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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
三章「曰く、禍福は糾える縄の如し」
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収穫祭

 建物の横にある出入り口から外に出て、そのまま足取り軽やかに進む。

 足の傷は問題なく順調に治り、そろそろかさぶたが剥がれるころだ。

 意識すると痒いので見ないように、考えないようにしている。一回掻いちゃってかさぶたの端っこがちょっと浮いたからって深追いして痛い目みたからね。


 あの一件の後、ダンジョンの入り口は正式に封鎖が決まり、もう完全に閉じられている。

 なんかそういう魔法があるらしい。騎士団魔法部隊が総動員だった、とは後から聞いた話だ。

 そんなわけで私は今日も元気に生きているのだけれど、シュッツが凹みに凹んでしばらくべそべそしていた。


 私としては他に人を呼びに行ってくれたあれが最適解だったけれど、シュッツからすると私が攫われたのに即行でついて行かなかったってのは駄目なことらしい。

 まぁ、言わんとすることは分かるんだけどね。

 怒られるようなら今回ばかりは庇ってやろうと息巻いていたんだけど、結局連絡は来なかったので不問になったみたいだ。


「おはようエスティ。怪我はもういいの?」

「おはようございますニレさん。もうすっかり良くなりました」

「そうなのね、よかった。今日はどこへお出かけ?」

「先代のところに行ってきます。そんなわけでお花見繕ってください」


 促されたので中に入って椅子に座り、花束を作ってくれているニレさんを眺める。

 ニレさんの作業には無駄がないから見ててとても楽しい。

 これのある種職人技だよねぇ、なんて思っている間に花束が完成して、見せて貰ったそれに頷いて代金を払う。


 花束を受け取って歩き出すと、向かう先に大きな荷物があるのが目に入った。

 あれは収穫祭の飾りかな?もう数日後には収穫祭が控えているから、町中飾り付けられてかなり賑やかになっているのだ。

 明日にはアムも来るらしいし、アンシークも既に収穫祭仕様になっている。


 当日にはお花も飾るんだー。もうニレさんに頼んであるから、当日にはなんと届けて貰える。

 二つ頼んだのでどうなっているのか今から楽しみ。

 丸っこくしてください、という私の馬鹿みたいな注文に、ニレさんはどんな解答をくれるのか。


「こんにちはー」

「こんにちは。今日はいい天気ですね」

「そうですねぇ、収穫祭までもってほしいです」


 墓守さんと軽く話して、先代のお墓に移動する。

 しゃがみ込んでお花を供えて、ついでに持ってきた茶葉もお花の横に添えた。


「来ましたよーおじい。聞いてくださいよー、酷い目に合ったんです。

 なんとモンスターに足を噛まれてそのままダンジョンに引きずり込まれたんですよ。びっくりですよね、こんなことあるんですね。

 おかげで足も怪我したし靴も買い替えなきゃだし大変でしたよ。はぁ……魔力、ちゃんと誤魔化してるはずなんですけどねぇ。よっぽど鼻の利くモンスターだったんですかねぇ。

 シュッツは従者失格だぁ~ってぐずぐず言ってるし、騎士団の人から三回くらい聞き取り調査されたし、終わった後も大変でした。疲れたぁー。


 でもま、それも全部終わりましたし、収穫祭ですからね、楽しまないと!

 おじいの好きだったグランベの茶葉、今年も出てたので買ってきましたよ。私も飲むけど缶二つあったので一個おじいにあげます。今年はさらに香り高くなりました!ってお店の人が言ってましたよ。毎年言ってる気がしますけど、あれ本当に変わってるんですかね。

 私はそのあたりあんまり詳しくないからなぁ……おじいなら分かりますかねぇ。


 ……さて、じゃあそろそろ……あ、そうだ。最後に一つ。

 なんか収穫祭用のドレス、私の分まで作られちゃったみたいだから数年ぶりに着飾ってきます!可愛い孫娘に悪い虫がつかないよう、おじいの加護的な何かをください~……

 よし。それじゃあ、また来ますねー」


 バイバーイと手を振って、お墓を離れて墓守さんに声をかける。

 この後は特に予定を決めていないので、収穫祭の飾りで溢れた街を見て回ることにした。

 あんまりウロウロしていると心配性な保護者(仮)たちが寄ってきそうな気もするけど……そん時はそん時だ。なんなら巻き込んでやる。


 多分シュッツはどこか近くに居るだろうしなぁ。

 呼べば来るけど、わざわざ呼ぶようなことはないし放置でいいか。

 考えながらダラダラと町の中を歩き、巡回している警備の人とかが身に付けている収穫祭の飾りを眺めたりする。


 お祭りのたびに身に付ける飾りが違うのだけれど、警備の人は皆同じのを付けているし、騎士団は騎士団で揃いの飾りを付けているのだ。

 なんか、こういう大規模なお祭りが出来るくらい平和なのはいいことだーって揃いの飾りをつけるのも伝統になっているらしい。グレンさんが言ってた。

 ちなみに私は今年のはどんなデザインかなって眺めて楽しんでる一般国民だ。


 騎士団の中でも所属部隊で違ったり、下位騎士と中位騎士と上位騎士で違ったり、全て見つけるのがちょっとした遊びになるくらいの種類がある。

 魔法部隊の飾りはもうフィンさんに見せて貰ったから、グレンさんとジャックさんを見つけたら中位騎士の飾り見せてもーらお。

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