが気になるー」

「さっさと買って戻って来ようぜ」


 お祭りってのは、やっぱりカップルがいっぱい居るものなのだ。

 私としてはフィーバータイム。無限に栄養が摂取できる最高のイベント。

 そしてアムは私の幼馴染兼趣味友である。どれだけ野次馬精神を出しても一緒に楽しんでくれるという確信があるので、隠すことなく声に出していくことにしているのだ。

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