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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
三章「曰く、禍福は糾える縄の如し」
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収穫祭 2

「エスティー!来たよぉー!」

「はい、いらっしゃい」

「すっごい冷めてる!?」

「むしろアムが元気すぎるんだと思う。なんでそんなテンション高いの」

「お祭りだから!」

「そっかぁ」


 扉の鈴を鳴り響かせながら入ってきたアムに手を振って、とりあえず、と差し出された手紙を受け取る。わ~い兄さんからの手紙だぁ~。

 はしゃいでいる間にアムは奥に荷物を運んでおり、それを見送ってカウンターの椅子に座る。

 手伝うほど荷物多くないからね。戻ってくるなり部屋で休むなり好きにするだろうから、私は手紙を読んでしまおう。


 兄さんの手紙はいつも、無地の白い便箋に青いインクで書かれている。

 理由を聞いたら「それが一番手に入りやすくて余りがちだから」と言われた。紙は何でもいいからとりあえず無加工品を持ってきて、インクは何故か青が余るから私用の時はそれを使っているのだとか。

 詳しい事は聞いても分からないから、とりあえず綺麗な色だねぇと言っておいた。


 手紙には前に書いた可愛いエピソードの感想と共に、モンスターにダンジョンに引きずり込まれたと聞いたが大丈夫なのか、そのモンスターとは具体的に何だったのか、その気になればお兄ちゃんダンジョン壊せるけど魔法陣送ろうか?みたいなことが書かれていた。

 要らないです。もう解決したし怪我も治ったから兄さんは大人しくしててください。

 というか誰から聞いたんだ。シュッツとかが送ったのかな?


「アムー、兄さんどんな感じだった?」

「荒れ狂ってた」

「そっかぁ」

「エスティがそのモンスターの詳細送ったらその種族絶滅するかな、って思う感じだったよ~」

「送らないでおこう。全くもう兄さんったら」

「そう言う割には嬉しそうだね?」

「愛されてんだ、私って」

「知ってるぅ~」


 隠す気もなく笑みを浮かべて、読み終わった手紙を封筒に入れ直す。

 返事は収穫祭終わった後でいいや。本祭は明日だけど、今日も前日祭で大盛り上がりだからね。

 今は開店直後で人もいないけどすぐに混んでくるだろう。ちなみに明日は休業にしたので何の憂いもなく収穫祭を楽しめる。


「アムは祭り会場行くの?コルメ換金した?」

「したよ!だから今日はお店手伝っちゃる」

「やった。じゃあ裏から物出すのはお願いするね。はいエプロン」

「準備がいいねぇ」

「ワンチャン手伝ってもらおうと思って用意してた」


 アムはこっちに来ている時にお店が忙しいと結構手伝ってくれるので、今回もちゃっかり期待していたのだ。

 遊びに出る用ならそれでもいいかなって思ってたけど、手伝ってくれるの有難いからね。

 なんて話している間に扉の鐘がカランコロンと音を立て、そちらに笑顔を向けて手紙をカウンターの内側に入れる。


「いらっしゃいませー」

「いらっしゃいませ!」

「アム、お水飲むなら今のうちに持っておいで」

「はーい。裏に置いとくわ」


 忙しくなりそうな気配を感じて、今のうちにとアムを裏に送る。

 普段なら忙しい時はお昼ご飯を食べる余裕が無かったりするけど、今日は交代で裏で食べれば良さそうだな。

 もうそれだけで有難いよね。なんて考えながら再び開いた扉に笑顔を向け、ちらっと大通りの方を見て人の多さに笑顔がひくついた。


 流石、国外から来ている人も多い収穫祭は前日からとんでもない賑わいだ。

 というか昨日から人は結構多かったもんなぁ。アンシークもかなり混雑したし、お花を持ってきてくれたニレさんもお店がかなり混んでいるのだと言っていた。

 まぁ、収穫祭になると忙しくなるのは毎年のことだ。色々準備はしてある。


 普段なら棚に出してから陳列の形に並べる小物類を裏に置いてある箱の中で綺麗に並べたりね。

 蓋を外して商品棚に置くだけで良いようになっている。足を怪我して暇だったからいつも以上に捗ったよちくしょう。

 ……いけないいけない。終わったことをいつまでも恨んでても意味ないからね。


 あんまり考えてると兄さんにモンスターの特徴を覚えている限り詳しく送ってしまいそうなので、今は別の事を考えておこう。

 というかもう少しすれば忙しくて余計な事を考えている暇なんてなくなるから大丈夫か。

 もう忙しくなってきてるしね。とんでもねぇんだ、収穫祭って。


「わぁ、人がいっぱい」

「忙しくなるぞー」


 扉が開いて店に顔だけを出したアムが目を丸くしている。

 ははは、と乾いた笑いを零していたらお客さんがカウンターに来たのでお会計をする。

 もうね、一組会計に入ると列が出来るんだよね。こうなると私はもう会計以外は出来なくなるので棚が他のことはアムに任せることになるんだけど……まあ、大丈夫でしょう。


「アム、十二時くらいになったらビヤンネトルってパン屋のスクレ君がパンとお菓子の歩き売りに来るから、そしたら二人分お昼買っておいて」

「オッケーィ」

「あと髪飾りの箱もってきてくれる?緑のリボンかけてあるやつ」

「緑リボンあればどれでもいいの?」

「いいよ」

「オッケーィ」


 どんどん人が増えて行き、お会計の隙間を見つけてアムに声をかける。

 やっぱり収穫祭っぽい植物の髪飾りが一番売れてるね。

 他にもいっぱい売れてはいるけど、認識した順に補充していけばいいだろう。

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