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エスティア・アンシークのそれなりに楽しい日常  作者: 瓶覗
三章「曰く、禍福は糾える縄の如し」
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油断の行く末 4

 もうすっかり日が落ち切って暗い道を、特に話したりもせずに進む。

 ちなみに現在の私の位置はフィンさんの腕の中だ。いわゆるお姫様抱っこでしっかり抱えられているので安心感が凄い。

 最初はシュッツが抱えるって言ってたんだけど、盛大に拗ねた私がそれを拒否したのでフィンさんに抱えられている。


 ちなみに向かっている先はアンシークではない。騎士団のところで手当てを受けて、一通り話も終わったし帰ろうかとなったところで私はそもそも閉店後に外に出た理由を思い出したのだ。

 そう。帰っても、ご飯がなんもないのである。

 正確にはなんにも無い訳ではないのだけれど、食材系は買いに行かないとほとんどない。


 明日は一日店を閉めて療養、という事になったので、その分とかも買わないとひたすらにひもじい。

 そんな私の訴えを受けて、とりあえず食事処にでも行こうという話になった。

 色々あってそれなりに時間が経っているから、今から買い物はちょっと難しいのだ。


 明日のご飯はシュッツが買ってきてくれるらしいのでそれに甘えることにして、今はグゥグゥうるさい腹の虫を落ち着かせるのに意識を向ける。

 騎士団の皆さまはもう今日の仕事は終わっていて、ついでに一緒に夕飯を食べて帰る、という事にしたらしい。

 その実まだまだ周りは警戒しているっぽいので、実際の理由は私の保護なんだろう。


 ま、皆お腹空いたでしょ。今日はフィンさんが馴染みの店に連れて行ってくれるらしいから、一旦仕事は忘れてご飯を楽しみましょ。

 関係ない私が言うことでもないのかもしれないけどさ。


「そういえば、そのご飯屋さんって何がメインとかあるんですか?」

「特にないよ。基本的に何でもあるけど、その日の店主の気分であるものがちょっと変わるんだ」

「へぇ、面白そう」


 グリヴィア王都にはそういう個人がやっている小さな店も結構あるけれど、私は新しい場所を見つけるのは苦手だから知り合いに連れて行ってもらえるのは素直に嬉しい。

 探索する気がある日は結構ウロウロするんだけどね、いつも途中で面倒になってしまって、結局いつも同じ店に行きがちなのだ。

 大体リリさんの所に行くか、他に二、三件よく行く食事処があるくらい。


 新規開拓は出来る時にやっておかないとね。

 怪我の功名ってやつかな。代償の怪我が大きすぎる気もするけど、前向きに行こうぜ。

 じゃないと悲しくなってくるからね。あのダンジョンの入口、早めに閉じるといいな。


「ついたよ。この店」

「お、綺麗なお店ですね」

「エスティ居るのに酒場とか行くわけないでしょ。そんなことしたら隊長にぶっ飛ばされるよ」

「えー、イヴィさんいっつも酒飲んで私に絡んでくるから言う権利無いですよー」


 会う時は大体酔っ払い。それがイヴィさんである。

 それを聞いた騎士団の面々は遠い目をしていたから、あんまり聞きたくはなかったみたい。

 まあ、上司のそういうのは聞きたくないか。ごめんなさいね。


「こんばんはー」

「お、フィンリー。なんだ可愛い子連れて」

「奥空いてる?足怪我してるんだ」

「開いてるぞ。一番奥。クッション要るか?」

「貰う。ありがとう」


 どうも可愛い子です。そこだけピックアップして、子ども扱いっぽい現状には触れないようにします。

 フィンさんに抱えられてるわけだし多少は仕方ないと思うんだけどね。でもね、もうほぼ反射的に子供ではないですけど?って考えてしまうんでね。

 その思考が子供っぽいとかいうな。


「エスティ足辛くない?」

「大丈夫です。ありがとうございまーす」


 クッションを乗せた椅子の上に降ろされて、私を挟むように座るシュッツとフィンさんを交互に見る。

 ついでに正面に座るジャックさんとグレンさんを見て、ムムム……と首をひねった。


「どうしたの、エスティ」

「これは……子ども扱い……?」

「いや、体格的にこれが一番楽な座り方だっただけだよ」

「なるほどなるほど、まあ、グレンさんたち鎧ですもんね。うんうん」


 誤魔化された気もするけど、実際これが一番楽そうだしこれ以上は何も言わないでおこう。

 身長の事を知られたせいでちょっと過剰反応してる自覚もあるからね。

 お腹が空いてるから細かいことが気になるんだよきっと。ご飯たーべよ。


「はい、メニュー」

「わーい。……あ、熊肉のスープある!食べよー」

「本当だぁ。珍しいね、グリヴィアにあるの」

「熊……あんまり食べるという話は聞かないが、美味いのか」

「美味しいですよ」


 実家にいた頃はそれなりの頻度で食べていた、いわば母の味なのだ。作ってたの母じゃないけど、まぁそのあたりはどうでもいい。

 グリヴィアのあたりはそもそも熊があんまり出ないから食べることも少なくて、たまーにアムが熊の干し肉とかを持ってくることがあったからそれを食べるくらいだったんだよね。

 わーい懐かしーいとはしゃいでいたら、ジャックさんも興味をそそられたのか熊肉のスープを注文していた。


 お口に合わなかったらシュッツが食べるんで大丈夫ですよ。

 私?私は、人の分まで食べれるほどの胃の容量をしてないのでね。

 あ、キイチゴのタルトとかある。これも頼んでいいですか?

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